罷免
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罷免(ひめん)とは、公務員の職を強制的に免ずることをいう。
概要

「罷免」という表現は、単に役職のみを免じる場合と、役職のみならず公務員としての身分の剥奪も同時に行われる場合の両方について用いられる。公務員自らの意思により職を辞する場合は「辞職」または「辞任」と呼ばれ、罷免とは区別される。

「罷免」は特別の任用による職に用いる用語で、一般の公務員については「免職」を用いられる。

「罷免」や「免職」は、企業の社員等の解雇にあたる。
政治的任用
国務大臣の罷免

内閣総理大臣は、日本国憲法第68条の規定に基づき、国務大臣を任意に罷免することが可能である。罷免する理由としては、全会一致を要する閣議において、閣議決定・閣議了解の採択に反対する国務大臣が出た場合にその者を罷免し閣内意思の一致を図る例、あるいは内閣総理大臣がある大臣に国務大臣たるにふさわしくない行為があったと判断し辞任を促したものの当該大臣が非を認めず自主的辞任を拒んだため罷免する例などが挙げられる。

大日本帝国憲法の下では、国務大臣の任免は内閣総理大臣の権限事項ではなく天皇の専権事項(第10条)とされていたため、閣議案件に反対する大臣がいた場合、全会一致になるように説得させるか、内閣総辞職するかのいずれかを選択するしかなかった。特に軍部大臣現役武官制が存在していた時期には、軍部がその制度を通じて陸軍大臣海軍大臣の選任に介入したため、軍部の意向に反する政権の維持は事実上不可能になっていた。

こうした反省から、新憲法では国務大臣の任免権は内閣総理大臣に帰属することとされた。日本国憲法第68条の「任意に」とは国務大臣の罷免には法的には何らの制約なく内閣総理大臣の自由な裁量によって決しうるという意味である[1][2]。国務大臣の罷免についての政治上・道義上の当不当は本条の問題とは別の問題である[1]。一般には国務大臣の罷免権は任命権と同じく内閣総理大臣の専権に属すると解されている[3]

なお、国務大臣の任免は天皇の国事行為であり、天皇によって認証される(日本国憲法第7条第5号)。したがって、内閣総理大臣の専権事項とされる罷免そのものの決定には閣議は不要とされるが、通説では天皇の国事行為である認証については内閣の助言と承認が必要であり閣議を要すると解している[4][3]。ただし、事の性質上、この閣議において国務大臣の罷免を妨げることは許されず、罷免される国務大臣はこの内閣の助言と承認の決定に加わることができないと解されている[4][3]

辞令上、依願免(依願免官)の場合には「願に依り本官を免ずる」と表記されるのに対し、罷免の場合には「本官を免ずる」とだけ記され[4]、「罷免」という単語が用いられることはない。

日本国憲法下における国務大臣の罷免例は、2021年(令和3年)現在、5例しかない。罷免の実例は少ないが、首相の罷免権を背景として形式上は自発的に辞任させられた更迭の事例は多く、このように罷免権は実質的に国務大臣に対して辞表を提出せしめる権限である[4]。これは実際に罷免権を行使する場合には大臣が自ら辞任した場合以上に首相の任命責任を野党から問われかねないためである。内閣総理大臣による国務大臣に対する罷免権は、仮に全閣僚が首相の方針に反対したとしても、首相自らがすべての大臣を罷免・兼務してでも閣議決定・閣議了解を採択できる一人内閣を作れるほどの強い権限を持っており[5]、「伝家の宝刀」としての機能を果たしているとされる[4]

国務大臣罷免例年月日内閣名前役職主な理由
1947年(昭和22年)11月4日片山内閣平野力三農林大臣米価問題とGHQの意向
1953年(昭和28年)3月3日第4次吉田内閣広川弘禅農林大臣衆議院議員吉田茂(首相)懲罰動議採決欠席
1986年(昭和61年)9月9日第3次中曽根内閣藤尾正行文部大臣韓国併合に関する見解
2005年(平成17年)8月8日第2次小泉内閣島村宜伸農林水産大臣衆議院解散の閣議決定への署名拒否
2010年(平成22年)5月28日鳩山由紀夫内閣福島瑞穂内閣府特命担当大臣普天間基地移設問題に関する閣内不一致

副大臣・大臣政務官・内閣総理大臣補佐官の罷免

国家行政組織法第16条・第17条と内閣府設置法第13条・第14条と復興庁設置法第9条・第10条と内閣法第19条により、副大臣大臣政務官内閣総理大臣補佐官は各省大臣(内閣府副大臣・内閣府大臣政務官・首相補佐官の場合は内閣総理大臣)の申出により、内閣が罷免できると規定されている。

憲法に規定された閣僚任免権と内閣法に規定された閣議の全会一致規定から、副大臣大臣政務官と首相補佐官の罷免権は最終的に首相が留保しており、また首相が閣僚罷免権を背景にいつでも発動することができる。

政務次官、副大臣、大臣政務官の罷免例は何回かある。

政治任用職の罷免例年月日内閣名前役職主な理由
1953年(昭和28年)3月2日第4次吉田内閣松浦東介農林政務次官衆議院議員吉田茂(首相)懲罰動議採決欠席
1953年(昭和28年)3月2日第4次吉田内閣越智茂厚生政務次官衆議院議員吉田茂(首相)懲罰動議採決欠席
2005年(平成17年)7月5日第2次小泉内閣滝実法務副大臣郵政民営化反対
2005年(平成17年)7月5日第2次小泉内閣能勢和子環境大臣政務官郵政民営化反対
2005年(平成17年)7月5日第2次小泉内閣衛藤晟一厚生労働副大臣郵政民営化反対
2005年(平成17年)7月5日第2次小泉内閣森岡正宏厚生労働大臣政務官郵政民営化反対
2005年(平成17年)8月8日第2次小泉内閣柏村武昭防衛庁長官政務官郵政民営化反対
2009年(平成21年)1月14日麻生内閣松浪健太内閣府大臣政務官補正予算の衆議院採決棄権
2021年(令和3年)2月1日菅義偉内閣田野瀬太道文部科学副大臣不祥事(新型コロナウイルス感染症まん延による緊急事態宣言下の外出)

特命全権大使・特命全権公使の罷免

外務公務員法第8条では特命全権大使及び特命全権公使外務大臣の申出により内閣が罷免ができると規定されている。

憲法に規定された閣僚任免権と内閣法に規定された閣議の全会一致規定から、大使と公使の罷免権は最終的に首相が留保しており、また首相が閣僚罷免権を背景にいつでも発動することができる。

外務公務員の罷免例年月日内閣名前役職主な理由
2002年(平成14年)4月2日第1次小泉内閣東郷和彦在オランダ特命全権大使鈴木宗男事件

その他の罷免

内閣法第15条?第18条では内閣危機管理監国家安全保障局長内閣官房副長官補内閣広報官内閣情報官は内閣総理大臣の申出により、内閣が罷免できると規定されている。

憲法に規定された閣僚任免権と内閣法に規定された閣議の全会一致規定から、内閣危機管理監と国家安全保障局長と内閣官房副長官補と内閣広報官と内閣情報官の罷免権は最終的に首相が留保しており、また首相が閣僚罷免権を背景にいつでも発動することができる。


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