紅い牙
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『紅い牙』(あかいきば)は柴田昌弘の長編漫画シリーズ。各シリーズごとに「紅い牙」のあとに個別にタイトルが付き、総じて『紅い牙シリーズ』と呼ばれている。
概要

古代超人類の血を引く超能力少女・小松崎蘭(ラン)と悪の秘密結社・タロンの戦いを描いたSF大作。長期に渡った連載の中で掲載誌が変わっており、初期から中期は集英社別冊マーガレット』・『デラックスマーガレット』誌に掲載。後期は白泉社花とゆめ』誌上で「ブルー・ソネット」などが発表された。
作品
集英社 別冊マーガレット・デラックスマーガレット期

生後5年にわたり狼に育てられ、古代超人類の遺伝子をもった小松崎蘭(ラン)の孤独な戦いのはじまり。
紅い牙 『狼少女ラン』

(初出 別冊マーガレット 1975年8月号)

狼に育てられた事を隠し、普通の高校生として生活していたラン。ところが、学校に寄木冴子という生物教師が赴任してきたことによって、平穏な生活は終わりを告げる。冴子はランの出生の秘密を知っており、さらに彼女の父が、ランの養父である小松崎宗と仲間だったというのだ。かつて小松崎宗と冴子の父は、古代世界に存在した超越した精神力をもった超人類の一族の遺伝子を現在に復活させる研究をしており、ランこそがその成果だったのだが、小松崎宗は人の命を弄ぶ研究に良心の呵責を受けて組織を裏切り、ランを死んだものとし、匿っていたのだ。冴子は自らが作りあげた高い知能をもった犬「パスカル」に野犬を操らせ人々を襲い、ついにはランの養父を殺害。殺人の汚名を着せられ、追い詰められたランは、冴子に殺された養父の敵を討つために立ち向かう。
紅い牙・II 『鳥たちの午後』

(初出 別冊マーガレット 1977年7月号)

ランの敵となる悪の巨大組織・タロン、ランの恋人であるバードこと鳥飼修一、そしてランからの輸血によって超能力者として生まれ変わることになる少年・ワタルなど、後のシリーズまでの鍵となる人物・組織が登場する。

全寮制の名門「聖陵学園」。ランはここで、食堂の賄い婦としてひそかに生活していた。ロックバンド「文無し組」を結成している不良の鳥飼修一(バード)とひそやかに交友するラン。しかし、美貌の転校生のハンナ・ミュランの登場で、その平穏な日々は打ち砕かれる。小松崎宗のかつてのスポンサー、秘密組織「タロン」は超能力を利用した世界支配を目論んでおり、彼の研究成果であるランを奪還しようとしていた。ハンナはタロンがランを狩り出すために送り込んだエスパーなのであった。一方のバードは孤児であり、同じ境遇である初等部の少年ワタルになつかれていた。それを見抜いたハンナはESPでワタルを操り、車を暴走させてランの命を狙うが失敗し、ワタルは重傷を負う。その時、ランの血を輸血したことでワタルにもESP能力が生まれることとなるが、その力を制御できなかったワタルは、いつも侮辱してくる級友を殺してしまう。ワタルの身柄と引き換えに、タロンに降ることをランに要求するハンナ。ランとワタルを助けに突入したバードも撃たれて重傷を負い、ついにランはESPを発動。ハンナとタロンのメンバーを怒りの炎が焼き尽くすのであった。バードはランにワタルを託して死に、ランはワタルを連れ、当て所ない旅に出る……。
紅い牙・III 『さよなら雪うさぎ』

(初出 デラックスマーガレット 1978年冬の号)

後にランの仲間になるロシア人のエスパー・イワンが登場。雪国での外国人への偏見と誤解をタロンに付込まれ、粉々にされた悲恋を描いた作品。

タロンに追われ長野県の奥地に追い詰められたランとワタル。ヘリから銃撃を受けたランはESPで撃退するが自らも重傷を負い倒れる。目覚めた彼女は亡命ロシア人の青年イワンの隠れ家にかくまわれていた。彼と恋人の西脇真沙子はひそかに交際しているが、よそ者のイワンを見る村人たちの目は冷たく、村の実力者である真沙子の父は彼らの交際を快く思ってはいなかった。ランを追うタロンの手はこの村にも伸び、村人の心を操ってイワンたちへの憎しみを増幅しランとイワンたちを襲わせる。反撃し村人を殺してしまった彼らは逃亡を余儀なくされるが、しかしそれはタロンの狡猾な罠であり、イワンと真沙子を人質にとったタロンはランに組織へ降ることを強要、ランは心ならずも従う。それを知ったイワンは封印していたESP能力でランを救出する。だがその直後に現れた村人の銃撃を受け、とっさにイワンをかばおうとした真沙子は……。
紅い牙・IV 『タロン・闇に舞うタカ』

