パッチム
各種表記
ハングル:??
発音:パッチ?
RR式:batchim
MR式:patch'im
英語表記:patchim
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パッチム(??、patchim)とは、ハングルにおいて〈子音+母音+子音〉などで構成される音節(閉音節)で最後の音をあらわす子音または子音字母。終声とも呼ばれる。 朝鮮語では、子音は、一音節のなかで母音の前後に来ることができる。二重子音を含む19の子音は全て母音の前に置くことができるが、?, ?, ?を除く16の子音は母音の後ろに来ることができる。たとえば、 などである。このように、母音の後に来て音節の最後の音を構成する子音を「パッチム」と呼ぶ。パッチムには、朝鮮語で「支えるもの」「下敷き」の意味があり、上記の例でいえば? (ki) の下の位置に? (m)、? (pa) の下位に? (k) の音素を表記して全体として1音節を表す。 パッチムをとる音節は、閉音節である。閉音節には、次のような種類がある。 パッチムには、? (k)、? (n)、? (t)、? (l)、? (m)、? (p)、? (ng) の7つの音価がある。 朝鮮語で語中・語尾の「ク」「ル」「ム」「プ」と表現される音は、後に母音を伴わないパッチムであることが多い(例: ソウル=??、キムチ=??)。 パッチムをとる子音は16個 (?、?、?、?、?、?、?、?、?、?、?、?、?、?、?、?) あり、二重子音11個をふくめると27個にのぼるが、発音は7通りだけである。発音欄の ? は、内破音を表す国際音声記号 (IPA) の補助記号である。 パッチムの発音が7通りしかないにもかかわらず、激音や濃音などの字母をパッチムに使用したり、二重パッチムを使用するなど、表記上27種類に書き分けるのは、朝鮮語の形態音素表記のためである。 子音二重子音発音 二重パッチム以外の16種類のパッチムの発音は、次のように整理することができる。 あるいはハングル(訓民正音)の創製原理から次のように整理することもできる。 2つの異なる子音字母を組み合わせてパッチムに用いたもの、具体的には、?、?、?、?、?、?、?、?、?、?、?の11個を二重パッチムと呼ぶ。 後に母音が続く場合,パッチムは,原則としてそのまま発音される(例: "??"→/??/,"??"→/??/)が,例外的に?・?は,?が無音化 後に子音の続く場合及び語末の場合,南北の標準発音によれば,?、?、?、?、?、?、?については左側の子音、?、?、?については右側の子音を発音する。?は南北で標準発音が異なり,南(韓国)では,左側の?を発音することを原則(例: "??"→??, "??"→/??/)とし、形容詞「??」の語幹が複合語を形成する場合や動詞「??」の活用形では右側の?を発音する(例: "????"→????, "??"→/???/)。これに対し,北(朝鮮)では,右側の?を発音することを原則とし(例: "??"→??, "??"→/??/),形容詞の後に?が来る場合や名詞「??」では左側の?を発音する(例: "??"→??, "??"→/??/)。「子音群単純化 これらを整理すると次の通りとなる。 パッチム"?"、"?"、"?"、"?"および母音の直後の?・?・?・? [ k・t・p・ch ] の音は、それぞれ有声音(濁った発音)となって [ g・d・b・dj ] の音で発音する。 用言の活用形でパッチムの?に?、?、?が後続する場合も後続音が有声音化される。 パッチムの直後に無音の子音"?"が来ると、パッチムの音が?(次の音節の初声の位置)に移って連音化する。たとえば、??(禁煙)では? (keum) のパッチム"?" (m) と? (yeon) の"?" (yeo) が合成されて [myeo] 音となり、発音が[??] (keu myeon) となる([]内のハングルは発音通りの表記)。二重パッチムの時は、右側の音(?の?など)が?に移って連音化する(例:??→[??])。ただし、?・?・?・?・?・?・?の時は前述の有声音化、?・?の時は後述の濃音化、?・?・?の時は後述の?の無音化を伴う。また?の場合も実際には?ではなく濃音の?が初声化する。 また、話者によってはパッチム"?"の次の初声も"?"である場合に初声を"?"で発音する場合がある。 子音は、前のパッチムに影響されると詰まった音(硬音)になる場合があり、これを「濃音化」と称する。濃音化されると、語中でも子音は濁らない。?、?、?、?、?は、?、?、?の音の直後にくると基本的に濃音化される。 従って、二重パッチムの?と?が連音化するときは、連音化した?が濃音化されるため、実質的に?の音が次の音節の初声の位置に来ることになる。発音変化の説明の便宜上途中経過として〈〉の表記を用いて説明されることもある。 用言の活用形でパッチムの?、?、?、?、?、?、?に?、?、?が後続する場合は後続音が濃音化される。また未来連体形の?に?、?、?、?、?が後続する場合も濃音化される。 子音字母 ? はその前後の子音と合わさって激音として発音されることがあり、これを「激音化」と称する。 具体的には、?音、?音、?音、?音のパッチムと初声?が合わさって、それぞれ、?音、?音、?音、?音で発音される。 また逆に、?パッチム(二重パッチムの?、?の?を含む)の後に?、?、?が続いた時も、激音化してそれぞれ?、?、?の音で発音される(実際上、?パッチムの後に?が来ることはない)。 子音字母 ? は、語頭以外での発音は微弱であり、ほとんど意識されない(?の弱化)。その結果、直前にパッチムがある場合は連音化されることがあり、北の標準発音法でも許容されている。 特に?パッチム(?、?の?を含む)に関しては、直後に?が来た場合、?が前述の連音化を起こすのではなく無音となる(?の無音化)。従って二重パッチムの?と?が連音化するときは、実質的に左側の音である?、?が次の音節の初声の位置に来ることになる。?パッチムは前述の激音化は起こしても?の本来の初声の音(h)で発音されることはなく、?と?の?に関しても、発音上?が本来の初声の音(h)で発音されるというよりも前述の激音化の効果しか持たない。
概要
?(金、kim)のm音"?"
