繋留気球
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1783年8月27日にパリのシャン・ド・マルス公園で行なわれたガス気球の初飛行のイラスト(19世紀以降に描かれたイラスト)。

ガス気球(ガスききゅう)とは、静的浮力を持つ空気よりも軽い気体ヘリウム水素、あるいは石炭ガスなど)で満たされた気球のこと。人類初めてのガス気球による有人飛行に成功したジャック・シャルルにちなみ、シャルリエールとも呼ばれる。

乗用ガス気球は1783年の有人飛行後にヨーロッパを中心に急速に普及するが、行き先が風任せな乗り物であるため、操縦のできる実用的な気球を開発すべく数多くの人々の研究や実験が重ねられ、のちに推進装置を装備し自由に操縦可能にした飛行船(あるいは航空船)が開発された。

ガス気球は、日本ではかつて、軽気球や風船といわれた時代がある。
ガス気球の種類

日本ではガス気球は使用形態により大きく分けて、係留気球(繋留気球)や、自由気球(遊動気球)とノンリフトバルーンに大別され、さらに使用目的により多くの呼称がある。
係留気球

係留気球(Captive balloon)とは、地上などからロープにより気球が繋がれる形態のガス気球の総称である。

係留気球には軍事用の偵察気球(凧式気球)や阻塞気球アドバルーンなどの広告気球や、気象観測・各種環境観測用気球、巨大なガス気球のゴンドラに観光客が乗り込む観光用気球や、シートベルトを付けた人が空中を浮揚するアトラクション用気球などがある。(インフレータブルバルーンの項も参照。)
自由気球

自由気球とは、気球を繋留することなく静的浮力と風の吹くままに浮遊を続けるガス気球の総称である。

自由気球には後述の有人で上昇下降の操縦を行なうレジャースポーツ用のガス気球をはじめ、無人の玩具用ゴム風船などによるガス風船による風船飛ばしゴム気球などによる高層気象観測(ラジオゾンデ測雲気球測風気球高高度気球など)、軍事兵器風船爆弾や係留気球の係留索切断に備えた操縦訓練用のもの、啓発活動のビラ撒き用のビラ風船などがある。
ノンリフトバルーン

ノンリフトバルーンとは、浮力を大気の密度に調整し、一定の高度を保ち気流に乗り浮遊するガス気球である。

形状は球体をはじめ、正三角錐型(テトラ型)があり、材質はPETを主材料に作られ、レーダー反射を目的に使うものは、表面にアルミニウムを蒸着したフィルムで製作される。ノンリフトバルーンは主に乱気流や公害などの気象や環境調査の観測目的で使われる。
歴史

ガス気球による最初の飛行は、ジャック・シャルルとロベール兄弟により1783年8月27日に無人飛行が行なわれ、2回目の水素を充填したガス気球がモンゴルフィエ兄弟による熱気球の最初の有人飛行から10日後の1783年12月1日にジャック・シャルルとロベール兄弟により有人飛行に成功した。

気球の有人飛行は熱気球が最初であったものの、一度飛ばすだけで火炎により球皮がぼろぼろになり再使用しにくく、飛行中に引火のおそれもあるためデメリットが多く、水素や石炭ガスによる引火爆発の危険はあるものの、繰り返し使用できる点でメリットが大きいガス気球が、以後軍事や冒険、高層観測や興業イベントなどで一般に使われるようになった。

なお、1930年代にガス気球を使用してイギリスロンドンからドーバー海峡を横断しフランスパリまで行こうと試みた冒険家3名がおり、1936年5月23日に飛行を開始したもののロンドン市内でタワーに激突し墜落。死亡する事故が起きている。

日本ではガス気球が輸入される明治初期以降は、多くの場合、軍事関係や、博覧会などの見世物、一部の興業イベントで水素や石炭ガスによるガス気球や係留気球、飛行船が使われるにとどまった。

第二次世界大戦後は日本では水素による玩具用ガス風船やアドバルーンなどのガス気球が全般に使われていたが、有人飛行には用いられず、1980年代には露店販売の玩具用ガス風船が水素からヘリウムに代わり、昭和末期以降は風船飛ばし用の風船やアドバルーンなどの係留気球も水素からヘリウムガスへの転換が進められており、現在では高層気象観測などのゴム気球や一部のアドバルーン用の充填ガスに水素が使われる程度となっている。

またヘリウムによるガス気球は、現在では大量にガスを必要とする高高度気球や飛行船、アトラクション目的の有人係留気球、気球による有人の長時間滞空飛行などの冒険飛行で使われることが多い。
ガス気球の操縦法2007年ブリュッセルで開催されたゴードンベネット気球レースの様子。


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