絡新婦の理
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絡新婦の理
ジャンル
ミステリー伝奇
小説:絡新婦の理
著者京極夏彦
出版社講談社
レーベル講談社ノベルス
発売日1996年11月
漫画
原作・原案など京極夏彦
作画志水アキ
出版社講談社
掲載誌マガジンSPECIAL
レーベル講談社コミックス
発表号2015年No.6 - 2017年No.2
巻数全4巻
テンプレート - ノート

『絡新婦の理』(じょろうぐものことわり)は、京極夏彦の長編推理小説妖怪小説。百鬼夜行シリーズ第五弾である。
書誌情報

新書判:1996年11月、
講談社ノベルスISBN 4-06-181932-1

文庫判:2002年09月、講談社文庫ISBN 4-06-273535-0

分冊文庫判:2006年1月・2月、講談社文庫、[1] ISBN 4-06-275288-3、[2] ISBN 4-06-275289-1、[3] ISBN 4-06-275316-2、[4] ISBN 4-06-275317-0
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あらすじ

聖ベルナール女学院には、「蜘蛛の悪魔」を崇拝し、冒涜のために売春を行う秘密サークル「蜘蛛の僕」が存在した。麻田夕子は売春が露見しそうになり、邪魔者に悪魔の呪いをかける。すると相手は本当に死んでしまう。呪いの噂を聞いた渡辺小夜子は、自分を慰み物にしている男性教師を殺して欲しいと、悪魔に願う。呉美由紀は、悪魔なんていないと一喝するも、夕子が呪った前島八千代と、小夜子が呪った本田幸三が、呪ったとおりに殺される。そこに理事長の織作是亮が、美由紀が売春組織の一員と思い込み、金をよこせと脅迫してくる。小夜子は、今度は是亮を呪う。

房総半島を訪れた伊佐間一成は、骨董商の今川雅澄と共に、骨董鑑定のために近在の旧家・織作家の屋敷へと赴く。だがそこで織作是亮が絞殺される。

刑事木場修太郎は、4人を殺した連続殺人犯「目潰し魔」の捜査に奔走する内、友人の川島新造が何らかの手がかりを持っているのではないかと踏む。しかし新造は「蜘蛛に訊け」と謎めいた言葉を残して行方をくらませる。木場は手がかりを辿って川島喜市から織作家へと行き着き、伊佐間たちと合流する。しかし川島新造と高橋志摩子は真犯人の計略にはまっており、志摩子は殺されてしまう。

増岡弁護士は、聖ベルナール女学院の不祥事対処について相談するために、榎木津礼二郎の探偵社を訪れる。だが榎木津は不在で、探偵助手の益田龍一が人探しの依頼を受けたところであった。増岡と益田は連れたって中禅寺秋彦のもとを訪れ、2人の目的の趣旨に「目潰し魔」「織作家」という共通項がある偶然を不思議がる。中禅寺は「不思議なものか」と言いつつも「その偶然はすでに、誰かの張った蜘蛛の巣の上に乗っていないか?」「僕ら3人は網に掛かっている」と述べる。