(初出 別冊マーガレット 1978年3月号)

タロンのエスパー部門のボス・サグが登場。バードがサイボーグとなって再登場。サイボーグとエスパーの結ばれぬ恋を描く。遠隔操作で他人に憑依して攻撃するエスパー・ミンガに苦戦する。

タロンの手から逃れ、伊豆の孤児院「聖バランタイン・ホーム」に身を寄せていたランとワタル。そこに、死んだはずのバードが現れる。狂喜するラン。しかし、バードは一切の記憶を失っていたのだ。そしてそこにもタロンの手が伸びる。バードはタロンの手によってサイボーグに改造され、エスパーであるミンガに操られ、手引きしていたのだ。孤児院の子供たちとランを誘拐したタロンは、子供たちの命と引き換えにランに服従を要求する。やむを得ず要求を呑むラン。タロンはランの血液を仲間に輸血する人体実験を行う。しかし、ランの中に潜む「紅い牙」にその男は操られ、ランの逃亡を手助けすることになる。脱出を図るラン。だがそこは海上の秘密基地であった。ランの魂の呼びかけにより自我を取り戻したバードは、我が身を引き換えにランたちを逃がし、基地を爆破する。そしてまたランたちは、あてどなくさまようことになる……。
白泉社 花とゆめ期

約3年間のブランクを経て、白泉社花とゆめ誌にてシリーズ再開。前シリーズまではタロンに対して受身であったランが、今シリーズでは小説家・桐生仁などの支援者たちを得ることで積極的にタロンへの対決姿勢を示している。
紅い牙・V 『コンクリート・パニック』

(初出 花とゆめ 1981年1-2号)

重要キャラとなる小説家・桐生仁が初登場。自然保護をテーマに「安曇コンツェルン」(タロンを構成する五つの大会社の一つ)との闘いが描かれる。桐生は別作品『盗まれたハネムーン』にも登場。

秩父にある「安曇セメント」の工場が、謎の少女が率いる野犬の集団に破壊される。その事件を追っていた小説家の桐生仁は、重傷を負って病院に入院していたランを見出す。同じ病院で植物人間として入院していた青年、逸見茂の妹の圭子に出会った桐生は、安曇セメントの社長父娘の陰謀を知る。彼らはセメントの強引な採掘に反対していた逸見兄妹の両親を殺害し、兄も重傷を負わされていたのだ。そして、安曇グループの工場を襲っていたのは潜在的なエスパーである逸見茂のサイコキネシスと、安曇セメントに住処を奪われた狼たちの霊魂が一体化した亡霊だったのだ。安曇グループに所属するエスパー浅野の力でそれを知った安曇父娘は、圭子を誘拐し、茂の肉体の在り処を聞き出そうと激しい拷問を加える。しかし、圭子は口を割らず絶命、最後に残った狼の一匹も射殺される。怒りに燃えるランの中の紅い牙が炸裂、安曇コンツェルン本社のある「ギャラクシータワー」ビルを破壊する。
紅い牙・VI 『ハトの旋律』

(初出 花とゆめ 1981年4-5号)

王翠学園を舞台に後の重要ファクターとなる「プロジェクト・ダブ(ハト計画 dove=ハト)」の概要が明かされる。後に計画阻止の鍵を握る奈留・真知の榛原姉妹やランの仲間である応援団「新撰組」が登場する。

