糸電話
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米国のマサチューセッツ州のTelephone Museum(テレフォン博物館)に展示されている品 1882年刊行のEl mundo fisico(『物理の世界』)掲載の挿絵。

糸電話(いとでんわ)や針金電話(はりがねでんわ)(: tin can telephone)とは、音声ワイヤーなどの振動に変換して伝達し、再び音声に変換することによって音声で通信(離れた場所でのコミュニケーション)を行うための道具。英語の「tin can telephone ティン・キャン・テレフォン」は「ブリキ缶テレフォン」という意味。

もともと音声通信の手段として実験・検討されていた時代があり、振動を伝えるための物体も糸とは限らずワイヤーを用いたものもあり、たとえばロバート・フック(イギリスの自然哲学者・博物学者でアイザック・ニュートンの先輩・仲間・ライバル)によって1664?1665年に実験が行われていた。当時からワイヤーも用いられ、現在でもワイヤーが使われることがある。19世紀後半には、(19世紀なかばに実用化された電気を用いた高価な電話と並んで)この糸電話・針金電話の装置が、大人が使用する実用的な道具・装置で比較的安価な製品として販売されていた。その後、電気式のテレフォン(電話)のほうが特許切れで安価になり圧倒的に普及したので、その電話の陰に入ってしまい、実用的な道具としては消えていった。17世紀から現代にいたるまで、物理実験の道具や教材とすることが行われている。近年の日本では紙コップをつかって家庭で作り子供用の玩具とすることも広く行われている。

「電話」という語が含まれるが、telephone(離れた場所で会話する装置)の訳語であり、電気を使うわけではない。もともと「telephone」は、「音声通信」という意味で、「電気」という概念は不可欠なわけではないのだが、欧米から遅れて導入した日本の側で「電話」と電気を強調した用語を造語してそれを訳語として定着させておきながら、時代をさかのぼって糸やワイヤーを用いた「telephone」についても強引に「電話」という言葉を適用したものだから、電気を使わない道具にまで「電話」と呼ぶという奇妙な現象が日本語では起きてしまっている。目次

1 歴史

2 近年のもの

3 材質と音質の関係

4 縦波/横波の別と伝達経路の工夫

5 ギャラリー

6 ストリングラフィ

7 脚注

8 参考文献

9 関連項目

10 外部リンク

歴史

音声を用いた通信はさまざま試みられていたが、糸やワイヤーを用いて遠い場所との間で非電気的に音声通信を行うという、そのもっとも初期の実験は、イギリスの自然哲学者ロバート・フック1664年から1685年にかけておこなった、ぴんと張った針金を通して音を伝えるというものであった[1][2]。フックは1665年に出版した『顕微鏡図譜』の序文でこの実験を紹介している[3]。こうした伝声装置は、1667年にはすでに彼による発明として紹介されている[4]

金属缶の間を糸や針金で結び、遠くにいる人同士で話せるようにする「ブリキ缶電話」(tin can telephone)あるいは「ラバーズフォン」(lover's phone)というものも長年にわたり知られてきた。19世紀末には線を使って音響を物理的に遠方に届けるという音響通話装置(acoustic telephone)が一時的に欧米で盛んに販売された。アレクサンダー・グラハム・ベルによる、音声を電気信号に変えて電送するという「電話」が発明されて以後、遠方との通話需要が増大したが、電話発明以前からあるため電話の特許に抵触しない音響通話装置は、数百メートルからせいぜい数キロメートルの間の通話というニッチな需要にこたえて電話の競争者となった。ベルの特許が切れた後は多数の電話会社が誕生して激しい競争を行い、音響通話装置は競争に敗れて姿を消した[5]。@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .mod-gallery{width:100%!important}}.mw-parser-output .mod-gallery{display:table}.mw-parser-output .mod-gallery-default{background:transparent;margin-top:.3em}.mw-parser-output .mod-gallery-center{margin-left:auto;margin-right:auto}.mw-parser-output .mod-gallery-left{float:left;margin-right:1em}.mw-parser-output .mod-gallery-right{float:right}.mw-parser-output .mod-gallery-none{float:none}.mw-parser-output .mod-gallery-collapsible{width:100%}.mw-parser-output .mod-gallery .title,.mw-parser-output .mod-gallery .main,.mw-parser-output .mod-gallery .footer{display:table-row}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div{display:table-cell;text-align:center;font-weight:bold}.mw-parser-output .mod-gallery .main>div{display:table-cell}.mw-parser-output .mod-gallery .gallery{line-height:1.35em}.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div{display:table-cell;text-align:right;font-size:80%;line-height:1em}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div *,.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div *{overflow:visible}.mw-parser-output .mod-gallery .gallerybox img{background:none!important}.mw-parser-output .mod-gallery .bordered-images .thumb img{outline:solid #eaecf0 1px;border:none}.mw-parser-output .mod-gallery .whitebg .thumb{background:#fff!important}


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