緑道(りょくどう、Greenway)とは、通常、都市部または農村部において、レクリエーション利用または環境保護のために確保された未開発の土地に沿った共有利用道のことである[1][2][3]。緑道は、レールトレイルのうち廃線になった鉄道跡、河川・運河沿いの曳舟道、公益事業者のrights of way、または廃した工業用地を利用して作られることが多い。緑道は線形の公園であることもあり、農村部であると野生生物の回廊として機能することもある[4]。ヨーロッパ・緑道協会が定義する緑道の特徴は「通りやすさ」としている。つまり「勾配が低いかゼロ」であることで、「移動に不自由のある人を含むあらゆるタイプの利用者」が利用できるようになっている[5]。
イングランド南部では、この用語は古代のトラックウェイやグリーンレーン、特にリッジウェイのような白亜のダウンランドに見られるものも指す[6]。
定義フィンランド、ポリのジョギングコース
緑道は植生があり、直線的で、多目的である。直線的な公園の中に歩道や自転車道が組み込まれている。アーバンデザインでは、自転車通勤や歩きやすさのための構成要素である。自転車道や緑道の建設に携わるイギリスの団体「サストランス」は、交通のないルートは「誰もが利用することを前提に設計されなければならない」とし、「視覚障害者や移動障害のある利用者を支援する」対策が取られるとしている[7]。
アメリカの作家であるチャールズ・リトルは、1990年に出版した『アメリカのための緑道』[8]の中で、緑道を次のように定義している:.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}川沿い、渓谷、尾根線などの自然の回廊、またはレクリエーション用に転用された鉄道路、運河、風光明媚な道路、その他のルートに沿って設けられた直線的なオープンスペース。公園、自然保護区、文化的特徴、史跡を互いに、また人口密集地と結ぶオープンスペースのコネクターであり、地元では公園道路や緑地帯として指定されている特定の帯状または直線的な公園である[9]
緑道という用語は、グリーンベルトのgreenとパークウェイのwayに由来し、典型的な街路の通路ではなく、レクリエーションや歩行者用であること、また植生が乏しい場所への植生の導入や維持に重点が置かれていることを意味する。緑道には、樹木や低木からなる典型的な公園スタイルの造園だけでなく、コミュニティ・ガーデンを含むものもある。また、ほとんどが連続した小道を持つ傾向がある。緑道はリニアパークに似ているが、後者は都市や郊外の環境でのみ見られる。
ヨーロッパ緑道協会は緑道を次のように定義している。モーターを使わない移動のためだけに確保された連絡路であり、周辺地域の環境と生活の質を高める統合的な方法で開発されたもの。これらのルートは、幅、勾配、路面の状態について満足のいく基準を満たし、あらゆる能力の利用者にとって使いやすく、危険の少ないものでなければならない。- リール宣言、ヨーロッパ緑道協会、2000年9月12日
野生動物の回廊も緑道であるが、保護が第一の目的であるため、必ずしもレクリエーション用の公園として管理されているわけではなく、公共の歩道のような施設が含まれていない場合もある。
特徴北ロンドンのパークランド・ウォークにある鉄道ホームドイツ、ノルトホルンの都市運河に接する標識のある緑道
チャールズ・リトル(Charles Little)は、1990年に出版した『グリーン ウェイ・フォー・アメリカ(Greenways for America)』という本の中で、緑道には一般的に次の5つのタイプがあると述べている:[10]。
都市の川沿い(または他の水域)の緑道。通常、再開発プログラムの一部として(またはその代わりに)、放置され、しばしば荒廃した都市の水辺に沿って作られる。
レクリエーション緑道:運河、廃線になった鉄道路、公道など、自然の回廊を利用した様々な種類の小道や歩道で、比較的長距離のものが多い。
生態学的に重要な自然の回廊。通常は河川や渓流沿いだが、尾根沿いであることは少なく、野生生物の移動と種の交流、自然研究、ハイキングを提供する。
