紀子の食卓
Noriko's Dinner Table
監督園子温
脚本園子温
製作鈴木剛
製作総指揮諸橋裕
『紀子の食卓』(のりこのしょくたく)は、2006年9月23日公開の日本映画。
園子温監督による、自作『自殺サークル』(2001年)のノベライズ『自殺サークル 完全版』が原作となっており、映画で描かれた後の世界が舞台となっている。正式な続編ではなく、単体でも問題なく鑑賞できるようになっている。
構想に時間をかけており、撮影期間は2週間という厳しいスケジュールだった。劇中の「廃墟ドットコム」は前作「自殺サークル」時に、実際に園子温が立ち上げた実在の掲示板である。 家族との関係に違和感を覚えている田舎の平凡な女子高生・島原紀子は、ある日インターネットで『廃墟ドットコム』というサイトの存在を知る。数日後進路のことで父と対立した紀子は、サイトで知り合った「上野駅54」と名乗る女性を頼って東京への家出を敢行してしまう。上京した紀子は「上野駅54」ことクミコに会うと、彼女に誘われて『レンタル家族』という虚構の世界で生きていくことに。その半年後、新宿駅のホームで54人の女子高生が横一列に並んで手を繋ぎ、入ってきた電車に飛び込み自殺する事件が発生する。 娘が家出して以来島原家の食卓は会話も減り、紀子の妹・ユカは姉のパソコンの履歴から見つけた『廃墟ドットコム』が、新宿駅の集団自殺と関係していることに気づく。サイトを利用するようになったユカは、ふと「私も姉と同じく失踪したら両親はどうするだろう?」という疑問が湧き架空の話としてノートに書き始める。ユカは、「両親(徹三、妙子)は娘達のパソコンの履歴などから手がかりを探し、“自殺サークル”という存在に気づく」とノートに記す。後日ユカは実際に家出をして上京し、両親は残されたノートの架空話と同じく娘達の手がかりを探す日々を送ることに。 紀子の失踪から1年後、娘達の失踪と“自殺サークル”にクミコが絡んでいると疑った徹三は、上京して彼女に接触を図るが会社の名刺だけ渡して去られてしまう。後日、クミコが所属する会社が『レンタル家族』という業務を行っていると知った徹三は、娘達を取り戻す計画を立てて知人の池田に協力を依頼。徹三は、自宅によく似た物件を東京で探してそこに自宅から家財道具を運び込み、豊川市の自宅を完璧なまでに再現する。 池田は顔を見られた徹三の代わりに依頼者となって相手の会社に赴き、『レンタル家族』の顔写真入りの演者リストから紀子とユカとクミコを選び、4人で島原家[注 1]を演じることに。一方、紀子とユカは1年近くクミコから洗脳を受けたため、『レンタル家族』を演じるだけの人形のようになり本来の自分たちを忘れていた。クミコは今回の依頼に徹三が裏で絡んでいると疑い、紀子とユカに「あなたたちの本当の名前はミツコとヨーコで、実の姉妹じゃなく赤の他人」と言い聞かせる。 そして『レンタル家族』当日、徹三が“自宅”のクローゼットに身を潜めたのを確認した池田は、帰宅したクミコたちを迎え入れる。室内に入った紀子とユカは家具を見て一瞬動揺し、数分後池田は食材を買い忘れたことにしてクミコに買いに行かせ、そのすきに徹三を呼び出す。徹三が「お前たちのお父さんだよ」と言って娘達の名前を呼ぶが、紀子は「私の名前はミツコ」と言い張りユカは予期せぬ突然の再会に言葉も出ない。そうこうしている内にクミコが戻ってきてしまい、島原家は修羅場と化す。 下記の名前の欄の「」で書かれた名前は、ウェブサイト『廃墟ドットコム』でのハンドルネーム。
ストーリー
キャスト
島原家(紀子と実の家族)
島原紀子/「ミツコ」[注 2]
演 - 吹石一恵高校2年生で17歳。小中高と広報部(及び新聞部)となり高校では編集長を担当。田舎暮らしでの唯一の楽しみは、パソコンを使って『廃墟ドットコム』のサイトで他の街で暮らす同世代の女子たちと繋がること。自身の性格について「おっちょこちょい、意地っ張り、へそ曲がり、ただのガキ」と評している。田舎町での生活や家族との関係に満たされない気持ちに不満を持ち、以前から東京に憧れている。
島原ユカ/「ヨーコ」
演 - 吉高由里子紀子の1歳年下の妹。紀子と同じ高校の1年生。好きなことは、小説のように空想で物を書くこと。見た目よりちょっと大人びた性格で、気持ちの上で一歩引いた所から周りの人を見ていて冷静に人を分析している。紀子の失踪後から『廃墟ドットコム』を利用し始め、数ヶ月後姉を追って自身も同じく家出をして上京する。
島原徹三
演 - 光石研紀子の父。ローカルネタを扱う地元の新聞記者兼編集長。保守的な考え方の持ち主で、土地柄もあるが自身の新聞のネタも比較的のんびりとした内容ばかりを扱ったり、「東京は何があるか分からない場所」というイメージを持っている。ユカによると「あまり私達(紀子とユカ)の普段の気持ちや様子を理解していない」と評されている。
島原妙子
演 - 宮田早苗紀子の母。専業主婦で家族4人で豊川市の海沿いの街で暮らしている。