絶歌
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絶歌 神戸連続児童殺傷事件
著者元少年A
発行日
2015年6月28日
発行元太田出版
ジャンル手記
日本
言語日本語
形態上製本
ページ数294
コード.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-7783-1450-7

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『絶歌 神戸連続児童殺傷事件』(ぜっか こうべれんぞくじどうさっしょうじけん)は、1997年に発生した神戸連続児童殺傷事件の加害者の男性が、「元少年A」の名義で事件にいたる経緯、犯行後の社会復帰にいたる過程を綴った手記[1]2015年6月28日に太田出版から出版された(発売は6月10日[注 1])。初版は10万部。

なお、太田出版は6月17日、今後も増刷する意向を公式サイトで表明しており[2]、7月10日付で第2刷、7月21日付で第3刷が出されている。
刊行の経緯

本書の企画は本来、2012年冬に加害男性から幻冬舎社長の見城徹に持ち込まれたものであった[3]。見城は幻冬舎社内に3人の編集チームを置き、2013年初めには加害男性とも対面、幻冬舎内で企画を進めていた[3]。見城への手紙から4か月後には最初の原稿が完成したが、贖罪意識に乏しい内容であったことから見城はそれを没にして、いちから書き直させたという[3]

見城は幻冬舎から出版するにあたって「本当に贖罪意識を持つこと」「実名で書くこと」「遺族に事前に挨拶をすること」という3点を満たす必要があると考えていたといい、2014年頃からは加害男性に対して太田出版など3社の名前を挙げて、他の出版社から出すことを提案していた[3]。2015年1月に『週刊新潮』が本書の企画を記事で取り上げた際、幻冬舎内部では既に出版しないことを決めていたため取材にもそう答えたが、それを知った加害男性は出版を取り止めると言い出したという[3]。しかし3月初旬の対面の際、加害男性はやはり出版したいので太田出版を紹介してほしいと見城に頼み、見城は太田出版社長の岡聡に加害男性を紹介した[3]。なお、加害男性は執筆に専念するためと見城から400万円以上を借りていたが、これはすべて太田出版が立て替えており、本書の印税から返済されることになっている[3]

太田出版ではかつて『完全自殺マニュアル』を手掛けた落合美砂が本書の担当となった[3]。落合自身は本文へ直接手出しはしておらず、修正の際は加害男性に伝えて本人が行ったという[3]。『絶歌』のタイトルも本文の見出しも加害男性による[3]。太田出版に引き継がれてから3か月後の2015年6月、本書は発売された[3]。情報が漏れることを防ぐため、出版取次にもタイトル以外は伏せられており、「元・少年A」の手記が発売されることは当日に朝日新聞が報じたのが最初となった[3]。幻冬舎内で担当をしていた編集者によると、最終的に刊行された本書の内容は、幻冬舎のころの原稿から削られた箇所や、削ってもらったものが復活した箇所があるという[3]

本書の刊行が事前に神戸連続児童殺傷事件の遺族に伝えられることはなかったが、発売から1週間経った6月16日、加害男性側の弁護士から殺害された女児の遺族へ本書と手紙を渡したいという連絡があり、遺族は弁護士と22日に面会したが、いずれも受け取りを拒否した[4]。手紙の内容は、了承を得ず出版したことを謝罪するものだが、B5判に10行ほどのそれは「まるで本の送付書のよう」であったという[4]。殺害された男児の遺族にも加害男性側の弁護士から連絡があったが、こちらも遺族は手紙の受け取りを拒否している[5]。女児の遺族はこれまで加害男性から毎年手紙を受け取っていたといい、2013年に加害男性から送られてきた手紙は「涙が止まらないくらい胸を打つものがあった」が、しかし2014年や2015年のものは「自身を客観的に見てきれいにまとめ、小説を読んでいるようだった」と述べている[6]

栗原裕一郎は本書についてゴーストライター説も一部にあるとしたうえで、第一部・第二部の文体の違いなどから、その可能性は低いとみている[7]
構成

第一部と第二部の文面は大きく異なっており、第一部の文面は装飾過多だが構成はよく練り込まれている[7]。一方、第二部は平易な文章で事実を綴っているが、内容が未整理な印象を受ける[7]

口絵 - 3歳の筆者と祖母の写真1枚。p.37で言及あり。

第一部

名前を失くした日

夜泣き

生きるよすが



それぞれの儀式

ちぎれた錨

原罪

断絶

GOD LESS NIGHT

蒼白き時代

父の涙

ニュータウンの天使

精神狩猟者(マインド・ハンター)

咆哮

審判


第二部

ふたたび空の下(二〇〇四年三月十日?四月上旬)

更生保護施設(二〇〇四年四月上旬?四月中旬)

ジンベイさんとイモジリさん(二〇〇四年四月中旬?二〇〇四年五月中旬)

最終居住先(二〇〇四年五月中旬?二〇〇五年一月)

旅立ち(二〇〇五年一月?二〇〇五年八月)

新天地(二〇〇五年八月中旬?二〇〇七年十二月)

流転(二〇〇八年一月?二〇〇九年六月頃)

居場所(二〇〇九年九月?二〇一二年十二月)

ちっぽけな答え(二〇一二年十二月?)

道(二〇一五年 春)


被害者のご家族の皆様へ

反応

本書の出版に当たっては遺族の一人が批判したことに起因し、識者や世論において出版の是非や内容を巡って賛否が割れるなど、様々な反響を呼んだ。被害者の父親は、版元である太田出版に対して抗議しており、速やかな回収を求めた[8]

GLAYHISASHIは、2015年6月11日にInstagramにこの書籍の表紙の画像を投稿したが、これに対して数多くの批判が寄せられたために投稿した画像を削除した[9]

啓文堂書店は、被害者遺族の心情に配慮し、この書籍を一切取り扱わないこととした[10][注 2]神戸市に本社を置く喜久屋書店も6月13日までに、全店舗からこの書籍を撤去した[11]

9月10日の『週刊文春』『週刊新潮』は、加害少年が「存在の耐えられない透明さ」と題したホームページを開設したことを報じた[12]
行政・公共図書館の対応

日本図書館協会は本書について、購入や閲覧貸出といった取り扱いの制限を行うべき書籍ではないとの判断を示した(詳しくは#日本図書館協会の見解を参照)が、図書館によって異なった判断がされている[13]
兵庫県
6月17日、兵庫県立図書館は「地元の図書館として、遺族の感情や人権に配慮せざるを得ない」などとして、この書籍の貸出複写を制限する方針を決めた。6月22日、兵庫県知事の井戸敏三は、定例会見にて兵庫県立図書館が「遺族感情人権に配慮する」などの理由から、学術研究を目的とした[14]館内の閲覧のみとし貸し出しを行わない制限を決めたことについて「慎重を期したやむを得ない措置」との見解を示したが、「被害者の遺族が抗議していることは知っているが行政機関が主体的にタッチする話ではなく、良識ある読者が個々に判断すべきこと」とした[15]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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