風光明媚で歴史的なルートは、通常、道路、高速道路、水路に沿ったもので、最も代表的なものは、ルートに沿って歩行者が通れるようにするか、少なくとも車から降りられる場所を提供する努力をするものである。
包括的な緑道システムやネットワークは、通常、谷や尾根などの自然の地形に基づくが、単に市町村や地域の代替的なグリーンインフラを形成するために、様々な種類の緑道やオープンスペースを日和見的に集合させることもある。
緑道は都市部だけでなく農村部にも見られる。緑道として再開発された回廊は、しばしば都市と田舎両方を通り、両者をつないでいる。農村部であっても、緑道は住民に公園として管理されたオープンな土地へのアクセスを提供し、農地のように植生はあるが公共利用には不適切な土地とは対照的である。とくに歴史的な田園地帯の道路網が拡大整備され、高速自動車での移動に便利になるように設計し直された場合においては、緑道は、高齢者や若者、移動が苦手な人、あるいはゆったりとしたペースを求める人たちに代替手段を提供しているのである。ニューヨークのハドソン川緑道に掲げられた「NO MOTOR VEHICLES E-BIKES E-SCOOTERS」の標識
トム・ターナー(en:Tom Turner)はロンドンの緑道を分析し、成功している事例に共通するパターンを探る。彼は建築家クリストファー・アレグザンダーのパターン・ランゲージの手法にインスパイアされたのである。パターン・ランゲージとは、組織化された首尾一貫した「パターン」の集合のことで、それぞれの「パターン」は、特定の専門分野内でさまざまな方法で使用できる問題と解決策の核を記述している。ターナーは、緑道には7つのタイプ、つまり「パターン」があると結論づけ、各用語を下記の通りに名付けている [11]。
パークウェイ - この用語は特に、トラックなどの大型車を排除した公園内または公園に接続する道路に用いられる[11]。
ブルーウェイ(en:blueway) - 水上歩道のこと。
ペーヴウェイ(paveway) - 改良された歩道[12]
グレーズウェイ - 建物をつなぐガラス張りの通路。ターナーは都市での利用拡大を主張している[13]
スカイウェイ - 建物と建物をつなぐガラス張りの通路。
スカイブリッジ、スカイウォーク - 都市部において2つ以上の建物を結ぶ、あるいは山間部のレクリエーションゾーン内の高台を結ぶ、高架式の歩道(橋)である。
エコウェイ(ecoway) - 都市内の家庭菜園を含む、つながった緑地または緑の回廊[14].
サイクルウェイ[15]
沿岸道路シカゴ・レイクフロント・トレイル
オーストラリアでは、沿岸道路/フォアショアウェイ(前浜道路またはオーシャンウェイ)[16]は遊歩道やボードウォークに類似する。
前浜道路は持続可能な交通手段のアイデアに関係している。歩行者とサイクリストの両方が通行可能であり、海辺に沿って妨げられることなく移動する機会を与える。海へのアクセスのみを提供する行き止まりの道は、こうした前浜道路ではない。
こうした路の回廊には、海沿いのアクセスを提供する下記のような路が備わっていることが多い[17]
ビーチの歩道
前浜端のオフロード緑道
道路端のオフロード緑道
道路上の自転車道
道路上の自家用車ルート
道路上の公共交通通路
ニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州の州境に、ポイント・デンジャー灯台とゴールドコースト・シーウェイを結ぶゴールドコーストの共有利用歩行者およびサイクリスト用通路がある。このネットワークには36キロメートル (22 mi)で中程度と高質の小道(シカゴ・レイクフロント・トレイル、ドバイ・マリーナ、イースト・リバー・緑道、ニュープリマス海岸ウォークウェイ、マンハッタン・ウォーターフロント・緑道)などがある。
世界中の浜辺の前浜は公道に指定されているものも多い。法的な議論では、前浜はしばしばウェットサンドエリアと呼ばれる(詳細は通行権 (Right of way) を参照)。 リニアパーク (linear park
リニアパーク