缶コーヒー
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缶コーヒーのひとつマックスコーヒー

缶コーヒー(かんコーヒー)とは、に入っていて、すぐに飲むことのできるコーヒー、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料、あるいは(コーヒー入りの)乳飲料である。主に自動販売機や駅売店、コンビニエンスストアなどで販売されている。チルドカップやペットボトル入りの製品と総括してレディ・トゥ・ドリンクコーヒーとも呼ばれる。
概要

缶コーヒー(英canned coffee)はコーヒーを加工して作られる様々な二次産品(コーヒー風味の菓子パンなど)の一つで、工業用コーヒー市場の製品に分類される。同じ保存食であるインスタントコーヒーの簡便性がさらに高められ、屋外でも手軽に消費可能である点が特徴。

日本では喫茶店ブーム、インスタントコーヒーブームを経て本格的に商品化され、自動販売機の発達とともに飛躍的な成長を遂げた。以降も市場は拡大を続け、2008年平成20年)時点で日本での清涼飲料水におけるシェアは3割を超えている[1]。郊外のスーパーマーケットディスカウントストアなどでは、24?30本入りの箱単位で売られることも多い。

日本にて缶コーヒーに関する各種調査が行われており[2]、各種項目において首位に選出されることが多い銘柄は「ジョージア」となっている[2]。最近ではヘルシア等の健康補助的コーヒー飲料も人気がある。缶コーヒーが持つ、独特の風味香りが発生する要因として、スチール缶など容器ごと行う殺菌工程[3][4]、添加剤成分(後述)、コーヒーが本来持つ香りが熱や時間が経つことで飛んで薄くなってしまう特性(後述)、などが挙げられる。また、レギュラーコーヒーと差があると感じる人も存在するため、それに匹敵する味を求めて絶えず改良が行われている[5]

容器入り清涼飲料水の製造において、缶コーヒーは手間の掛かる部類に入り、ライン清掃の間隔が他の飲料と比べ短く数時間から十数時間ごとに必要となっている(比較事例として緑茶は3-4日間隔)[4]。また、製造直後からのの変化が他の飲料と比べて大きく、フレーバーが落ち着くまでに1週間程度を要し、経過後に味・品質が一定となってから抜き取り検査を行い、合格したものを工場から出荷する体制となっている[4]

飲み方に個々の嗜好が強く反映されるコーヒーを一様にパッケージして販売するという特異性ゆえに、日本独特の飲料とみられていた部分もあったが、実際には1970年代後期からはアジア1990年代からは欧米など日本以外の国でも一部製造販売されている(後述)。特に東南アジアにおける販売伸張が目立つ。
容器

日本の清涼飲料に使用される容器の構成は1999年(平成11年)頃にPET素材の割合が逆転し、2000年代においてペットボトルが全体の88.1%となっており缶の使用は大きく減退しているが[6]、コーヒー系清涼飲料に限れば2000年代においても缶が主流で、その割合は71.5%と大きく占めている[6]。その理由として、食品衛生法で定められた高温・高圧での殺菌を行う[7](ただし、特性上完全な殺滅は困難。詳細は缶コーヒーの成分の節参照)ため、スチール缶が強度的な面から多用される状況、と全国清涼飲料工業会は見解を示している[6]

一方、ブラックコーヒーを中心にアルミ缶を採用する動きが進んでいる。ミルク入りコーヒーについては、内部にガスを充填して強度を高めているアルミ缶はボツリヌス菌の繁殖を識別しにくく、また、アルミ缶は缶底がドーム状に凹んでいて打検による菌の繁殖の検査も困難であることから、業界団体によりアルミ缶の使用が規制されていた。しかし、衛生管理の進歩等を踏まえ2014年8月にアルミ缶の使用が認められるようになり、ミルク入りコーヒーについてもアルミ缶の使用が進みつつある[8][9]

2010年頃から従来のプルトップタイプの缶の他に、リキャップ缶と呼ばれる蓋の開け閉めが可能なボトルタイプの普及が進んでいる[10]

2017年にはサントリーがペットボトル入りのコーヒー「クラフトボス」を発売し、若年層・女性層からの大きな支持を獲得した[11]。これに他社も追従し、ペットボトル入りのシェアが大きく伸びる一方で、缶入りコーヒーの市場は落ち込みを見せている[10][11]。ただし、ペットボトルはその特性上、乳固形分が3.0%以上の乳飲料を販売することは難しい、遮光性に乏しく缶と比べて保存期間が短くなるといった課題もあり、缶入りコーヒーとの棲み分けが進んでいる[10]
世界における展開・普及状況


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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