紅藻
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紅色植物門

(上) トサカモドキ属 (真正紅藻綱)
(下) ガルディエリア属[注 1] (イデユコゴメ綱)
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
階級なし:ディアフォレティケス Diaphoretickes
:植物界 Plantae (アーケプラスチダ Archaeplastida)
亜界:紅色植物亜界 Rhodoplantae
:紅色植物門 Rhodophyta

学名
Rhodophyta Wettstein, 1901
和名
紅色植物門、紅藻植物門、
紅色植物、紅藻
英名
red algae, rhodophytes
下位分類


イデユコゴメ亜門 Cyanidiophytina

イデユコゴメ綱 Cyanidiophyceae


"原始紅藻亜門" Proteorhodophytina[注 2]

ベニミドロ綱 Stylonematophyceae

オオイシソウ綱 Compsopogonophyceae

チノリモ綱 Rhodophyceae

ロデラ綱 Rhodellophyceae


"真正紅藻亜門" Eurhodophytina[注 3]

ウシケノリ綱 Bangiophyceae

真正紅藻綱 Florideophyceae


紅藻(こうそう) (: red algae) は、植物界またはアーケプラスチダ (古色素体類) の1である紅色植物門 (または紅藻植物門、学名: Rhodophyta) のこと、またはこれに属する藻類のことである。7,000種以上が知られ[1]、7ほどに分けられている。

多くは多細胞性であり (上図)、細胞間にピットプラグとよばれる特異な構造がある。ただし、単細胞性の種もいる (下図)。細胞壁には多量のガラクタンが含まれ、また石灰化するものもいる。葉緑体は2枚の膜で包まれ、ふつう赤い光合成色素タンパク質であるフィコエリスリンを多くもつため、その名の通り赤い色をしている (上図)。しかしフィコエリスリンを欠き、青緑色をしたもいる (下図)。貯蔵多糖はα-グルカンであり、細胞質基質中に貯蔵される。また大きな特徴として、生活環を通じて鞭毛中心小体もたないことが挙げられる。有性生殖が知られるものは、造果器(卵)と不動精子による卵生殖を行い、単相配偶体複相胞子体の間で世代交代を行う。

多くは沿岸岩礁域に生育しており、海藻として最も種数が多い生物群は紅藻 (特に真正紅藻) である。また、淡水域や温泉に分布する種も知られている。食用 (海苔ダルスフノリ類など) や増粘多糖類寒天カラギーナン) の原料とされる有用な藻類を多く含む。
特徴
体制

紅藻の多くは多細胞の大型藻であるが、単細胞性や糸状の微細藻もいる[2][3][4][5][6] (下図1)。多細胞性の藻体の外形は、糸状、膜状、紐状、樹状など多様[7][8][9][10]。多細胞性の種の中には、アマノリ類 (ウシケノリ綱) のように細胞層からなる膜状体をつくるものもいるが、多くは分枝糸状体を基本とし、この細胞糸がまとまって偽柔組織 (pseudoparenchyma) を形成している (3次元的な細胞分裂によって形成される柔組織ではない)。偽柔組織体の中では、藻体内部の髄 (medulla) と表層の皮層 (cortex) のような単純な組織分化を示すことがある[7] (下図1d)。多細胞性の種は、ふつう基物に接着するための仮根 (rhizoid) や付着器 (holdfast) をもつ。また、おそらく栄養塩吸収や被食防御に働く毛状細胞 (hair cell, trichocyte) や分泌細胞 (gland cell) をもつものもいる[11]。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}紅藻の体制1a. 単細胞性のチノリモ属 (チノリモ綱)1b. 糸状のRhodothamniella (真正紅藻綱)1c. イソノハナ属 (真正紅藻綱)1d. マルバグサ属 (真正紅藻綱) の体の断面 (偽柔組織)

多細胞性の種の中には、特別な分裂細胞をもたず基本的に藻体全体で細胞分裂が可能なもの (分散成長) もいるが (ウシケノリ綱配偶体など)、多くは藻体先端に分裂細胞をもち、頂端成長を行う[2][3][4][5]。単一の細胞糸が藻体中軸をなすもの (単一の頂端分裂細胞) は単軸型 (uniaxial type, monoaxial type; 中軸型 central axial type)、複数の細胞糸が藻体中軸をなすもの (複数の頂端分裂細胞) は多軸型 (multiaxial type; 噴水型 fountain type) とよばれる。
ピットプラグ

多細胞性の紅藻では、ふつう細胞間にピットプラグ (pit plug; ピットコネクション pit connection) とよばれる特異な細胞結合構造が存在する[2][3][5][6][12][13]細胞質分裂でくびれ切れずに残った部分に小胞体が集まり、ここにタンパク質や酸性多糖が蓄積されてプラグコア (plug core) が形成される。系統群によっては、プラグコアの両面に脂質膜であるキャップ膜 (cap membrane) や、炭水化物からなるキャップ層 (cap layer) が存在することがあり (キャップ層は内外2層に分化していることもある)、このような多様性は分類形質として有用である (下表)。またピットプラグの周囲には、リボソームを欠く領域がある。ピットプラグは細胞間をつなぐ構造ではあるが、細胞質の直接的な連絡は存在しない。

紅藻におけるピットプラグの多様性[2][3][6][13]タイプ[3][6]内側キャップ層外側キャップ層キャップ膜分類群
Iなしなしなしオオイシソウ綱 (オオイシソウ目、ロドカエテ目)、真正紅藻綱 (イタニグサ目)


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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