やがて益田は榎木津に伴って聖ベルナール女学院に赴き、美由紀から話を聞く。今川は、織作家にかけられた天女の呪いを解くよう、中禅寺に憑物落しを依頼する。
登場人物
主要登場人物
伊佐間 一成(いさま かずなり)
視点人物の一人。釣り堀屋。釣りに訪れた房総半島で呉仁吉という老人に出会い、彼の頼みで戦友の今川を紹介する。さらに耕作からの依頼で織作御殿に向かう今川に同行した際に殺人事件に巻き込まれ、織作屋敷に拘留される。
今川 雅澄(いまがわ まさすみ)
視点人物の一人。古物商。伊佐間の依頼で呉老人の蒐集物の鑑定にやってくる。織作雄之助の遺品買取のために織作御殿に招かれた際に殺人事件に巻き込まれ、織作屋敷に拘留される。
木場 修太郎(きば しゅうたろう)
視点人物の一人。警視庁の刑事。連続殺人犯「目潰し魔」の捜査をしており、前島八千代の死に関わっている可能性のある川島新造・川島喜市を捜索する。
益田 龍一(ますだ りゅういち)
視点人物の一人。神奈川県警の刑事を辞め、榎木津の探偵助手となった。入社試験として杉浦隆夫を捜索するよう命じられ、別件で榎木津に依頼に来ていた増岡と共に中禅寺の元へ相談に行く。
中禅寺 秋彦(ちゅうぜんじあきひこ)
陰陽師にして古本屋。益田と増岡から相談を受けた際に2つの別々の事件に関連があることに気付く。殺人犯を操る真の黒幕の存在をいち早く察知するが、事件に関われば自分も盤上の駒にされてしまうと必要以上の協力を渋る。一方で妹に指示して事件の情報を集める。
榎木津 礼二郎(えのきづ れいじろう)
破天荒な私立探偵。特殊な能力を持っている。美江からの依頼を助手志望の益田に任せ、柴田財閥や父からの依頼で渋々聖ベルナール女学院の不祥事の解決に出向く。
関口 巽(せきぐち たつみ)
小説家。本作では事件に直接関わらず、ラストに登場するのみ。「百鬼夜行シリーズ#主な登場人物」を参照
犯人
蜘蛛(くも)
聖ベルナール女学院七不思議の一つ、礼拝堂の十字架に潜むという大蜘蛛。女を呪い殺す良い悪魔。麻田夕子が山本純子らを呪い殺すよう願った。『絡新婦の理』事件の真犯人であり、絞殺魔と目潰し魔を陰から操る。蜘蛛の巣に形容される計画を作り上げた知能犯。真犯人を知るには巣を離れて俯瞰して見るより他ないが、巣に絡め取られないためには事件自体を知らないでいなければならず、一度盤面に乗ってしまうと、中心に向けて進んでいるかどうかさえ判らない。
黒い聖母(くろいせいぼ)
聖ベルナール女学院七不思議の一つ、徘徊して血を吸うという小像。男を呪い殺す悪魔。渡辺小夜子が本田幸三を呪い殺すよう願った。
絞殺魔(こうさつま)
黒い聖母のことか。千葉の聖ベルナール女学院の近郊に現れた、首をへし折って殺す殺人鬼。本田幸三や織作是亮を絞殺する。
目潰し魔(めつぶしま)
東京と千葉で女性を狙い、両目を抉って殺す殺人鬼。平野祐吉・川島新造・川島喜市の3人が容疑者として浮上する。本編開始の時点で4人を殺している。
聖ベルナール女学院
呉 美由紀(くれ みゆき)
2年3組。13歳。水産会社社長令嬢。女学院パートの視点人物。ひょろひょろと背が高く、腕も脚も長い。気骨があり、友人が困っているのを放っておけない質だが、鈍感で細かな機微には長けておらず、心中を察するのは苦手。親友の渡辺小夜子の身を案じて行動するうち、学院内で起こった事件に巻き込まれてしまう。悪魔などいないと考えつつ、黒い聖母らしき人影を追って本田の殺害現場を目撃、小夜子が校舎屋上から飛び降りるのを見て気絶するが、目を覚ますと何故か小夜子ではなく夕子が転落死したと告げられ、
売春組織との関連を疑われて是亮や海藤に厳しく尋問されて金銭を要求される羽目になる。誰にも言えず、藁にもすがる思いで祖父に相談し金を頼む。続編の『今昔百鬼拾遺』シリーズにも主人公として登場する。
渡辺 小夜子(わたなべ さよこ)
2年3組。13歳。網元の娘だが、昭和27年夏に実家の船が事故を起こして経済状態が悪化し、寄付金の額が落ち込んで学校での立場と待遇が悪くなっている。それを理由に9月に担任の本田に陵辱され、以来何度も関係を強要されて殺意を抱く。
