美しい国
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「美しい国」のその他の用法については「美しい国 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

美しい国(うつくしいくに、英訳:Beautiful Country[1])とは、元内閣総理大臣安倍晋三が掲げた国家像である[2]

活力チャンス優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする、世界に開かれた、「美しい国、日本」 』と定義されている[3]

オリジナルは、反共主義政治団体国際勝共連合世界基督教統一神霊協会(統一教会、統一協会)の初代日本会長を務めた久保木修己の教義である[4][5]。詳細は「世界平和統一家庭連合」を参照
概説

2006年7月、小泉内閣でポスト小泉と目され、内閣官房長官を務めていた安倍晋三は、同年9月20日に予定されていた自由民主党総裁選挙への準備運動として、『美しい国へ』を文藝春秋から新書版で上梓した。日本国内における売り上げは50万部を超えた。また、海外(米国・中国・韓国・台湾)でも発売が企画された[6]

また、安倍は9月1日に総裁選挙への出馬を正式に立候補する際にも、「美しい国、日本。」と題した政権構想のパンフレットを発表し、同党所属の国会議員に配布すると共に、一般国民に対しても広く公開した。安倍は総裁に選出され、首相に就任後は自身の基本理念を指す用語として「美しい国」を使用したが、2007年7月の第21回参議院議員通常選挙敗北後は使用を控えるようになり、参議院選挙後初の国会でもほとんど使用しなかった[要出典]。首相辞任後は、『美しい国へ』の書籍の売れ行きもほとんどストップしている[要出典]。

2013年、再度内閣総理大臣となった安倍は、“完全版”と称する『新しい国へ』を文藝春秋から上梓した[要出典]。
安倍政権下における推進

安倍内閣成立後、安倍は「『美しい国づくり』プロジェクト」を提唱し、内閣官房に「『美しい国づくり』推進室」を設置した。さらに、有識者を集めた「『美しい国づくり』企画会議」を設置し、座長には平山郁夫、座長代理には山内昌之が就任した[要出典]。

企画会議は2007年4月3日および5月30日の2回討議を行ったのみ[7]で、安倍内閣の総辞職が予想されたため、安倍の指示を待たず同年9月21日付で自主的に解散し、プロジェクトは終了した。会議開催や事務所設置などで費やされた経費は4900万円であった。後任の内閣総理大臣である福田康夫は、経費について質問され「会議をやっただけでそれだけというのはちょっと高すぎる。高すぎるということは無駄だということだ」[8]と指摘した。

2007年12月7日、安倍は自身の政権での「美しい国づくり」を振り返り「美しい国づくりは道半ばだが、礎をつくることはできたと思う。一議員として初心に戻り、新しい国づくりに向けて全力を尽くしてゆきたい」と発言した[9]
世論調査

内閣府がまとめた世論調査によると、今の日本を「美しい」とする人は半数を超えている。一方、「美しくない」とする人は43%であった。

また、「日本の美しさとは何か」に関するアンケート調査結果(複数回答可)は以下のとおりであった[10]
などの「自然」:80.0%

伝統工芸などの「匠(たくみ)の技」:58.5%

田園里山などの「景観」:52.8%

歌舞伎祭りなどの「伝統文化」: 50.8%

君が代

安倍の著書『美しい国へ』によれば、「君が代」は「世界でも珍しい非戦闘的な国歌」であるという[要出典]。
派生

安倍内閣の各政策では「美しい国づくり」を推進しており、その名称等にも反映されていた[要出典]。
経済財政政策

内閣府経済財政諮問会議が取りまとめた『経済財政改革の基本方針2007――「美しい国」へのシナリオ』(いわゆる「骨太の方針2007」)もこれに由来している。この副題は安倍が自ら命名したものだったが、審議の席上では丹羽宇一郎伊藤隆敏八代尚宏ら経済財政諮問会議議員から異論が出されたと報道された[11]内閣府特命担当大臣(経済財政政策)大田弘子が安倍の案を提示したところ、丹羽は「『「美しい国」へのシナリオ』はどうもぴんとこない」[12]、伊藤は「『シナリオ』と言うと、我々の主体的な働きかけの意味合いが弱い」[12]、八代は「伊藤議員が言われたような『成長戦略』という言葉が大事だと思う」[12]との異論が挙がった。同じく議員の尾身幸次御手洗冨士夫らはこの案に賛意を示した。最終的には安倍の当初案どおり命名されたが、この議論について質問された安倍は「まあ、それは趣味の問題ですね。これは私の骨太の方針ですから私の考え方にしたがって書かせていただきました」[11]と述べている。
環境政策

安倍内閣が掲げた環境政策「美しい星50」もこれに由来している。
類似する題名

「美しい国」は、晋友会合唱団によるCD、『美しい国、日本』にも使用されている[13]

一方、「美しい国」それ自体が、河野洋平自由民主党総裁を務めた当時、小沢一郎の「普通の国」構想への対抗として打ち出した「美しい国」論を換骨奪胎したものに過ぎず、「パクリ」であるという指摘がジャーナリストの松田賢弥によってなされている[14]

第1次安倍内閣 (改造)にて内閣官房長官を務めた与謝野馨によれば、第43回衆議院議員総選挙にて与謝野が掲げたマニフェストのタイトルに「美しい国」の概念が含まれていることから、「『美しい国』というのを最初に使った」[15]のは与謝野であると自ら指摘している。

安倍と同じく清和政策研究会に所属する町村信孝は、2005年に『保守の論理――「凛として美しい日本」をつくる』を上梓している[16]

作家の川端康成は1968年(昭和43年)のノーベル文学賞受賞に際し、「美しい日本の私」というスピーチを行ない、日本人の伝統的な心性や美意識を語った。
評価

安倍の提示する国家像や政治姿勢に反発する民主党(のち2013年に自民党に復党。民主は離党を認めず除籍)の山口壯は弁護士・大山勇一作の回文「憎いし、苦痛! 『美しい国』」を引用し[17][18][19][20]、2006年10月13日衆院本会議にて「美しい国」を逆さ読みして「ニクイシクツウ(憎いし、苦痛)」と揶揄した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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