美しい星
作者三島由紀夫
国 日本
言語日本語
ジャンル長編小説
発表形態雑誌掲載
初出『新潮』1962年1月号-11月号
刊行新潮社 1962年10月20日
装幀:永井一正
ウィキポータル 文学
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『美しい星』(うつくしいほし)は、三島由紀夫の長編小説。三島文学の中では異色のSF的な空飛ぶ円盤や宇宙人を取り入れた作品で、執筆当時の東西冷戦時代の核兵器による人類滅亡の不安・世界終末観を背景に、宇宙的観点から見た人間の物語を描いている[1][2]。読みどころとなっている作中後半の、人類滅亡を願う宇宙人と、滅亡の危機を救おうとする宇宙人との論戦は[3]、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の「大審問官」の章を意識していたことが、三島の創作ノートに記されている[4]。三島自身が非常に愛着を持っていた小説でもある[5]。
1962年(昭和37年)、文芸雑誌『新潮』1月号から11月号に連載され、同年10月20日に新潮社より単行本刊行された[6][7]。なお、この年には長男・威一郎が誕生している[8]。
翻訳版は、スウェーデン(典題:Den vackra stjarnam)、中国(中題:美麗的星)などで行われている[9]。三島は英訳を強く希望し、当時ドナルド・キーンに何度も翻訳依頼したが、キーンはこの小説を気に入らなかったために英訳は実現しなかった[10][5]。目次 夜半過ぎ、埼玉県飯能市の旧家・大杉家の家族4人が町外れの羅漢山に出かける。彼らはいずれも地球の人間ではなく、父・重一郎は火星、母・伊余子は木星、息子・一雄は水星、娘・暁子は金星から飛来した宇宙人だと信じていた。各人とも以前、空飛ぶ円盤を見て自らの素性に目覚めていたのである。その日、円盤が来るとの通信を父が受けたのだが、円盤は出現しなかった。しかし一家は自らが宇宙人であることを自負しながら、その素性を世間に隠し、水爆の開発によって現実のものとなった世界滅亡の危機、核兵器の恐怖から人類を救うために邁進し始める。 重一郎は、破滅へと滑り落ちていく世界の有様を予見するとともに、その責任を自分1人が負わなければならないと考えていた。「誰かが苦しまなければならぬ。誰か1人でも、この砕けおちた世界の硝子のかけらの上を、血を流して跣足(はだし)で歩いてみせなければならぬ」と思いつめていた重一郎は、「宇宙友朋(UFO)会」を作り、各地で「世界平和達成講演会」を開催して回る活動を始めた。娘・暁子もソ連のフルシチョフ共産党第一書記に核実験を止めるよう嘆願する手紙を書いたりした。
1 あらすじ
2 登場人物
3 作品背景
3.1 時代情勢
3.2 UFO研究会
3.3 SF小説好き
4 文壇の反響
5 作品評価・研究
6 その他
7 テレビドラマ化
8 ラジオドラマ化
9 舞台化
10 映画
10.1 キャスト (映画)
10.2 スタッフ(映画)
11 おもな刊行本
11.1 全集収録
12 脚注
12.1 注釈
12.2 出典
13 参考文献
14 関連項目
15 外部リンク
あらすじ