索道
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「ゴンドラリフト」はこの項目へ転送されています。AKB48の楽曲については「風は吹いている」をご覧ください。
書写山ロープウェイ(書写駅/姫路市)、複線交走式の普通索道(動画) 筑波山のロープウェイロンドンテムズ川横断ロープウェイ エミレーツ・エア・ライン

索道(さくどう)とは、空中に渡したロープに吊り下げた輸送用機器に人や貨物を乗せ、輸送を行う交通機関である。ロープウェイ(ropeway)、ゴンドラリフト、スキー場などのリフトなどが索道に含まれる。

英語では、aerial tramway(エリアル・トラムウェイ)、aerial lift(エリアル・リフト)、gondola lift(ゴンドラ・リフト)、cable car(ケーブル・カー)、telecabine(テレキャビン)と呼ばれている。
概要剣山登山リフト(美馬市)、単線固定循環式の特殊索道(リフト)

と駅の間に架空したスチールロープ(鋼索)に、人や荷物などを載せるための搬器を懸垂させて輸送を行う[1]。路線の途中にロープを支えるための複数の滑車を備えた支柱を設けるタイプと、途中に支柱を設けないタイプの2種類がある。後者は前者と比べて支柱の建造費用の抑制というメリットがあるが、風による揺動を原因にした脱線事故が起こりやすく、荷重制限のため搬器もあまり多数を同時に運用できないので、効率は良くなかった。そのため、日本では昭和30年代以降はこのタイプで規模の大きな索道の新設は避けられるようになった。

地形の影響を受けにくく急勾配や急斜面にも対応できるほか、谷などの横断も比較的容易で、同じ地形でほかの交通と比較すると、建設コストを低廉に抑えることができる[1]。そのため山間部の観光地スキー場など主に山岳における輸送に用いられる[1]。人員輸送のほかにも、建設業や林業などにおける資材や製品の輸送など、産業分野でも幅広く利用される。山小屋や山奥の温泉旅館など、自動車が走行できる道路が通じていない場所へ物資を輸送するために専用の索道が作られている例もある。

1990年代以降新しい形態のロープウェイ、複式単線 (DLM) フニテルが世界中で普及し始め、2000年頃から日本でも箱根谷川岳蔵王等で旧来のロープウェイが置き換えられ、運行されている。
歴史

紀元前250年の中国華南で書かれた書物に、ロープを介した人間が移動する絵が記述されており、中国やインドなどの険しい山岳部の移動手段として「溜索」(古代名:撞[2])という名で数千年も使用されてきた[3]

15世紀になると、それまで動力に馬などが利用されていたのが風車水力重力などの動力を使う構想がなされるようになっていった。
用途

人間の移動だけでなく、鉱業の採掘物、農作物・材木の移動にも利用された。

また、アルプス山脈周辺の国々は、第一次世界大戦第二次世界大戦中に駄獣に分割して載せられるようにしたもので短期間で建築して移動するシステムを開発し、イタリア人によるものだけで2,000本のロープウェイが施設され、兵士や物資、傷病兵の移送に使用された(第一次世界大戦中の軍用ロープウェー(英語版))。

ハイライン - 船舶間の物資輸送用に使用されるシステム
構成

架空されたワイヤロープに懸垂させた搬器をロープによって駆動して運行する[1]
各部の名称

日本の索道規則(昭和22年運輸省令第34号、1987年廃止、後述)では「架空した索条に搬器をつるして運送する設備をいう」とされた。

索条(さくじょう)とは空中に渡したロープのことで、搬器(はんき)とは吊り下げられている輸送機器のことである。索条は搬器を支持するための支索(しさく)、搬器を牽引するための曳索(えいさく)[注 1]、搬器を支持しながら牽引する支曳索(しえいさく)[注 1]に分類される(方式により異なる。後述)。搬器は箱型やかご型のもの、椅子型になっていて乗客が直接座るものがある。箱型やかご型の搬器は通俗的に「ゴンドラ」とも呼ばれる。また、旅客用のロープウェイは、安全上の理由から搬器の走行輪と係合する支索は1本または2本、搬器を牽引する支曳索の2本の3線または4線を架設することが規則で定められている。

