続群書類従
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『群書類従』(ぐんしょるいじゅう)は、塙保己一編纂した国学国史を主とする一大叢書

塙保己一が古書の散逸を危惧し、1779年安永8年)、菅原道真を祀る北野天満宮に刊行を誓った。江戸幕府や諸大名・寺社公家などの協力を得て、収集・編纂した。古代から江戸時代初期までに成った史書や文学作品、計1273種を収めている。寛政5年(1793年) - 文政2年(1819年)に木版で刊行された。

歴史学国学国文学等の学術的な研究に、多大な貢献をしている。
構成

正編は1273種530巻666冊からなり、以下の25部に分類されている。
神祇

帝王

補任

系譜

伝部

官職

律令

公事

装束

文筆

消息

和歌

連歌

物語

日記

紀行

管弦部

蹴鞠



遊戯部

飲食部

合戦

武家

釈字部

雑部

続群書類従

正編と同様に25部に分かち2103種、1000巻、1185冊の一大叢書。群書類従に続いて塙保己一が計画し、没後は弟子たちが引き継いだ。

経済雑誌社1902年明治35年)から1914年大正3年)にかけて活字本を刊行したが、第19輯までで中断。その後、1922年(大正11年)に残りの刊行を目的として「続群書類従完成会」が設立され、1923年(大正12年)から1928年昭和3年)にかけて第20輯上から第33輯下までが刊行された。さらに戦後、書目にありながら所在不明となっていた欠本の調査が進められ、1969年(昭和44年)に第34輯、1972年(昭和47年)に第35-37輯が刊行され、完結した[1]
その他

塙保己一は群書類従の版木を製作させる際、なるべく20字×20行の400字詰に統一させた。現在の原稿用紙の基本様式となっている。

群書類従の版木は温故学会 ⇒[1] が所蔵管理している。

明治時代以降に、国書刊行会(1905年設立の出版団体、1971年設立の同名の出版社とは無関係)により、『続々群書類従』(神祗部、史伝部、記録部、法制部、地理部、教育部、宗教部、詩文部、歌文部、雑部)、『新群書類従』(演劇部、歌曲部、書目部、舞曲部、歌曲部、狂歌部)が編纂された。

「続群書類従完成会」は、その後も史料集を中心に出版事業を行っていたが、2006年9月に不渡りを出し事実上倒産した[2][3]。同社は会社更生法の申請を行わず、破産の申し立て東京地方裁判所に行った[4]。2007年6月より、八木書店が『群書類従』などの出版事業を引き継いだ。また、2014年10月1日より『群書類従』(30冊)、『続群書類従』(86冊)、『続々群書類従』(17冊)の全文がデータベース化されジャパンナレッジ上で公開されている。

『群書類従』収録文献一覧
凡例

『群書類従』に収録されている文献の一覧である。

同一の文献でも複数の資料名があるものがあるが、ここでは続群書類従完成会本の『群書類従』に記載されている資料名を用いた。

これらの文献は、日本の歴史・文化・芸能・芸術を知るための基本的文献であると考えられ、文献研究も他の資料と比較して盛んに行われていることから、全て資料名に項目リンクを付けておく。ただし、適宜省略しても良いと思われる。

