糠漬け
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洗って盛り付けた糠漬け

糠漬け(ぬかづけ)とは、米糠を使った漬物のこと。乳酸菌発酵させて作った糠床(ぬかどこ)の中に野菜などを漬け込んで作る糠味噌漬け(ぬかみそづけ)、どぶ漬け、どぼ漬けとも呼ばれるものと、大根を漬けた沢庵や糠ニシン、糠サンマのように材料にと糠をまぶして漬けたものの双方を呼ぶ。

糠床で作る糠漬けでは、一般に胡瓜茄子、大根といった水分が多い野菜を漬け込むことが多い。このほかにも[1]ゆで卵蒟蒻など多様な食材が利用される。あまり漬かっていないものは「浅漬け」「一夜漬け」と呼ばれ、長く漬かったものは「古漬け」「ひね漬け」などと呼ばれる。目次

1 歴史

2 製法

2.1 塩のはたらき

2.2 糠・塩・水以外に糠床に入れるもの

2.3 野菜の漬け込み


3 ぬか漬けができる仕組み

3.1 発酵

3.2 浸透


4 手入れ

4.1 茄子の糠漬けの色を鮮やかにする

4.2 糠床の細菌叢


5 健康維持

6 糠漬けされた食品一例

7 糠漬け・糠床の代用

7.1 ヨーグルト漬け

7.2 パン床

7.3 いも床


8 脚注

9 参考文献

10 関連項目

11 外部リンク

歴史

平城京跡から出土した木簡に記された須須保利(すずほり)という漬物は、で挽いた穀類大豆を塩と混ぜて床にした。現存はしないが、糠漬けの原型と推測されている[2]

現在の形の糠漬けが出来たのは、江戸時代初期と言われている。須須保利の穀類・大豆の代わりに、精米の際に出る米糠を使ったのが糠漬けである。糠に含まれる豊富な栄養を除いた白米に偏重した食事は脚気をもたらし、「江戸患い」と呼ばれた。当時は現代のような栄養学の知識はなかったが、漬け込みの過程で糠のビタミンB1が野菜に吸収されるため、糠漬けを副食とすることである程度、脚気を防ぐ効果があったと考えられている。
製法 漬物屋店頭の糠漬け

伝統製法による方法では、まず糠床を作る。適量の糠(炒ってから使う場合もある)に一度煮沸してから冷した濃度8%程度の食塩水を加える。水の量は糠床が味噌よりも柔らかになるぐらいである。[要出典]

一昼夜程度の短期間で仕上がる速醸製法では、一例として糠の70%程度のと7%の食塩を添加し、水分量を50%に調整する[3]
塩のはたらき

塩のはたらきは浸透圧による脱水作用で、野菜などの食材中にある水分を細胞外に出す。塩の濃度により、漬物をおいしくする乳酸菌など有用菌の働きを活発にし、同時に生成する乳酸などによりpHを下げて[4]腐敗菌を抑える効果もある。野菜などを漬ける前に塩で揉むと、色素が安定して色が引き立ち、脱水作用により水分が抜けた食材の細胞の中に入り込んで食材に味をつける。[5]
糠・塩・水以外に糠床に入れるもの

漬物に辛味をつけるとともに防腐作用もある唐辛子うま味が出る昆布[6]とともにやガラス容器等に詰め、表面を平らにならして糠床の準備ができる。これに野菜くずを1週間ほど毎日取りかえて漬けると、野菜についていた乳酸菌等が繁殖し、糠床は一応完成する。しかし、この段階では糠床は熟成していないため、漬物の風味は少ない。野菜を漬け込み毎日手入れすることで発酵が進み、風味が増していく。場なら2ヶ月、場なら4ヶ月ほどで美味しい漬物ができる糠床が完成する。

現代では大型食料品店などで熟成済みの糠床が容器ごと売られており、これを購入すれば手間がかからない。また、熟成した糠床を少量分けてもらって自家の糠床に混ぜて菌を繁殖させる「床分け」により、短期間で熟成した糠床を作ることもできる。風味付けに果物の皮を漬ける人もいる。

旨味を昆布で出し、風味付けに柚子など柑橘類果皮や唐辛子、山椒などを利用することもある。糠床は気温20℃以上でないと発酵が進まない、冬場は出来るだけ暖かな場所で保存すると良い。
野菜の漬け込み

完成した糠床に、よく洗ってで揉んだ野菜を漬けると糠漬けの完成である。漬けこむ時間は野菜の大きさや季節によっても変わるが、丸のままの胡瓜なら半日ほどで漬けあがる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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