縦帆
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この項目では、船の帆について説明しています。生物の帆については「帆 (生物の器官)(英語版)」をご覧ください。

「白帆」はこの項目へ転送されています。横浜市の地名については「白帆 (横浜市)」をご覧ください。
横帆を持つシップの例、ノルウェーのChristian Radich縦帆を持つスクーナーの例、フランスのRegina Maris横帆と縦帆の両方を持つバークの例、ドイツのAlexander von Humboldt現代の世界各地のマリーナで一般的なセーリングクルーザーのセイル。基本はメインセイル(後方のもの)とジブセイル(前方のもの)のシンプルな2枚構成であり、追い風を利用して速度を上げたい時のみスピンネーカーを追加する。

帆(ほ、: sail)とは、によりの推進力を得るための器具である。欧米の船のものに関しては、日本でもセイル(セール)と呼ぶことが一般的である。[注釈 1]
歴史

帆の発明は、車輪の発明と同じくらい、あるいはそれ以上に重要な技術的な進歩だった。一部では、新石器時代の新生活様式のもとで、あるいは太古の文明の都市で、帆が使われるようになっていったしるしがある、と言われている。だが、いつどこで帆が発明されたか知られていない。[1]:173

水上運送の初期の発展は、おもに世界の2つの地域で起きたと信じられている。地中海東南アジアである。それらの海域は、水温が温かく、を使っても低体温症にならずに済み、目に見える距離に島々があったので、人々は水上を旅したいという気持ちにさせられたし、そういう旅をするのに高度な航法など必要なかったからである。それに加えて(地中海沿岸、古代エジプトの)ナイル川を移動する場合は、川が北向きに流れているのに対して風は南向きに吹いており、川を下る場合は流れにまかせて、川を上る場合は追い風の力を利用して行き来すればよかった。[2]:113[3]:7

多くの人は、帆が紀元前500万年より以前に使われていたとは考えていない。だが、それよりずっと以前に発明されていた、と考える人もいる。[1]ククテニ文化の陶器の考古学的研究によると、紀元前600万年にセイルボートが使用されたというしるしがある[4]

古代メソポタミアウバイド期(およそ紀元前6000年-紀元前4300年)には、セイルボートが使われていたことを示す、より明確な証拠がある。[5]エジプト新王国時代の壁画に描かれた船にある横帆(紀元前1411年から1422年にテーベの貴族の墓に描かれたもの)

古代エジプト時代の墳墓から出土した花瓶(紀元前4000年頃のものと推定されている)に帆をもつ船が描かれているものがある。

中国では後漢時代(25年 - 220年)の書『釋名(しゃくみょう)』に、織物の帆を使用したと推測される記述があり、また「柱を立つを?(わい)と曰う。?は巍(ぎ)なり。巍巍として高きかたちなり」と記されているが、?とは観音開きの門の回転軸のことで(後述書 p.99)、左右に一軸ずつあった。すなわち門の軸のように船の両舷に一本ずつ柱が立っていたことを表している。これは横帆とみられる(後述書 p.99)。三国時代の『三国志』にも帆走の記述が度々見られる[6]

和船の帆に関しては、古墳時代には絵で両舷の帆が確認されるが、中世になると中央に帆柱を立てた四角帆となった(詳細は「和船」の帆を参照)。10世紀中頃の『和名類聚抄』巻十一の帆に関する記述には、中国の『釋名』に関する引用が見られるため、早くから古文献的な歴史を認知していたことがわかる。
セイルプラン英語版en:Sail planを参照

複数のセイル(しばしばひとひとつは異なる形のセイル)を組み合わせて1艘の船のセイル群全体の構成の設計を行うことをセイルプラン(sail plan)と言う。セイルプランには、セイルだけでなく、セイルを張るための構造体の設計も含まれている。
セイルの素材英語版記事 en:Sailcloth、en:Sail components#Materialsも参照のこと。

セイルをどのような繊維、またどのようなで作るかということが、セイルの形状とともに、セイルの性能に大きく影響する。セイルの繊維、およびその繊維で織られた生地(帆布)を選ぶ際、考慮すべき重要なファクタがいくつかある。主なファクタは初期弾性率(initial modulus)、引張強度(breaking strength (tenacity))、クリープ(creep)、耐久性(つまり疲労に対する強さなど)である。そしてそれらのファクタに加えて、その導入費用(購入費用あるいは制作費用)と使用可能期間により、長期的な観点での、そのセイルの費用対効果が計算できることになる。[7][8]
セイルの素材の歴史

伝統的にセイルは、主に亜麻の布(亜麻布、リネン)や、木綿コットン)のキャンバスで作られてきた[8]

古代エジプトでは、その肥沃な土地で亜麻が栽培され亜麻布が織られ使われていたことが知られており、セイルにもその亜麻布が使われていた。

古代インド紀元前1500年ころに木綿で帆布が織られるようになっていた[9]

古代のポリネシアでは、ラウの葉を筵に編んだラウハラと呼ばれる素材が使用された。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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