緊急災害対策派遣隊(きんきゅうさいがいたいさくはけんたい、英称:Technical Emergency Control Force)は、地震・水害・土砂災害等の大規模自然災害に対応するため、被災自治体等が行う被災状況の迅速な把握、被害の発生および拡大の防止、被災地の早期復旧その他災害応急対策に対する技術的な支援を円滑かつ迅速に実施するために国土交通省に設置されたものである。英称の略でもあるTEC-FORCE(テック・フォース)で呼ばれることが多い。
発足の経緯
2008年(平成20年)5月に、河川局防災課・総合政策局技術安全課が主導して発足した。
災害復旧は、災害が発生する都度、施設を管理する各自治体が体制をとって対応してきたが、被害が起こる前の事前準備という側面で見ると、特に大規模な災害が発生した地域においては人的にも技術的にも十分な事前の準備ができていたとは言えなかった。そこで、今後増大するであろう自然災害への対応の迅速化と充実を目指し、事前に隊員を指名し研修を実施するとともに必要な資機材の準備を行い、地方公共団体の支援を実施する目的で創設された。 国土交通省本省、国土技術政策総合研究所、国土地理院、地方支分部局(地方整備局、地方運輸局、地方航空局)、気象庁に設置される。 具体的な任務は「被災状況の迅速な把握」「被害の発生および拡大の防止」「被災地の早期復旧」であり、「先遣班」「現地支援班」「情報通信班」「高度技術指導班」「被災状況調査班」「応急対策班」(以上、国土技術政策総合研究所・地方整備局が担当)「輸送支援班」(地方運輸局が担当)「地理情報支援班」(国土地理院が担当)「気象・地象情報提供班」(気象庁が担当)で構成される。 先遣班が使用するものに各地方整備局が所有する災害対策用ヘリコプターがある。
2012年(平成24年)5月29日に東日本大震災における問題点を解消し、今後発生が想定される首都直下地震や東海・東南海・南海地震等の大規模災害時において、全国からのTEC-FORCEの迅速な派遣や、派遣隊の組織を超えた被災地での統合的な運用などが可能となるよう「緊急災害対策派遣隊の設置に関する訓令」を定めた。大臣の指揮監督のもと、被災地での指揮監督権を現地の地方整備局長等に集約するなど指揮命令系統の明確化を図るとともに、TEC-FORCEを専門的に担当する事務局を設置して具体的な活動計画の策定や隊の管理・運営を行うこととした [1]。
概要
災害対策用機械
先遣班
「みちのく」(ユーロコプターAS332L2) - 東北地方整備局
「ほくりく号」(ベル412EP) - 北陸地方整備局
「あおぞら」(アグスタウエストランド AW139) - 関東地方整備局[2]
「まんなか」(ベル412EP) - 中部地方整備局
「きんき」(アグスタウエストランド AW139) - 近畿地方整備局[3]
「おりづる」(アグスタウエストランド AW139) - 中国地方整備局 [4]
「愛らんど号」(ベル412EP) - 四国地方整備局
「はるかぜ」(アグスタウエストランド AW139) - 九州地方整備局
情報通信班
衛星通信車
衛星通信車 - 災害現場における通信手段の確保や情報収集を行う。
衛星小型画像転送装置 - Ku-SATとも呼び、可搬型で災害現場に搬入し、カメラ(ビデオカメラ等)で撮影した画像を通信衛星(JCSAT)を利用して画像伝送する。なお、リアルタイムの動画像伝送が可能。
応急対策班
排水ポンプ車
遠隔バックホー
照明車
土のう造成機
橋梁点検車
対策本部車-災害現場で打合せ等に使用する。
大型土のう袋詰機(九州地方整備局)[5]
遠隔ラフテレーンクレーン(北陸地方整備局)
応急対策班
照明車
橋梁点検車
対策本部車
遠隔バックホー
国内派遣活動
2008年6月:岩手・宮城内陸地震被災地に先遣班、高度技術指導班、土砂災害危険箇所点検緊急支援チーム、応急対策班(照明車、遠隔バックホウ、排水ポンプ車を配備)、情報通信班(衛星通信車、Ku-SATを配備)を派遣。派遣された人数は437人、機械37台であった。
2009年7月:平成21年7月中国・九州北部豪雨に本省2人、中国地整42人、中部・近畿・四国地整15人派遣。排水ポンプ車5台、照明車7台等を山口県防府市等に派遣[6]。