細胞骨格
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細胞生物学
動物細胞の模式図
典型的な動物細胞の構成要素:
核小体

細胞核

リボソーム (5の一部として点で示す)

小胞

粗面小胞体

ゴルジ体 (またはゴルジ装置)

細胞骨格 (微小管, アクチンフィラメント, 中間径フィラメント)

滑面小胞体

ミトコンドリア

液胞

細胞質基質 (細胞小器官を含む液体。これを元に細胞質は構成される)

リソソーム

中心体

真核生物の細胞骨格。 .mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  アクチンフィラメント   微小管   細胞核

細胞骨格(さいぼうこっかく、英語: cytoskeleton, CSK)は、細胞質内に存在し、細胞の形態を維持し、また細胞内外の運動に必要な物理的力を発生させる細胞内の繊維状構造。細胞内での各種膜系の変形・移動と細胞小器官の配置、また、細胞分裂、筋収縮、繊毛運動などの際に起こる細胞自身の変形を行う重要な細胞小器官。

細胞骨格はすべての細胞に存在する。かつては真核生物に特有の構造だと考えられていたが、最近の研究により原核生物の細胞骨格の存在が確かめられた。

細胞骨格という概念と用語(フランス語で cytosquelette)は、1931年、フランス発生生物学者 Paul Wintrebert によって導入された[1]
真核生物の細胞骨格アクチンの細胞骨格。ハツカネズミ胚の線維芽細胞をファロイジンで染色。

真核生物の細胞には、電子顕微鏡で観察することができる、主に3種類の細胞骨格がある。アクチンフィラメント中間径フィラメント微小管である。細胞骨格は細胞に構造と形態を与える。また、細胞質基質中の高分子に排除体積効果を与えることで、分子クラウディング効果のレベルを増加させる[2]
アクチンフィラメント詳細は「マイクロフィラメント」を参照「アクチン」も参照

マイクロフィラメントの直径は5?9nm。2つのアクチン鎖が縒り合わさって構成されている。マイクロフィラメントのほとんどは細胞膜の直下に集中しており、張力に抵抗する、細胞の形を保つ、細胞質突起を形成する(仮足微絨毛など。ただしこれらの機構はそれぞれ異なる)、細胞間や細胞-基質間の接合に関わる、などの役割を果たしている。後者の機能に関しては、マイクロフィラメントはシグナル伝達に必須である。これらは細胞質分裂にも重要(特に分裂溝生成時に)な役割を果たし、またミオシンと協同して横紋筋を作る。アクチン/ミオシン共同体は、ほとんどの細胞で細胞質流動を作り出す。
中間径フィラメント細胞中のケラチンフィラメントの顕微鏡画像詳細は「中間径フィラメント」を参照

中間フィラメントあるいは10 nmフィラメントとも呼ばれる。

これらのフィラメントは直径8?12nm、アクチンフィラメントよりも丈夫な、細胞質中の複数種の構成要素である。アクチンフィラメントと同様に、張力に抵抗することによって細胞の形態を保つ働きがある(微小管はこれと対照的に、圧力に抵抗する。マイクロフィラメントと中間径フィラメントは鉄筋に当たり、微小管は鉄骨に当たると考えるとよい)。中間径フィラメントは、細胞内部の3次元構造を構成し、オルガネラを固定し、核ラミナやサルコメアの要素となる。また細胞間や細胞-基質間接合にも関わる。

中間径フィラメントには、以下のようなものがある。

ビメンチンからなるもの。多くの細胞で共通に見られる。

ケラチンからなるもの。内胚葉及び外胚葉のあらゆる上皮細胞。陸上脊椎動物の皮膚細胞、の細胞では角質化を担う。

ニューロフィラメント。神経細胞に存在する。

ラミンからなるもの。核膜をかたちづくる。

微小管ゲル固定細胞の微小管詳細は「微小管」を参照

微小管は、中空な管状で、直径は約25nm(内径は約15nm)、ほとんどの場合の共通構造としては、αおよびβチューブリンが互い違いに結合したプロトフィラメント13本からできている。これはグアノシン三リン酸の重合によって非常に動的なふるまいをする。中心体によって統合される。

3つ組み9本(星形)のセットで中心小体を形成し、2つ組み9本と中央の2本の微小管(車輪型)のセットで繊毛鞭毛を形成する。後者の形態はよく「9+2」と言われる。ここではそれぞれの2つ組みは、ダイニンタンパク質によって連結される。鞭毛と繊毛は細胞の構造体であり、微小管から構成されるので、これらは細胞骨格の一部だと考えることもできる。

これは以下の現象に重要な働きをなしている:

細胞内輸送(ダイニンキネシンと協調して働く。ミトコンドリア等のオルガネラ小胞を輸送する)。

繊毛鞭毛の軸糸(axoneme)になる。

植物の細胞壁を統合する。

比較

細胞骨格の種類直径 (nm) [3]構造サブユニットの例[3]
マイクロフィラメント5-9二重らせんアクチン
中間径フィラメント群8-12two parallel helices[要曖昧さ回避]/dimers, forming tetramers

ビメンチン (間葉)

グリア繊維性酸性タンパク質 (グリア細胞)

ニューロフィラメントタンパク質 (神経細胞)

ケラチン類 (上皮細胞)

核ラミン

微小管25微小管プロトフィラメント, in turn consisting of tubulin subunitsα、βチューブリン

Microtrabeculae(別の網状構造?)

1970年代、Keith Porter は 、細胞の高圧電子顕微鏡画像を基に、真核生物の4つめの細胞骨格の要素 microtrabeculae を提唱した[4]。画像には、短い繊維状で、不明なタンパク質からなり、他の細胞質構造と結びついている構造が映し出されていた。Porter はこの微小柱状の構造を、微小管、中間径フィラメント、アクチンフィラメントのどれとも異なる新種の繊維網状構造と提唱した。しかしながら、細胞骨格についてすべてがわかっているわけではないが、 microtrabeculae は現在一般的には、細胞固定処理の影響で作られた構造にすぎないと考えられている[5]
原核生物の細胞骨格詳細は「原核生物の細胞骨格」を参照

細胞骨格は以前は真核生物細胞のみにある構造だと考えられていた。しかし近年、細胞骨格の主要なタンパク質と相同なものが原核生物中にも発見された[6]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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