線維筋痛症
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線維筋痛症

ACR1990分類基準を構成する18箇所の圧痛点
概要
分類および外部参照情報
ICD-10M79.7
ICD-9-CM729.1
MedlinePlus000427
eMedicinemed/790 med/2934 ped/777 pmr/47
Patient UK線維筋痛症
MeSHD005356
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線維筋痛症(せんいきんつうしょう、: fibromyalgia, 略:FM)とは、全身に激しい痛みが生じる病気である。英語では、症候群であることを表現して、fibromyalgia syndrome:略FMSとも記される[1]。原因不明の全身の疼痛を主症状とする[2]。疼痛は腱付着部炎や筋肉関節などにおよび、体幹四肢から身体全体に激しい疼痛が広がる[3]。新興疾患では無く、以前は「非関節性リウマチ」「心因性リウマチ」「軟部組織性リウマチ」「結合組織炎」「結合組織炎症候群」などと呼ばれていた[1]

似たような症状を呈するものに、慢性疲労症候群過敏性腸症候群化学物質過敏症シックハウス症候群顎関節症間質性膀胱炎湾岸戦争症候群複合性局所疼痛症候群エーラス・ダンロス症候群などがあげられるが、異なる疾病概念である[4]
解説

1990年、米国リウマチ学会により疾病概念が定義され、有用性の高い分類基準が提案され「線維筋痛症症候群」の疾病名が広まった[1]。2010年には痛み症状の評価と合わせ、随伴症状も合わせた新たな診断基準が作成された[5]

患者は男性より女性の方が非常に多く、働き盛りの中高年に発生率が高い。米国での有病率は20歳以上成人のおよそ2%ほど[2]。軽症例も合わせれば推定200万人と言われる、比較的患者人口の大きなリウマチ性疾患であるにもかかわらず、日本の医療機関での認識が遅れている。その結果適正に医療を受けられている患者が極めて少なく、多くの患者は未診断、または、誤診を引き起こしてドクターショッピングを繰り返し、結果的に長く病む状況となってしまっている。医療に失望して民間療法などに流れている場合もある。このように日本の線維筋痛症の医療環境は問題がある[6]
原因

原因は不明であり、医師が通常行なう血液検査では異常が現れない[2]CTスキャン、MRIを検査しても異常を発見できない。また、この病気が診断できる特別な検査は2015年時点で存在しない。診断が非常に困難な症例が多いが、圧痛点による簡易的な見分け方が知られる[7]

2018年10月の論文では、線維筋痛症31人と健康な人27人をポジトロン断層法 (PET) で比較して、脳のグリア細胞の活性化が原因である可能性を示し、疲労感の症状では帯状回の炎症の度合いと一致した[8]
症状線維筋痛症の症状
主要症状
全身の慢性疼痛と解剖学的に明確な部位の圧痛[1]
随伴症状

身体症状[1][4]
38℃以下の微熱、疲労感、倦怠感、手指のこわばり、手指の腫脹、関節痛、レイノー現象、寝汗、過敏性腸症候群、動悸、乾燥症状、呼吸困難、嚥下障害、間質性膀胱炎様症状、生理不順、月経困難症、体重変動、光線過敏症、寒暖不耐症、顎関節症、低血圧、各種アレルギー症状、僧帽弁逸脱症、かゆみなど、
神経症状[1][4]
四肢のしびれ、手指のふるえ、めまい、耳鳴り、難聴、視力障害
精神症状[1][4]
抑うつ症状、不安感、焦燥感、睡眠障害(過眠、不眠)、集中力低下、注意力低下、健忘、起床時の不快感

骨格筋の激しい痛みが、線維筋痛症の主な症状であるが、その激しさを表現するのに、「体の中で火薬が爆発するような痛み」「万力で締め付けられるような痛み」「キリで刺されたような痛み」「ガラスの破片が(体の中を)流れるような痛み」などと形容される[9]。また疼痛症状以外に、様々な身体性の症状を伴う。特に共通の症状として睡眠障害が挙げられている。9割の患者で睡眠障害がみられると言われる[10]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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