?(朴、pak)のk音"?"
母音+子音
? [an](?)
半母音+母音+子音
? [wa?](王)
子音+母音+子音
? [kil](道)
子音+半母音+母音+子音
? [kwa?](光)
発音
? (g/k), ? (k),? (kk)? (gs), ? (lg)?[k?]
? (n)? (nj), ? (nh)?[n]
? (d/t), ? (s), ? (ss), ? (j), ? (ch), ? (t), ? (h)?[t?]
? (l)? (ls), ? (lt), ? (lh), {? (lb)}?[?]
? (m)? (lm)?[m]
? (b/p), ? (p)? (bs), ? (lp), {? (lb)}?[p?]
?(ng)?[?]
二重パッチム以外
?・?・?・?・?・?は、初声の発音の準備段階で音節を終わらせるようなイメージの発音となり、それぞれ独自の音価を持つ。
?[k?]、?[n]、?[t?]、?[?]、?[m]、?[p?]
?は[?]、?・?・?は?と同じ[t?]となる。
激音や濃音はパッチムになると、対応する平音と同じ発音となるが、実際にパッチムになる濃音は?と?の2種類のみである。
?・?[k?]
?・?・?[t?]
?[p?]
パッチムが牙音・舌音・半舌音・唇音の場合は、初声の発音の準備段階で音節を終わらせるようなイメージの発音となる。その際、激音や濃音はパッチムになると、対応する平音と同じ発音となる。
牙音?・?・?[k?]
舌音?[n]、?・?[t?]
半舌音?[?]
唇音?[m]、?・?[p?]
パッチムが歯音の場合は、全て?と同じ[t?]となる。
?・?・?・?[t?]
パッチムが喉音の場合は、初声の発音とは全く音価が変わる。
?[?](元来は?(牙音の鼻音)と書かれた音)
?[t?]
二重パッチム
後に子音が続くとき及び語末
?音 (?、?、?、?、?) がある場合は、それを発音しない。?→?,?・?→?,?・?・?→?,?→?。
?音がなく?音がある場合は、それを発音しない。?→?,?→?,?→?,(?→?)。
ただし、?は?と発音する語と?と発音する語がある。詳細は先述の通りである。
また,?の後に? が続く場合は、?をパッチムとして発音し 次の?が濃音化
後に母音が続くとき
原則として二重パッチムの左側の子音をパッチムとして発音し、右側の子音は初声化する。(例:??→??)
但し,中間に形態部の境界があるときは,語末と同様に発音されるいわゆる絶音現象が起こる。(例:???[???→???])
前に二重パッチムが来るとき
パッチム ?、?の後に子音が続く場合は次の子音が激音化する。(例:??→??)
それ以外の二重パッチムの後に子音が続く場合は次の子音が濃音化する。(例:??→??, ??→??)
パッチムにともなう発音の変化
有声音化
連音化(終声の初声化)
その他「朝鮮語の音韻#音素の交替」も参照
濃音化
?? [kugbab → kugβab][??] (クッパ)
??→〈??〉→[??]
??→〈??〉→[??]
激音化
?? [ibhag → ipag][??] (入学)
??→[??]
??→[??]
??→[??]
?の弱化・無音化
??→〈??〉→[??](銀行)
但し、南北の標準発音法では、?をそのまま発音することが原則である。
[??]○?[??]×(南)△(北)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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