麻田 夕子(あさだ ゆうこ)
2年2組。13歳。代議士の娘。「蜘蛛の僕」のメンバー。美由紀と小夜子に「蜘蛛の呪い」について語り、川野弓栄、山本純子、前島八千代に呪いをかけて殺したと告白する。同志の考えに疑問を持ち、抜けようとしているため、同志達から制裁で暴行されている。またグループを抜けようとした矢先に山本から売春行為を疑われ、厳しい尋問を受けた。
坂本 百合子(さかもとゆりこ)
1年生。蕎麦滓の小さな娘。臆病な割に口が軽い。聖ベルナール女学院に伝わるという、「黒い聖母の呪い」を美由紀と小夜子に教える。
本田 幸三(ほんだ こうぞう)
聖ベルナール女学院の男性教師。46歳で、学院に奉職する男性教師の中では一番若手。過去に何度か女性関係のトラブルを起こしており、近年は真面目に教職で働いていたが、小夜子に目をつけ不貞な関係を強要する。小夜子によって「黒い聖母」に呪われた後に、校舎の屋上で絞殺される。
柴田 勇治(しばた ゆうじ)
柴田財閥総帥。柴田家に養子入りし、聖ベルナール女学院の理事長をしていたが、前年の先代他界に伴って総帥に就任した。物腰柔らかな好青年。正義感の強い善人だが鈍感。
海棠 卓(かいとう すぐる)
勇治の腰巾着。高慢で慇懃無礼な虫唾の走る喋り方をする。美由紀から売春組織のメンバーを聞き出そうとする。
増岡 則之(ますおか のりゆき)
準レギュラー。柴田財閥の弁護士。柴田傘下の聖ベルナール女学院で起きた不祥事の始末のため、榎木津探偵社を訪れる。榎木津が不在であったため、益田と共に中禅寺の元を訪れる。
織作家
織作 五百子(おりさく いおこ)
織作家の最古老。紡織業初代・織作嘉右衛門の妻であり、四姉妹の曾祖母。100歳近い高齢。銀髪の老媼で、
老人性痴呆症の気があり、足腰が弱って多くは座った切りなので、茜に介護されている。
織作 雄之助(おりさく ゆうのすけ)
真佐子の婿。織作紡織の3代目当主。柴田財閥の腹心。出身は越後で、大正14年に婿入りした。柴田財閥を後ろ盾につけて事業を拡大して戦中もかなり儲けていた。婦人の人権拡大については寛容で割と理解もある方だったが、性の解放に関する話題は頭ごなしに激怒していた。書画骨董の蒐集を好んだ。敗戦後の4、5年は心臓を悪くして伏せりがちになり、昭和28年3月に心筋梗塞のため急死する。伊佐間が房総を訪れた折には、織作雄之助の葬儀が行われていた。
織作 真佐子(おりさく まさこ)
家長。47歳。当主雄之助の妻で、紫・茜・葵・碧ら四姉妹の母親。絶世と評するに相応しい容貌の上品な婦人で、強く近寄り難い雰囲気があり、30歳でも通る程若々しい。いかなる時も毅然としている気丈な女性。夫個人には殆ど興味がなく、口も利かなければ寝所も別だった。困っている訳でもないのに織作が柴田傘下に組み入れられた際には猛反対し、会社名が柴田紡織になる筈のところを織作紡織機で通した。辛気臭い骨董品を嫌い、是助が織作の名で勝手に夫の遺品を売買する前に今川に処分を依頼する。
織作 茜(おりさく あかね)
織作家の次女。28歳。類稀なる美形だが、まだ幼さを残した、柔和な温順しそうな顔つきで、控え目で存在が薄い。気が弱く、謙虚な姿勢を崩さない。夫である是亮の乱暴な態度と雑言に耐える貞淑な妻。かつて薬学の学校に通っていた。
織作 葵(おりさく あおい)
織作家の三女。22歳。非のうちどころがない美形。「婦人と社会を考える会」の中心人物として女性の権利向上の為の活動をしており、発言は常に論理的で厳しく、男尊女卑を匂わせる発言をした人間には高圧的な態度をとる。非常に聡明且つ情熱的なので、シンパも大勢いる。両親とは折り合いが悪い。生涯結婚しないと公言している。
織作 碧(おりさく みどり)
織作家の四女。聖ベルナール女学院2年生。昭和15年生まれの13歳。真っ直ぐに伸びた緑の黒髪、淡雪の如き白い肌、大きな瞳を縁取る長い睫毛が特徴的な、同性も見蕩れる程の天使のような美少女で、学友からは「織姫」の渾名で呼ばれている。


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