『紅雲町珈琲屋こよみ』(こううんちょうコーヒーやこよみ)は、吉永南央による日本の推理小説のシリーズである。目次 第1作「紅雲町のお草」は第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞した[1]。群馬県の紅雲町という町で[2]コーヒー豆と和食器を商う「小蔵屋(こくらや)」の店主、76歳の杉浦草(すぎうら そう)が町で起こる謎を解くシリーズで、「お草さんシリーズ」とも呼ばれる。著者の吉永はシリーズ化を予定していなかったが、76歳の老婦人が主人公という設定にほれ込んだ編集者の熱意により、連作として書き続けられることになった[3]。単行本・文庫本ともに表紙イラストは、イラストレーター・絵本作家の杉田比呂美が務める。発行部数は2012年12月時点でシリーズ累計30万部[4]。 2015年4月29日に、NHK総合で特集ドラマとして富司純子主演でテレビドラマ化された[5]。 タイトル単行本文庫本収録作品
1 概要
2 シリーズ一覧
3 登場人物
4 ラジオ番組
5 テレビドラマ
5.1 キャスト
5.2 スタッフ
6 出典
7 外部リンク
概要
シリーズ一覧
紅雲町ものがたり
【文庫改題】萩を揺らす雨2008年1月 文藝春秋
ISBN 978-4-16-326650-32011年4月 文春文庫
ISBN 978-4-16-781301-7
(解説:大矢博子)[6]
紅雲町のお草(『オール讀物』2004年11月号[7])
クワバラ、クワバラ(『オール讀物』2007年7月号[8])
0と1の間(書き下ろし)
悪い男(書き下ろし)
萩を揺らす雨(『オール讀物』2006年10月号[9])
その日まで2011年5月 文藝春秋
ISBN 978-4-16-380560-32012年11月 文春文庫
ISBN 978-4-16-781303-1全編書き下ろし
如月の人形
卯月に飛んで
水無月、揺れる緑の
葉月の雪の下
神無月の声
師走、その日まで
名もなき花の2012年12月 文藝春秋
ISBN 978-4-16-381860-32014年7月 文春文庫
ISBN 978-4-16-790135-6
長月、ひと雨ごとに(書き下ろし)
霜月の虹(『オール讀物』2012年5月号[10])
睦月に集う(書き下ろし)
弥生の燈(ともしび)(書き下ろし)
皐月の嵐に(書き下ろし)
文月、名もなき花の(書き下ろし)
糸切り2014年8月 文藝春秋
ISBN 978-4-16-390110-7
牡丹餅(『別册文藝春秋』308号(2013年11月号〉[11])
貫入(『別册文藝春秋』309号〈2014年1月号〉[12])
印花(『別册文藝春秋』310号〈2014年3月号〉[13])
見込み(『別册文藝春秋』311号〈2014年5月号〉[14])
糸切り(『別册文藝春秋』312号〈2014年7月号〉[15])
登場人物
杉浦 草(すぎうら そう)
紅雲町で和食器とコーヒー豆を商う「小蔵屋」を営む。試飲としてコーヒーを無料で1杯飲めるサービスが人気。店は天井が高く、太い梁と白い漆喰が印象的な古民家風の造りになっている。第1作時点で数え年で76歳になる。毎朝、散歩を兼ねて河原の祠と丘陵の観音、三つ辻の地蔵に手を合わせるのが日課。「小蔵屋」は元々、明治の終わりに草の祖父が日用雑貨店を始めて以来、畑で採れた野菜から調味料、長靴、駄菓子などを売る田舎の雑貨屋として続いてきた。熱病のような恋愛の末に、家族の反対を押し切って山形の旧家に嫁いだが、29歳で離婚し実家に戻って家業を手伝ってきた。息子・良一(りょういち)をもうけたが、嫁ぎ先では育児をさせてもらえず、使用人兼乳母の女性が唯一、家族の目を忍んで良一と会わせてくれた以外は、屋敷の離れで寂しく暮らしていた。