支索は通常の鉄道やケーブルカーにおける軌条、曳索はケーブルカーにおける鋼索、搬器は車両に相当する。
搬器の種類
ロープウェイ
観光地に多く使われている。ドアの付いた密閉式の搬器であることが多いが、窓が開閉可能なものもある。
ゴンドラリフト
1つの搬器で搬送できる人数が4人から12人と効率的で、かつ乗客数に応じて搬器の数を調整できるが、設置に高い経費がかかる。スキー場に設置されていることが多い。山岳地帯以外での設置例は博覧会での会場内輸送機関(1970年の
日本万国博覧会でのレインボーロープウェイ、1989年横浜博覧会、1990年の国際花と緑の博覧会等)や、東京ディズニーランドでの「スカイウェイ」、よみうりランドでのスカイシャトル、横浜市のYOKOHAMA AIR CABINがある。
チェアリフト
最もよく使われている搬器。1つの搬器で1人?8人を搬送できる。搬器の前方で待機し、搬器に直接着座する。スキー場や観光地など、さまざまな場所で利用されている。
自走式搬器
搬器にエンジンなどの動力源を搭載し、リモコン操縦により搬器自身で移動を可能にしたもの。木材などを搬器からワイヤーで吊るすなどして貨物輸送を行う[4]Zipparのように、次世代の都市交通システムとして旅客用も開発の動きがある[5]
コンクリートバケット
生コンクリートを打設する際に使用する搬器。日本最大のバケットは黒部ダム建設に使われたもので、9立方メートルの容積を有した[6]
分類

単線自動循環式のゴンドラ、ハノーヴァー万国博覧会の会場にて

愛知万博の会場内交通「キッコロゴンドラ」、自動循環式の普通索道(ゴンドラリフト)

滑走式リフト(スイス

単線自動循環式の6人乗りリフト(オーストリア

アルゼンチンサルタ

支持牽引方法
複線(二線式)
搬器を支える支索と搬器を牽引する曳索とに索条が分かれているものである。通常の鉄道における複線とは意味が異なり、複数の索条があることをさすものではない。
三線式[7]
複線の曳索が二本あるもの。かつては安全面から曳索を二本以上備えることが法令で定められていたため用いられた。また欧州など日本国外では、日本とは逆に支索が二本で曳索が一本の方式が普及しており、この中で自動循環式のものは3Sロープウェイと呼ぶ。
単線
1本の索条(支曳索)で搬器を支え牽引するもの。これも通常の鉄道における単線とは意味が異なる。リフト、ゴンドラリフトはこれに当たる。
複式単線
2本の並行させた支曳索で搬器を支え牽引するもの。横風に強い利点がある。2本の支曳索の間隔が搬器の横幅より広いものをフニテル(Funitel)と呼ぶ。
走行方式
交走式
起点停留場と終点停留場間に架空された支索に2台の搬器を懸垂させ、これらを曳索で接続して駆動させることで搬器が交互に行き交うようにした方式
[1]つるべ式に2つの搬器が往復するもので、ケーブルカーと同様の方式である。搬器は常に同じ側の索条を往復し、片道分の時間がそのまま待ち時間となるため、輸送力は循環式に比べると多くはない。このため搬器は定員数十名から100名ほどの大型の物が多い。
固定循環式
起点停留場と終点停留場の滑車間に架空された支曳索に、搬器を一定間隔で懸垂し、握索装置を利用して循環させる方式[1]。ほとんどは定員1 - 8名のチェアリフトが使われ、スキー場などの特殊索道で多く導入されている。基本的に乗降時の減速は無いが、普通索道では乗降時に路線上の全ての搬器を減速または停止させるパルスゴンドラという方式があるほか、スキー場のチェアリフトにおける近年の物は係員への申し出によっての減速操作が可能となっている。


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