細胞
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この項目では、生物学上の基本的な構成単位について説明しています。政治的意味合いの細胞については「細胞 (政党)」をご覧ください。

細胞
細胞周期の異なる段階にあるタマネギ(Allium cepa)の根の細胞。エドマンド・ビーチャー・ウィルソン(英語版)によるスケッチ(1900年)
真核細胞原核細胞
表記・識別
MeSHD002477
グレイ解剖学p.35
THH1.00.01.0.00001
FMA ⇒686465
解剖学用語[ウィキデータを表示]

細胞(さいぼう、: cell)はすべての生命体(英語版)の構造と機能の基本的な単位である[1]。すべての細胞は、細胞膜に包まれた細胞質で構成され、その中にはタンパク質DNARNAなどの多くの高分子と、栄養素代謝産物などの多くの小分子が含まれている[2]。細胞は複製、DNA修復やタンパク質合成などの機能を持つ。また、細胞は運動性を持ち、移動や生体内での輸送に関与する。

一般的に、細胞は生物の種類によって真核生物が持つ真核細胞原核生物が持つ原核細胞に大別される(#細胞の種類を参照)[3]。真核細胞では、細胞質に細胞小器官(オルガネラ)と呼ばれる構造を持つ[4]。細胞が地球上に初めて出現したのは約40億年前と考えられている[5][6][7][8]。当初の細胞は原核細胞で、真核細胞はいくつかの原核細胞が共生関係を結ぶことで誕生したと考えられている[9]。ほとんどの真核細胞は直径1?100 μm(マイクロメートル)の大きさで、肉眼では見ることができず、光学顕微鏡を用いて観察される[10]。原核生物はさらに小さく、直径0.5?2.0 μm 程度である[11]電子顕微鏡を用いることで、真核細胞の細胞小器官などの細胞構造や原核生物を詳細に観察することができる。

また生物には、細菌繊毛虫のように体が単一の細胞で構成される単細胞生物と、植物動物のように複数の細胞で構成される多細胞生物が存在する[3]。。単細胞生物は摂食や排泄、呼吸や運動などの生命維持に必要な役割を1つの細胞が担っている[12]。それに対し、多細胞生物では細胞は特殊化して特定の機能を持つように分化する[12]

細胞は1665年ロバート・フックにより発見され、cell(原義は小さな部屋) と名付けられた[13]。この語は宇田川榕菴『理学入門植學啓原』(1833年)により日本語に持ち込まれ、「細胞」と和訳された[13]

細胞生物学は細胞を研究する学問であり、ロバート・フックが1665年に細胞を発見したことに端を発する。1838年にはマティアス・ヤーコプ・シュライデンが「植物の基本的単位は細胞である」という考えを提唱し、翌1839年にはテオドール・シュワンがそれを動物にも拡張して「すべての生物は一つまたは複数の細胞から構成され、細胞はすべての生物の構造と機能の基本的な単位であり、すべての細胞は既存の細胞から生じる」という細胞説(細胞理論、cell theory)が生まれた[1][14]。細胞とその働きに関する研究は、DNAの発見、がんシステム生物学(英語版)、老化発生生物学など、生物学の関連分野における他の多くの研究につながっている。
細胞の語源

英語 のcell はキリスト教の修道院で修道士が暮らす庵室(Monastic cell)(英語版)に似ていることから、ロバート・フックにより、この名前がつけられたとされる[15][16]。cellは「小さな部屋」を意味するラテン語の cellula に由来する[17]。日本語の細胞の由来であるが、蘭学者宇田川榕菴(1798?1846)による[13][18]。彼の時代は英名も定まっておらず、cellに相当する生物の構成単位はbladder(小嚢)やbubble(小胞)などとも呼ばれていた[18]。他に当時、植物解剖学の大家であったマルチェロ・マルピーギは、ラテン語でutriculi(皮でできた小瓶)と呼んでいた[18]。榕菴は1833年刊行の日本初の植物学入門書『理学入門植學啓原』において、Utriculi(植物細胞)と脚注している[18]。これらのことから、榕菴は、植物体は細かい嚢(胞)状の最小単位で構成されていると考え、「細胞」と造語したと考えられている[18]
細胞の数

多細胞生物の細胞数はによって異なる。人体には約37兆個(3.72×1013)の細胞があり(2013年)[19]、そのうち約800億個はが占めていると推定されている[20]。Hattonらによる最近の研究では(2023年)、人体の細胞数を約30兆個(男性で約36兆個、女性で約28兆個[21])と推定し、臓器ごとの細胞数を報告している[21]
細胞の種類

細胞は、を持つ真核細胞と、核は持たないが核様体領域を持つ原核細胞に大別される。原核生物は単細胞生物であるのに対し、真核生物は単細胞生物か多細胞生物のどちらかである[22]
原核細胞詳細は「原核生物」を参照典型的な原核細胞の構造

原核生物(げんかくせいぶつ、: Prokaryote)には、生命の3つ(英語版)のドメインのうち、細菌と古細菌の2つが含まれる。原核細胞は地球上で最初の生命体であり、細胞シグナル伝達などの重要な生物学的プロセスを持つことが特徴である。これは、真核細胞よりも単純で小さく、や膜結合細胞小器官を持たない。原核細胞のDNAは、細胞質に直接接触した単一の環状染色体(英語版)から構成されている。細胞質内の核領域は核様体と呼ばれる。ほとんどの原核生物は、直径0.5?2.0 μmと、すべての生物の中で最も小さい[11][要ページ番号]。

原核細胞は3つの領域から構成される。

細胞表層:細胞は細胞表層(英語版)(細胞エンベロープ)という領域に包まれている。この細胞表層は、一般的に細胞壁で覆われた細胞膜からなり、細菌の種類によってはさらに莢膜と呼ばれる第三の層で覆われている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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