紀伊国
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この項目では、律令制以後の「紀伊国」について説明しています。

律令制以前の「紀伊国」については「紀伊国造」をご覧ください。

紀伊国

■-紀伊国
■-南海道
別称紀州(きしゅう)
きのくに
所属南海道
相当領域和歌山県三重県南部
諸元
国力上国
距離近国
数7郡55郷
国内主要施設
紀伊国府和歌山県和歌山市
紀伊国分寺和歌山県紀の川市紀伊国分寺跡
紀伊国分尼寺(推定)和歌山県岩出市
一宮日前神宮・國懸神宮(和歌山県和歌山市)
丹生都比売神社(和歌山県伊都郡かつらぎ町
伊太祁?曽神社(和歌山県和歌山市)
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紀伊国(きいのくに)は、かつて日本の地方行政区分だった令制国の一つ。南海道に属し、和歌山県三重県南西部に属する。
「紀伊」の名称と由来

7世紀に成立した当初は、木国(現代の標準語共通語表記:きのくに)であった。名称の由来として、雨が多く森林が生い茂っている様相から「木国」と命名された、という説がある。また、今の和歌山県北部が、有力豪族である紀国造が支配していた地域であるから「紀の国」というようになった、という説もある。実際に、律令制以前の紀伊国は紀国造の領土のみであり、熊野国造の領土(牟婁郡)を含まなかった。

和銅6年(713年)に「雅字(良い文字の意)二文字で国名を表すように」との勅令が出された際、紀伊国と表記するようになった。現代の近畿方言では「木」(きぃ)・「目」(めぇ)・「手」(てぇ)など1拍語を2音拍で発音する特徴があるが、もともと当地(または都である奈良)の発音で「木国」=「きぃ-の-くに」だった読み方「きぃ」部分へ雅字を当て字し「紀伊国」とした、とする説がある[1]。その一方で、雅字制定当初は「紀伊国」=「き-の-くに」つまり「紀伊=き」(「伊」は黙字)と読まれていたものが、のち「伊」部分に「い」の音を充てた結果「紀伊」=「きい」という読み方が後代に成立したとする説もある[注釈 1]。ただし、いずれにおいても奈良時代の日本語の発音は不明の点も多く、はっきりしない。
領域

明治維新直前の領域は、現在の和歌山県に下記を加えた区域に相当する。

三重県南牟婁郡紀宝町御浜町

三重県熊野市

三重県尾鷲市

三重県北牟婁郡紀北町

三重県度会郡大紀町の一部(錦)

沿革

7世紀に成立した。

紀伊国は歴史が古く、『古事記』には神武天皇が大和に入る時に紀伊熊野を通ったとされるなど、事実はともかく、奈良盆地を地盤とするヤマト王権から知られた国であった。王権は、海人集団を部民に編成する海部の設定を進めた。また、忌部の設定は「紀氏集団」の在地の祭祀権を揺るがした。しかし、部民の設定は充分に展開しなかった。王権はつぎに国造制の導入と屯倉の設定という方策をとった。

天皇や皇后の紀伊行幸で史料に現れた確実な例は、斉明天皇658年(斉明4年)紀温湯(牟呂温湯)行幸である。この11月に有馬皇子の事件が起きた[注釈 2]

奈良時代の官衙遺跡の確実な例として、御坊市の堅田遺跡が挙げられる。この遺跡では、周りに柵か塀をめぐらしており、その内区には庇のついた掘立柱建物を中心に建物が全体として「コ」の字状に建てられており、外区には倉庫群が二組建てられていたようである。この堅田遺跡は8世紀前半から後半にかけての遺跡で、付近に「西郡」の名の字が残っているところから考えて、日高郡衙跡に比定されている。

平安時代後期に熊野三山(熊野本宮、熊野新宮、熊野那智の連合体)が成立し、太上天皇(上皇)による熊野御幸がおこなわれるようになると、熊野古道が整備され熊野詣が流行った。その他、紀州の三井寺とされた紀三井寺、空海の高野山金剛峯寺道成寺根来寺など大寺大社が紀州の地に建てられた。

平安時代末期には、特に有田郡の湯浅地方を中心に湯浅党の武士団、口熊野の田辺・奥熊野の新宮付近に熊野別当家を総帥とする熊野水軍が発達し勢力を伸ばした。この湯浅党の武士団は平氏方、熊野水軍は源氏方として源平合戦(治承・寿永の乱)にも関与した。

南北朝時代は湯浅党を中心に南朝勢力が強い国の一つだった。
南北朝合一後は畠山氏が守護であったが、寺社勢力が強力なために、その支配力は限定的なものにとどまった。

戦国時代には、ルイス・フロイスが「紀州の地には四つ五つの共和国的な存在があり、いかなる権力者もそれを滅ぼすことができなかった[2]」と述べている通り、雑賀衆に代表される国人衆や寺社勢力が割拠する状態が続いた。


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