紛争ダイヤモンド
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シエラレオネのダイアモンド鉱山の鉱夫紛争鉱物 > 紛争ダイヤモンド

紛争ダイヤモンド(ふんそうダイヤモンド、フランス語: Diamants de conflits、英語: Conflict diamond)とはシエラレオネなど内戦地域で産出されるダイヤモンドをはじめとした宝石類のうち、紛争当事者の資金源となっているもの。血塗られたダイヤモンド (blood diamond)、汚れたダイヤモンド (dirty diamond)、戦争ダイヤモンド (war diamond)とも呼ばれる。目次

1 概要

2 歴史

3 背景と国際社会の取り組み

3.1 アンゴラ

3.2 リベリア

3.3 コートジボワール

3.4 コンゴ民主共和国

3.5 コンゴ共和国


4 キンバリープロセス認証制度

5 キンバリー・プロセスの監視

6 透明性

7 各国・地域の動き

7.1 アメリカ合衆国の政策

7.2 カナダの政策

7.3 ヨーロッパ諸国の政策

7.4 報道など


8 対抗する取り組み

8.1 "紛争フリー" ダイヤモンド

8.2 紛争中立ダイヤモンド


9 反論

10 関連した問題

10.1 紛争地域における違法薬物の密造


11 脚註

12 参考文献

13 関連項目

13.1 映画

13.2 ゲーム

13.3 漫画


14 外部リンク

概要

ダイヤモンドなどの宝石は、国際市場で高値で取引される。産出国にとっては貴重な外貨獲得資源となるが、その産出国が内戦など紛争地域だと、その国家は輸出したダイヤモンドなど宝石類で得た外貨を武器の購入に充てるため、内戦が長期化および深刻化することになる。とくに反政府組織はこれら鉱物資源による外貨獲得とそれによる武器購入を広く行っている。その際には罪のない人々を採掘に苦役させることから人道上も大きな問題がある。

これら内戦の早期終結を実現するには内戦当事国の外貨獲得手段を奪うのが有力な手立てであり、国際社会はそれに取り組むべきだとされる。内戦当事国に外貨が流れ込まないようにするために、内戦国から産出するダイヤモンドや宝石を「紛争ダイヤモンド」と定義し、サプライチェーンはそれらを取引しないことが求められている。
歴史

冷戦時代は東西両陣営が自陣営の味方となる反政府組織に武器を無償供与していたために、このような問題は起こらなかった。

冷戦終結後に、特に東側からの武器供与が打ち切られたために、反政府組織は武器商人から武器を買わなければならなくなった。そこで、ダイヤなどの宝石産出国の反政府組織は武器の代金を確保するために、宝石鉱山を占領・制圧して宝石を採掘して売るようになった。なお、武器は対立する組織双方に売られており、これがさらなる紛争の激化、生活レベルの低下をもたらしている。この生活レベルの低下は、鉱山労働者の賃金をさらに下げ、宝石価格の低下につながっている。このように、欧米諸国は武器の販売及び廉価な宝石の購入の双方で莫大な利益を上げてきた。
背景と国際社会の取り組み
アンゴラ

アンゴラは、1975年にポルトガルから独立したが、アンゴラ解放人民運動 (MPLA) 派と、アンゴラ全面独立民族同盟 (UNITA) 派に別れ、内戦に突入した。内戦中、ダイヤモンドは、反乱軍 (UNITA) の財政を支えるために取引された[1]。このため国際連合安全保障理事会は、1998年6月12日の安保理決議1173で、ダイヤモンド禁輸を以ってアンゴラに制裁を科した[2]。これは、国連が、ダイヤモンドが紛争の財政に寄与していることを示した、初めての決議だった。1990年代、総生産の20%は禁止された目的に、15%は事実上「紛争」に寄与していたと考えられている[3]ワールド・ダイヤモンド・カウンシルは、1999年までに、違法ダイヤモンド貿易は、世界全体の生産量の3.06%まで減少されたと推定し[4][5]、2004年には、ほぼ1%にまで減少したと発表した[5][3]

アンゴラ内戦はのちに終結し、現在はアンゴラとのダイヤモンド取引は合法[1]

ウィキソースにen: United Nations Security Council Resolution 1270の原文があります。

1999年、8年間の内戦後、シエラレオネ政府と革命統一戦線 (RUF) の間で交渉が行われ、終戦、全戦闘員の武装解除、挙国一致政府の樹立を定めたロメ合意 (Lome Peace Agreement) が結ばれるに至った。国連西アフリカ諸国経済共同体が、合意の形成に貢献した。1999年10月22日の国連安保理決議1270[6]で、国際連合安全保障理事会は、双方が合意を実施できるような状況を作れるように支援する国際連合シエラレオネ派遣団(UNAMSIL)を設置した。その後、2000年2月7日の決議1289 ⇒[1]で、UNAMSILは職員の数と実行する職務を増やし、同5月19日の決議1299 ⇒[2]で、UNAMSILは1万名を超える国際連合平和維持活動となった。

不法なダイヤモンドが、シエラレオネの紛争を激化させる役割を果たしているのを受け、国連安保理は2000年7月5日、決議1306号 ⇒[3]により、シエラレオネからの直接・間接を問わず、認証を通さない、シエラレオネ政府管理外のダイヤ原石輸入を禁止した。武器禁輸 (arms embargo) と、反政府組織関係者の海外渡航禁止(selective travel ban)は、すでに1998年6月5日時点で実施されている。(決議1171 ⇒[4])

2000年7月31日8月1日にかけ、シエラレオネに関する安保理決議第1132号 ⇒[5](1997年)を受けて設立された安保理委員会の議長であるアンワルル・カリム・チョウドリー (Anwarul Karim Chowdhury) バングラデシュ国連大使が、初めての国連安保理による公聴会を取り仕切った(於:ニューヨーク)。公聴会には、国家だけでなく、地域組織、非政府組織、ダイヤモンド産業、関係する専門家たちが出席した。


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