糸魚川静岡構造線
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■ 左側の青線が糸魚川静岡構造線、赤線が中央構造線、青線に囲まれたオレンジ色の部分はフォッサマグナ

糸魚川静岡構造線(いといがわしずおかこうぞうせん、: Itoigawa-Shizuoka Tectonic Line, ISTL)とは新潟県糸魚川市親不知付近から諏訪湖を通って、安倍川静岡市駿河区)付近に至る大断層線で地質境界でもある[1]。略称は糸静線(いとしずせん)。

糸魚川静岡構造線で、西南日本東北日本に分断される[2][3][4]
名称国の天然記念物「新倉の糸魚川-静岡構造線」
画像の中央、崖の右上から左下に斜めに走るラインが構造線の露頭である。
山梨県南巨摩郡早川町新倉(あらくら、北緯35度29分28.4秒 東経138度19分33.6秒)フォッサマグナパーク新潟県糸魚川市)の露頭

1918年に、東北帝国大学(現・東北大学)の地質学者・古生物学者である矢部長克(1878年-1969年)によって提唱された。[5]

俗にしばしばフォッサマグナと混同されるが、糸魚川静岡構造線は「フォッサマグナの西辺」であって、「フォッサマグナ」ではない。フォッサマグナは、糸静線から東に大きく広がる地溝帯、すなわち「線」ではなく「面」である。
解説

(ここでは自然地理的な特徴について述べる。人文地理的な特徴は「中部地方#地域性」を参照のこと)

糸魚川静岡構造線の西側には日本アルプスが造られており、飛騨山脈赤石山脈の高山が沿線に連なり、天険を形成する。地質および生態系は、糸静線を境にして大きく異なり、東半分を東北日本、西半分を西南日本という。糸静線沿線の主な高地には、白馬岳乗鞍岳上高地赤石岳身延山などが連なる。また地溝部には構造湖の仁科三湖(青木湖中綱湖木崎湖)、諏訪湖が形成されている。

日本海側の東西境界線は新潟県と富山県の境に位置する親不知であり、内陸側の東西境界線は諏訪湖である。太平洋側については、あまりはっきりした境界は無く、安倍川の東にある竜爪山の南北に伸びる竜爪衝上体の東側を通った後、その南端(静岡市葵区麻機付近)で、断層が見られなくなっていて[6]、海岸よりも内陸で構造線が終わっている。

新潟県の糸魚川市では大規模な断層が地上に露見している箇所[7]があり、少し離れたところに博物館も作られている。[8]

一方太平洋側の静岡県では糸魚川静岡構造線の露頭は静岡市清水区の黒川林道付近に小規模なもの(3メートル)が静岡大学の報告で知られていた。最近、そこから北に1.5km位の西里に、段差が20メートル近い露頭が塩沢邦雄氏によって発見され報告された[9]。現在までに静岡地学での報告のあとの継続調査で、露頭は100メートルに渡っていることが確認されている。なお、場所は私有地を越えた場所にあるため許可なく入ることはできない[10][11]

山梨県南巨摩郡早川町新倉には、逆断層の露頭があり、2001年(平成13年)に「新倉の糸魚川-静岡構造線」として国の天然記念物に指定された。また、2007年には、糸魚川と早川の糸魚川静岡構造線が日本の地質百選に選定された(「糸魚川-静岡構造線(糸魚川)」と「糸魚川-静岡構造線(早川)」)。

ここをユーラシアプレート北アメリカプレートの境界とする説もあるが、研究者により衝突様式に関する見解は異なっている[12]
活断層群

活断層群は地質境界の糸魚川静岡構造線と区別する為、糸魚川静岡構造線活断層系とも総称され、断層の活動様式、深部地下構造、活動形態などによって大きく4つのセグメントに区分している[13]。但し、区分分けは今後のさらなる調査結果により変更される可能性があるとしている[13]。なお、平成27年4月24日以前の評価では、3つに区分されていた[14]

日本の活断層の中で最も活動的な断層帯のひとつとされ[15]、1980年代から活断層の分布調査が行われている。緩いS字状に屈曲し断続している断層群の総全長は約158km[13]で、北は長野県小谷村付近から南は山梨県早川町付近に達する。

「北部」- (小谷?明科)区間。長野県小谷村から安曇野市明科に至る約50km。
神城断層松本盆地東縁断層の一部。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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