横浜の私立王翠学院。ランはそこで図書館司書として働いていた。それは、知人の東都日報記者が王翠学院でタロンの手でひそかに行われている「ハト計画」を追って謎の死を遂げたことを不審に思った桐生仁が、ランに依頼した情報収集だった。学院では生徒会長の三好と副会長の不破が異様なカリスマ性で生徒たちを扇動し、応援団「新撰組」を不良集団として排除しようとしていた。彼らこそタロンが送り込んだ「ハト」だったのだ。不破たちは生徒を操り少年院帰りの新撰組の団長、芹沢を殺害する。新撰組のメンバーは制服に血をつけて帰ってきた奈留を犯人と疑いつるし上げるが、ランの説得を聞き入れ王翠でのハト計画の阻止を決意する。ランは英語教室に潜入し、生徒たちがヒアリングテープで洗脳されていることを突き止めるが、タロンのメンバーである英語教師の四条の手におち、そこでハト計画の全貌を知らされる。ハト計画とは、優秀な若者を選抜しタロンの理想教育を施した上で社会のエリート階級に就かせ、世界を支配する計画だったのだ。ランは洗脳されそうになったところを危うく新撰組に救出される。彼らは自分たちを理解してくれたランを「仲間」と認めたのだ。ランたちは三好たちの陰謀の真相を一般生徒たちに呼びかける。次第に生徒たちは彼らの言葉に耳を傾けはじめ、危機感を持った三好たちは奈留を誘拐することでランたちをおびき出し始末しようとする。しかしその現場を警察に押さえられ逮捕される三好と不破、そこに四条が現れ「雪は降る」のメロディーを聞かせると二人は倒れ死亡する。ハトの脳には一定のメロディーに反応して死に至らしめる特殊な装置が埋め込まれており、「雪は降る」は任務に失敗したハトを粛清する「ハトの旋律」だったのだ。二人を消し逃亡しようとする四条、しかしランの「紅い牙」が目覚め四条を倒す。王翠のハトは消えたが、ランはまた「仲間」から離れ流離うこととなるのだ……。
紅い牙・VII 『ブルー・ソネット』

舞台は1981年、ランは20歳になっている。もうひとりの主人公ともいえるエスパーサイボーグ・ソネットが登場し、バード、ワタル、イワンといったこれまでのシリーズの登場人物たちも活躍する。5年余りに渡るシリーズ初の長期連載だが、登場人物の服装などから1981年春から初冬にかけてのわずか数か月間の物語であろう。
第1部(初出 花とゆめ 1981年11号-1982年9号)
白い肌、青味がかった長い銀髪の美少女、ソネット・バージ。スラム街で生まれ育った彼女は父親がなく、母親からもその容姿のため疎まれていた。母親から強要された売春のショックで、備わった超能力が目覚める。しかしその超能力がさらなる母親の嫌悪を招き、結果としてソネットは自分を捨て男に走ろうとした母親を逆に殺してしまう。そんな彼女を悪の組織であるタロンが目をつけ、誘惑する。何もかもが信じられなくなったソネットは、汚れた体を捨て、エスパー・サイボーグとして生まれ変わった。彼女の任務は古代超人類の血を引く唯一のエスパーである小松崎ランを捕らえること。そのため彼女は転校生として王翠学院にもぐりこむ。奈留の姉・榛原真知や杵島大介は転校生ソネットに疑いを持つが、サグの特命で学院に潜入した斐川和秀によって、真知は催眠をかけられ操られてしまう。一方ランは桐生の説得により、タロンとの戦いに備え自分の中の「紅い牙」をコントロールするためESP能力の訓練に励む。小半教授のESP研究所を訪れ、催眠療法によりランの「紅い牙」が発動し暴走するが、小半の娘である由里の
テレパシーの呼びかけで危ういところで暴走は止まる、しかしそれをタロンの手先に偶然発見されてしまい、小半の研究所にタロンのメンバーとソネットが急襲をかけてくる。小半は射殺されランと桐生はタロンに拉致される。タロンは桐生からハト計画の情報源を割り出そうとし、またランの卵子を取り出しエスパーのクローンを作ろうとしていたのだ。タロンは桐生のかつての恋人で杵島大介の母親でもある美子を誘拐し痛めつけることで、桐生の情報源が東都日報の榛原克規であることを聞き出す。一方、ランの卵細胞を移植される実験台になったタロンの女性メンバーたちは、ランから過去に彼女の血を輸血されたタロンのメンバーが発狂し死んだことを聞かされ恐怖におちいり、彼女を逃がし自分たちも逃亡する決意をする。かつてタロンの海上移動基地で爆死したはずのバードが実は生きており、タロンに放火されたESP研究所から由里たちを救い出す。


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