結核
結核患者の胸をX線撮影した写真
概要
診療科感染症内科学, 呼吸器学
分類および外部参照情報
ICD-10A15
世界の疾病負荷(WHO、2019年)[1]順位疾病DALYs
(万)DALYs
(%)DALYs
(10万人当たり)
1新生児疾患20,182.18.02,618
2虚血性心疾患18,084.77.12,346
3脳卒中13,942.95.51,809
4下気道感染症10,565.24.21,371
5下痢性疾患7,931.13.11,029
6交通事故7,911.63.11,026
7COPD7,398.12.9960
8糖尿病7,041.12.8913
9結核6,602.42.6857
10先天異常5,179.72.0672
11背中と首の痛み4,653.21.8604
12うつ病性障害4,635.91.8601
13肝硬変4,279.81.7555
14気管、気管支、肺がん4,137.81.6537
15腎臓病4,057.11.6526
16HIV / AIDS4,014.71.6521
17その他の難聴3,947.71.6512
18墜死3,821.61.5496
19マラリア3,339.81.3433
20裸眼の屈折異常3,198.11.3415
結核(けっかく、Tuberculosis)とは、マイコバクテリウム属の細菌、主に結核菌(Mycobacterium tuberculosis)により引き起こされる感染症[2][3]。
日本では、江戸時代から明治初期まで肺結核は労咳(癆?、ろうがい)、労?(ろうさい)と呼ばれた[4][5]。肺病は、肺の病気の総称であったが、俗称として肺結核の意味もあった[6]。多くの人が罹患する病気で好発部位は肺であるが、全身の臓器・器官に感染し、顕著な症状を呈している部位名の前後に「結核」を付け加えるなどした呼び方により細分化される(肺結核、肺外結核、カリエス参照)。
結核菌は1882年に医師・細菌学者であったロベルト・コッホによって発見された。炎症を起こす結核菌の周囲を炎症した細胞が取り囲み結節を形成する様子から、結核と呼ばれるようになった[7]。別の説では、7世紀の中国で、結核性頸部リンパ節炎(古称:瘰癧)の見た目が「くだものの種(核)が連なったような」様子から結核と呼ばれ、結核性頸部リンパ節炎と労咳は別の病気と考えられていたが同じものだという研究結果から結核となった話がある[8]。
感染経路は結核菌を含む飛沫核の吸入による空気感染で[3]、結核患者からの咳、くしゃみ、唾液より感染する[3]。世界人口の約4分の1が結核菌に感染しており、その中の5‐10%に結核の症状を発症し、発症した人からしか感染は起きない[3]。抗菌剤が効かない多剤耐性肺結核(MDR-TB)や「超多剤耐性」(XDR)の薬剤耐性が問題となっている[9][10]。 世界保健機関(WHO)によると、結核は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の次に死者の多い感染症であり[3]、2021年には1000万人の患者が発症し160万人が死亡したと推定している[3]。 世界の10大死因のひとつで、結核死亡の95%以上は低中所得国で発生、うちインド、次いで、インドネシア、中国、フィリピン、パキスタン、ナイジェリア、南アフリカ共和国の7か国で、全体の64%を占めているとされる[11]。とくにインドは2019年264万人の患者が発生、人口10万人あたりの罹患率は日本の約19倍、世界の結核患者の26%を占めるとされる[12]。 現在では抗生物質による治療薬があるものの、多剤耐性結核の出現の問題もあり、また、小児には使用が推奨されていないという問題がある[12]。小児の死亡率も高く、2016年には、推定で100万人の小児が結核を発症し、25万人が結核で死亡(HIVに感染した小児を含む)したとされる[11]。また、結核は、HIV感染者の死亡の第一原因であり、2016年には、世界のHIV感染者の死因の40%が結核だったとされる[11]。
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