線文字A
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線文字A

ハニア考古学博物館蔵の粘土板
類型:未解読文字
言語:ミノア語(不明)
時期:紀元前18世紀から紀元前15世紀
子の文字体系:おそらく 線文字B
Unicode範囲:U+10600-U+1077F
ISO 15924 コード:.mw-parser-output .monospaced{font-family:monospace,monospace}Lina
注意: このページはUnicodeで書かれた国際音声記号 (IPA) を含む場合があります。
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線文字A(せんもじA、Linear A)は、およそ紀元前18世紀から紀元前15世紀頃までクレタ島で用いられていた文字である。

線文字Bと同様に、左から右に書かれ、音節文字と「表意文字」と呼ばれる記号を含む。線文字Bと共通する文字も多いが、未解読である。
概要

線文字Aの資料は線文字Bと異なり、クレタ島のミノア文化地帯全体に広がっている[1]ファイストスに近いアヤ・トリアダで発見された約150枚の粘土板が最多であるが、ほかにハニアなどでも発見された。周辺の島からも発見されている[2]。音節文字は60のうち50ほどが、表意文字は60のうち40ほどが線文字Bと共通するという[3]。ほかに線文字Bと異なって多数の合字があり、また分数を表す文字が存在する。ゴダールとオリヴィエの文字一覧には単純文字(音節文字・表意文字)として178字、合字164字、分数文字47字を載せている[4]

線文字Bと同様、大部分は財産管理のための目録を記した粘土板だが、いくつかは石や金属に刻まれており、これらは表意文字を含まない[3]
研究史

イギリスの考古学者アーサー・エヴァンズは、1900年クノッソスの発掘を行い、3種類の文字で書かれた粘土板を発見した。エヴァンズはそれぞれを聖刻文字、線文字A、線文字Bと命名した。

文字が刻まれた粘土板自体の品質が悪く、数も少ないこと、文章の体裁に一定の法則が成り立っていないことなどから、現在までのところ線文字Aの解読には至っていない。

線文字Bが1950年代に解読された後、線文字Bの音価を線文字Aにあてはめて読んでみる試みが行われた。有名なものはサイラス・ゴードンによる研究で、ゴードンはこの方法で北西セム語で解釈できる単語を発見したと考えた[5]。また、パーマーのようにアナトリア語派ルウィ語に近いと考える学者もある[6]。しかし、一般に認められた解読は存在しない。
Unicode

2014年の Unicode 7.0 で線文字Aは追加多言語面に追加された[7][8]
ギャラリー.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、線文字Aに関連するカテゴリがあります。

線文字Aが記された粘土板
サントリーニ島で発見)

ザクロス(英語版)出土の線文字A粘土板

脚注^ 高津(1964) pp.299-300
^ 松本(1981) p.76
^ a b Bennett (1996) p.132
^ Goddard, Louis; Olivier, Jean-Pierre (1985). ⇒Recueil des inscriptions en Lineaire A. 5. Ecole Francaise d'Athenes. pp. XXII-XXVII. ⇒http://cefael.efa.gr/detail.php?site_id=1&actionID=page&serie_id=EtCret&volume_number=21&issue_number=5&sp=22 
^ 高津(1964) pp.300-301
^ Palmer, L. R. (1958). “Luvian and Linear A”. Transactions of the Philological Society 57 (1): 75-100. doi:10.1111/j.1467-968X.1958.tb01273.x. 
^Unicode 7.0.0, Unicode, Inc, (2014-06-16), ⇒http://www.unicode.org/versions/Unicode7.0.0/ 
^Linear A, Unicode, Inc., ⇒http://www.unicode.org/charts/PDF/U10600.pdf 

参考文献

C. H. ゴードン 『古代文字の謎―オリエント諸語の解読―』 津村俊夫訳 現代教養文庫 988 社会思想社 1979年
ISBN 4-390-10988-X
- 西セム語説の提唱者による解読過程の説明がある

高津春繁 著「ミュケーナイ文書の解読」、高津春繁、関根正雄 編『古代文字の解読』岩波書店、1964年、235-302頁。


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