絵具(えのぐ)は、絵画の描画・着彩や工芸品等の彩色に使われる材料。 絵具は顕色材と展色材からなる。大抵は他に助剤が加わる。 以下のように種類分けできる。 水性の絵具と油性の絵具がある。乳濁液による絵具は乳濁液を用いたものであり、油の中に水性の粒子が分散したWO乳濁液と水の中に油性の粒子が分散したOW乳濁液がある。水で希釈できるOW乳濁液の場合、乾燥後は耐水性をもつ。 水彩絵具は、アカシア樹脂(ガム アラビック)を固着材に用いる。ふつう水彩絵具と呼ばれるのは透明水彩絵具である。不透明水彩絵具にはガッシュ、ポスターカラーがある。乾燥した後も水に溶ける。その性質を利用して、固形水彩絵具や顔彩のような固形の絵具も作られている。 水性テンペラは、卵、カゼイン、膠、アラビアガムなどを展色材とし、ふつう卵黄由来の脂質または乾性油のエマルションを含んだ絵具である。多くは乾くと耐水性を持つ。 水性アクリル絵具は、20世紀に入って登場した合成樹脂、アクリル樹脂エマルションを展色材とする絵具。乾くと耐水性を持つ。 水性アルキド樹脂絵具は、時間をかけて耐水性になる水性絵具の一種。すばやく水分が乾燥し、化学反応により数十日程度の時間をかけて耐水性の油性塗膜として硬化する[2][3][4]。また油性の下地にも描けるといった特徴がある。日本の絵具メーカークサカベにより、2006年に初めて製品化された[5]。 ディステンパー(英: distemper[6])またはデトランプ(仏: detrempe[6])は、膠、カゼイン、アラビアガムといった水溶性の固着剤を用いた絵具・塗料である[7][8][9]。多くは白色顔料と混ぜて不透明にし、室内装飾や舞台美術に用いられる。
組成
顕色材[1]
色を顕(あら)わす材料。顕色成分。発色成分。具体的には色素のことであり、大抵は顔料が用いられる。
展色材[1]
色を展(の)べて定着させる材料。大抵は、固着材と溶剤からなる。
固着材[1](バインダー)
顔料等の物質を固着させる物質。展色材それ自体である場合も、展色材の構成要素である場合もある。
溶剤
物質を溶解し均一な溶液を構成する液体。粘度、濃度の調整にも用いる。溶媒。
助剤
乾燥促進剤や防腐剤・防黴(ボウバイ)剤のこと。
主な固着材の種類
溶剤の蒸発で乾燥するもの
膠、アラビアゴム、アクリルエマルションのアクリル樹脂など。
溶剤の蒸発と化学的な変化で乾燥するもの
テンペラの卵黄。
酸化重合で硬化するもの
乾性油、アルキド樹脂など。
熱可塑性によるもの
熱によって融解した状態で塗られ、冷えて固まるもの。エンカウスティック(蝋画)に用いられる蝋。
種類
水性の絵具
水彩絵具
水性テンペラ
水性アクリル絵具
水性アルキド樹脂絵具
ディステンパー
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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