美術学校(びじゅつがっこう、英語: art school)とは、視覚芸術(イラストレーション、絵画、写真、彫刻、グラフィックデザインなど)に特化した教育機関。初等教育、中等教育、高等教育の各段階の美術教育機関が存在する。
混同されがちではあるが、音楽系学部などを含む場合もある芸術大学は、厳密には美術大学とは区別される。また、音楽学部だけを持つ単科大学は音楽大学と呼ばれ、区別される。大学の種別としての美術大学・芸術大学は「美大(びだい)/芸大(げいだい)」と略され、後記する各大学については、学生・関係者や近隣住民により、その大学の省略形呼称を「○○美術大学/芸術大学」を「○○美術大/芸術大」「○○美大/芸大」などとする場合も多い(大学の略称については本稿の説明範疇ではないので詳細については当該項目を参照の事)。
フランスのエコール・デ・ボザールが今日の美術教育機関の最初のモデルであると考えられ、徒弟制度に基づく伝統的な美術教育に代わる組織として登場した。 日本の美術学校(専修学校)・美術大学は美術における実技者の育成に主眼を置き、油絵、日本画、版画、彫刻、陶芸、工芸(木工・金工など)、建築、デザインなどを学ぶことができる。近年ではパソコン、ウェブデザイン、演劇・映画、映像編集、マンガ、アニメーション、ゲーム、染織、文化財・美術品保存修復、博物館学・学芸員、イベントマネジメント、文芸、情報系など多様な分野に関する学科の設置も増えている。しかしいずれも必ず実技を修得させる教育を伴うものであり、実技の教育を通じて学生に造形・製作に関する能力や視点を身に付けさせることが美術学校・美術大学における教育の最大の目的である。なお、実技によって生み出された作品を研究対象とする美学・芸術学及び美術史に関する科目も大半の美術大学に設置されているが、美学・芸術学及び美術史は人文科学の分野であり、基本的には実技を伴わないため、美術大学にはこの分野のみを専攻する学科は設置されていない。また実技を伴う書道については美術に含める場合もあり、一部の美術大学・学科に書道系の専攻が設置されている。元来書道は東洋独特の芸道であり、日本においては茶道・華道・香道とともに伝統芸能の範疇に入るが、書道の実技教育即ち習字自体は毛筆・硬筆とも国語学・国語教育の分野に属しているため、書道単独の学科としては文学部や教育学部に設置されている場合が多い。一部の美術大学は通信制の課程を併設している。 英語圏の美術学校は、大抵の場合、一般的な大学システムの中に位置づけられている。一方デンマーク、フランス、イタリアなどでは、美術学校は独自の高等教育機関として存在しており、所在国の文部省の管轄外に置かれている。それらの学校では公的な学位は発行せず、独自の修了証明書を学生に与えている。一般大学とは異なる美術学校の特殊な位置づけは、ヨーロッパ圏外のいくつかの国でも引き継がれている。 今日、多くの美術学校が美術に関連する他の科目も提供しており、また一般大学でも美術学校での科目に対応するコースを創設している。例えば、タイのバンコクにあるチュラロンコーン大学は、伝統的な学部に加えて美術学部を設けており、美術学校から一般大学に発展したシラパコーン大学と並んで美術教育を行っている。 世間でのステレオタイプとは異なり、全米美術学校協会や全米美術大学協会の認証を受けた美術大学では、リベラルアーツ・一般教養科目が卒業要件として厳格に組み込まれている。そのため、美術大学の学生も一般大学と変わらず、正統な大学の学位を受けられるようになっている。
概要
美術大学の文化
学生の選抜と教育内容
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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