一覧

『群書類従』収録文献一覧通し番号部巻資料名備考
1神祇部1『
皇太神宮儀式帳伊勢神宮の祭祀の規定書。『延暦儀式帳』。
2神祇部2『止由気宮儀式帳』伊勢神宮の祭祀の規定書。『延暦儀式帳』。
3神祇部3『太神宮諸雑事記』伊勢神宮の歴史書。
4神祇部4『神宮雑例集』伊勢神宮の記録。
5神祇部5『二所太神宮例文』伊勢神宮神職の補任記録。
6神祇部6『内宮長暦送官符』伊勢神宮式年遷宮の装束神宝に関する太政官符
7神祇部6『外宮嘉禄三年山口祭記』伊勢神宮外宮の遷宮記録。
8神祇部7『貞和御飾記』伊勢神宮外宮の遷宮記録。
9神祇部7『内宮臨時仮殿遷宮記』伊勢神宮内宮の仮殿遷宮記録。
10神祇部8『治承元年公卿勅使記』勅使差遣記録。
11神祇部8『正応六年公卿勅使御参宮次第』伏見天皇蒙古降伏祈願の際の伊勢神宮側の記録。
12神祇部9『神鳳鈔』伊勢神宮の社領御厨)の記録。
13神祇部10『古老口実伝』『古老口実抄』。伊勢神宮の記録。
14神祇部10『詔刀師沙汰文』伊勢神宮御師の記録。
15神祇部11『元亨元年十一月廿二日高宮仮殿日記』伊勢神宮別宮多賀宮の仮殿遷宮の記録。
16神祇部11『高宮御装束奉飾日記』伊勢神宮別宮多賀宮の仮殿遷宮の記録。
17神祇部12『小朝熊社神鏡沙汰文』伊勢神宮朝熊神社の神鏡紛失事件の記録。
18神祇部13『八幡愚童訓』『八幡愚童記』。石清水八幡宮の縁起。
19神祇部14『石清水八幡宮護国寺略記』石清水八幡宮の縁起。
20神祇部14『宮寺縁事抄』石清水八幡宮の記録。
21神祇部14『石清水放生会記』石清水八幡宮の記録。
22神祇部14『権別当宗清法印立願文』石清水八幡宮の記録。
23神祇部14『石清水宮御願書』石清水八幡宮の記録。
24神祇部15『賀茂皇太神宮記』賀茂神社関係の史料。
25神祇部15『文永十一年賀茂祭絵詞』賀茂神社関係の史料。
26神祇部15『賀茂社御願書』賀茂神社関係の史料。
27神祇部16『春日権現験記』『春日験記』。春日大社の縁起。
28神祇部17『春日社記』春日大社の記録。
29神祇部17『春日大明神垂跡小社記』春日大社境内社の記録。
30神祇部17『春日神木御入洛見聞略記』春日大社の記録。
31神祇部17『さかき葉の日記』春日大社の記録。『榊葉日記』とも表記。
32神祇部18『大三輪神三社鎮座次第』大神神社の縁起。
33神祇部18『大倭神社註進状』大和神社率川神社の記録。
34神祇部18『広瀬社縁起』広瀬神社の縁起。
35神祇部18『日吉社神道秘密記』日吉大社の記録。
36神祇部18『日吉神輿御入洛見聞略記』日吉大社の記録。
37神祇部19『北野縁起』天満信仰北野天満宮の記録。仮名版も?
38神祇部19『両聖記』天満信仰の記録。
39神祇部19『菅神入宋授衣記』天満信仰の記録。
40神祇部20『天満宮託宣記』天満信仰・北野天満宮の記録。
41神祇部20『菅家御伝記』天満信仰の記録。
42神祇部20『最鎮記文』天満信仰・北野天満宮の記録。
43神祇部20『梅城録』天満信仰の記録。
44神祇部21『廿二社本縁』二十二社の神社誌。
45神祇部22『二十二社註式』二十二社の神社誌。著者は吉田兼右に仮託。
46神祇部23『大和豊秋津嶋卜定記』諸社の霊験記。
47神祇部23『大日本国一宮記』諸国一宮の神社誌。
48神祇部23『延喜式神名帳頭註』吉田兼倶著。延喜式神名帳の考証。
49神祇部23『尾張国内神名牒』国内神名帳
50神祇部23『伊豆国神階帳』国内神名帳。
51神祇部23『上野国神名帳』国内神名帳。
52神祇部24『藤森社縁起』藤森神社の縁起。
53神祇部24『尾張国熱田太神宮縁記』熱田神宮の縁起。
54神祇部24『荏柄天神縁記』荏柄天神社の縁起。
55神祇部24『宇都宮大明神代々奇瑞之事』宇都宮二荒山神社の縁起。
56神祇部25『竹生島縁起』竹生島神社の縁起。
57神祇部25『走湯山縁起』伊豆山神社の縁起。


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