羊肉
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

「ラムチョップ」はこの項目へ転送されています。アメリカの競走馬については「ラムチョップ (競走馬)」をご覧ください。

「ラム・チョップ」はこの項目へ転送されています。アメリカのソックパペットについては「ラム・チョップ (パペット)」をご覧ください。
ラムチョップ生の状態のラムチョップ

羊肉(ようにく)は、である。英語表現としては子羊肉をラム(lamb)、成羊の雌または去勢雄の羊肉をマトン(mutton)、雄羊をラム(ram)、雌羊をユー(ewe)と区別する。生後およそ12か月以下の子羊の肉はラム、それよりも年をとった羊の肉はマトンと呼ばれる。ただし、この区別は国によってことなる(後述)。
概要

日本では、羊の飼育そのものが近代に入るまで普及しなかった為、羊肉の利用も牛肉豚肉鶏肉に比べると少ないが、明治時代に養羊が奨励された北海道では常食となっており、関東でも常食化してきている。

世界では地中海料理、アフリカ料理中東料理、南アジア料理、そして中華料理において、大きな特徴となっている。日本では主にジンギスカンしゃぶしゃぶカレーローストステーキといった食べ方が好まれる。また漢方では体を温める作用があるとされており、北海道中国北部、モンゴルといった寒さの厳しい地域で好まれているが、暖かい台湾香港でも羊専門料理店がある。

肉質について、ラムはマトンよりも柔らかく、マトンはラムよりも獣臭が強いと言われる。マトンは魚肉ソーセージのコク出し用の加工用原料としても利用されている。独特の臭いがあるため、苦手とする人もいる。マトンの独特の匂いに大きな役割を果たしているのは4-メチルオクタン酸、4-メチルノナン酸、4-エチルオクタン酸の3種の分岐鎖脂肪酸である[1]

脂肪は融点が高く(約44?45度)、調理してからすぐ食べたほうが良いとされる[2]。また、冷たい飲料と共に大量に摂取すると脂肪が腸内で凝固する危険性があるので注意が必要である[3]
日本の羊肉

日本国内で食されている羊肉で、日本産のものは1パーセント弱と言われる[4]オーストラリアニュージーランドからの輸入がほとんどで、年間に約5300トンを日本は輸入している[4]。2018年時点では輸入量は2パーセントほどだが、アイルランド産の羊の輸入も増加傾向にある[4]フランス産の羊は2001年から輸入禁止措置が取られており、2017年に輸入再開となった[4]

江戸時代末期に、肥前長崎奉行が羊の飼育を試みたり、江戸の小石川御薬園(現・東京大学大学院理学系研究科附属植物園)で羊を飼育したのが、記録に残っている日本初の羊飼育となる[5]

日本で産業として羊の飼育が本格化したのは明治時代になってからである[4]1914年第一次世界大戦勃発に伴い、日本では軍服需要のため国内産ウールの増産が必至となり、1918年には「めん羊100万頭計画」が国策として発表された[4]。しかしながら、1945年になっても、日本国内の羊は18万頭に留まっていた[4]

第二次世界大戦後は衣料不足からウールの需要も急増し、一時は94万頭を超えるくらいまで伸びたが、羊肉や羊毛の輸入自由化と共に再び減少に転じた[4]。昭和50年代になって、肉用にサフォーク種の羊が導入されるようになると一時的に増加し、2018年時点では微増傾向にある[4]

2017年の畜産技術協会の統計では、都道府県別の羊頭数では北海道の8630頭を筆頭に、以下、長野県の1014頭、栃木県の651頭と続き、日本全国合計では17513頭である[4]
消費傾向

2019年の経済協力開発機構の統計で年間1人あたりの羊肉の消費量を国別に比較すると1位はカザフスタンの8.2キログラム、2位はオーストラリアの6.2キログラム、3位はノルウェーの4.5キログラムとなっており、以下、サウジアラビアトルコイランと続く[6]

カザフスタン料理は羊肉のみならず、肉料理のメニューが豊富であり、牛肉の消費量も世界第6位であるが、イスラム教圏であるため豚肉の消費量は少ない[6]

オーストラリアは羊の飼養頭数でも世界第2位であり、輸出量では世界1位である[6]

サウジアラビア、トルコ、イランはいずれもイスラム教圏であり豚肉食を教義で禁じられているため、羊肉や鶏肉の消費量が多い[6]。イスラム教圏の国々は羊肉の生産国としても上位を占めている[6]

キリスト教圏においても、イエス・キリストを「神の子羊」と呼ぶことから、仔羊肉(ラム)は伝統的で特別な食物ととらえられている[7]イギリスではイースター日曜日にラムを焼いて食べる伝統的な習慣がある[7]。なお、イギリスの1人あたりの羊肉年間消費量はイランに次ぐ第7位である[6]

インドパキスタンバングラデシュなどの多くの南アジアの国々ではマトンという英単語は通常は羊ではなく、ヤギの肉を指す。インド料理のマトン料理は、家庭では山羊の肉を使用している。ちなみに英語で山羊の肉はシェヴォン(chevon)という。[要出典]

カシュルートによれば、ユダヤ教では羊肉は食べてよいとされる。しかし牛と同様に決められた方法(シェヒーター)で屠畜せねばならず、後半身の特定の種類の脂肪や坐骨神経は食べてはいけない。イスラム教にもハラールと呼ばれる、同じような決まりが存在する。[要出典]
部位の分け方

日本、イギリス、フランスなど各国で羊肉の部位の分け方は異なる[8]
イギリスイギリスのラムの部位

伝統的なイギリスの部位の分け方は以下のとおりである[9]
スクラグエンド(Scrag end)

ミドルネック(Middle neck)

ベストエンド(Best end)

ロイン(Loin)

チャンプ(Chump)

脚(Leg)

肩(Shoulder)

胸(Breast)

フランスフランスの牛とラムの部位

イギリスにおける部位の分け方は以下のとおりである[8]

テート tete


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:59 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef