尿細管(にょうさいかん、renal tubule:細尿管、腎細管)は、腎臓における糸球体より集合管にいたるまでの、原尿が通り再吸収・分泌などを受ける組織のこと。尿細管には糸球体から伸びる毛細血管が取り巻いていて、腎小体でボーマン嚢に排出された原尿の成分のうち、ブドウ糖のすべてと、水・無機塩類のほとんど(99%)とグリセリンなどその他の物質を再吸収する。原尿からのグルコースの再吸収は、ナトリウムイオンの濃度勾配を用いたSGLT1/SGLT2による。再吸収能力を超えた濃度のグルコースは、尿細管で再吸収しきれず尿中に排出されるが、これが糖尿病において尿中にグルコースが排出される理由である。 尿細管はその位置によって形状・機能が異なる。そのため、個々の部位ごとに名称が付けられている。ある部位と別の部位をどのように区切るか、すなわち分節するかには2つの方法がある。まず、腎臓の皮質、髄質のうちどの部分に位置するか、どのような外形をとっているか、すなわち走行による分類である。もう一つは、尿細管の上皮細胞による分類である。尿細管の上皮細胞はいずれも単層上皮ではあるが、位置によって微絨毛(刷毛縁)の密度や長さ、細胞の形状と細胞内装置の分布や数、隣接上皮細胞とのふん合、基底膜からの陥入が異なるためである。以下の図では走行によるものと上皮細胞によるものを左右の端に配し、さらに細かい分類を中央にまとめた[1]。 走行による分類分節上皮細胞による分類
尿細管の分節
近位曲部近位曲尿細管S1文節近位尿細管
S2文節
ヘンレループ近位直尿細管
S3文節
細い下行脚短ループのもの中間尿細管
長ループのもの上部
長ループのもの下部
細い上行脚
遠位尿細管太い上行脚遠位尿細管
遠位曲部遠位曲尿細管
結合尿細管集合管系
集合管皮質集合管
髄質集合管髄質外層集合管
髄質内層集合管
尿細管の経路
(糸球体)
ボーマン嚢
近位尿細管
ヘンレのループ(ヘンレ係蹄 (下行脚)、ヘンレ係蹄 (細い上行脚)、ヘンレ係蹄 (太い上行脚))
遠位尿細管
集合管
(尿管、輸尿管)
関連項目
腎小体 (マルピーギ小体)
注^ 表中の用語は、日本腎臓学会編、『腎臓学用語集』、南江堂、1988年 に従った。
表
話
編
疾患 糸球体病変 原発性
急性糸球体腎炎
IgA腎症
急速進行性糸球体腎炎
慢性糸球体腎炎
ネフローゼ症候群
微小変化群
巣状糸球体硬化症
膜性腎症
膜性増殖性糸球体腎炎
遺伝性腎炎
アルポート症候群
良性家族性血尿
尿細管機能障害
ファンコーニ症候群
バーター症候群
ギッテルマン症候群
リドル症候群
尿細管性アシドーシス
腎性糖尿
尿細管間質性腎炎
続発性腎障害
膠原病
全身性エリテマトーデス
全身性強皮症
シェーグレン症候群
糖尿病性腎症
痛風腎
クリオグロブリン血症
アミロイドーシス
溶血性尿毒症症候群
腎循環障害
機能障害
膀胱尿管逆流
神経因性膀胱
水腎症
先天異常
多発性嚢胞腎
常染色体優性多発性嚢胞腎
常染色体劣性多発性嚢胞腎
尿管異所開口
重複腎盂尿管
ポッター症候群
感染症
腎盂腎炎
腎膿瘍
膀胱炎
腎結核
尿路結石
膀胱結石
腫瘍
腎細胞癌
腎盂腫瘍
尿管腫瘍
前立腺肥大症
前立腺癌
精巣腫瘍
陰茎癌
腎芽腫
性器の疾患
前立腺炎
停留精巣
精巣捻転
包茎
勃起不全
病態・症状 急性腎不全
急性尿細管壊死
慢性腎臓病
慢性腎不全
尿毒症
尿所見異常
乏尿
無尿
多尿
頻尿
血尿
タンパク尿
尿円柱
尿閉
陰嚢腫大
検査
レノグラム
腎生検
カテゴリ
.mw-parser-output .asbox{position:relative;overflow:hidden}.mw-parser-output .asbox table{background:transparent}.mw-parser-output .asbox p{margin:0}.mw-parser-output .asbox p+p{margin-top:0.25em}.mw-parser-output .asbox{font-size:90%}.mw-parser-output .asbox-note{font-size:90%}.mw-parser-output .asbox .navbar{position:absolute;top:-0.90em;right:1em;display:none}