糖尿病の食事療法
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糖尿病の食事療法(とうにょうびょうのしょくじりょうほう)では、糖尿病あるいは高血糖を持つ人々に推奨されている食事療法について述べる。

1950年代にアメリカ糖尿病学会が「食品交換表」を発表したが十分な科学的根拠に基づいているものではなかった。次第に、20世紀末にかけて栄養学の疫学研究が盛んになり、食物繊維か、血糖値の上昇しにくさであるグリセミック指数(GI)のどちらが強い要因であるかの研究がランダム化比較試験によって実施された。結果はGI値である[1]。国際糖尿病連合は、2007年のガイドラインで糖尿病の非薬物治療に低GIの食品を挙げている[2]。日本の糖尿病学会は2013年に、炭水化物の比率について通常の食事摂取基準で示される総エネルギーに対する50?60%程度を推奨している[3]。糖尿病に関する主要6団体のそれぞれのガイドラインの推奨する炭水化物の比率は40-65%と多少開きがあり、それらの中でもGIは重要なものとして強調されている[4]

2000年代には、たんぱく質の多い食品を高温で調理するほど生成される終末糖化産物(AGEs)が、糖尿病の合併症につながるという研究も実施された[5]菜食マクロビオティック(玄米菜食)がよりよい血糖管理に有効だという臨床試験の結果も得られている[6]
診療ガイドライン

国際糖尿病連合の2007年のガイドラインは、強い証拠があるとして、糖尿病の非薬物治療には低いグリセミック指数の食品を挙げており、これは全粒穀物などがあてはまる[2]。日本の糖尿病学会は2013年に、たんぱく質の腎臓への影響による糖尿病合併症への懸念から、炭水化物は通常の食事摂取基準で示される50?60%程度の比率を推奨している[3]

2006年の調査では、糖尿病に関する主要6団体のそれぞれのガイドラインの推奨する炭水化物の比率は40-65%と多少開きがあり、腎臓の機能が正常であれば、タンパク質の摂取量は総エネルギーに対する10-20%を推奨している[4]。それらの中でグリセミック指数は重要なものとして強調されている[4]。炭水化物が非常に少ない食事は適切ではない[4]。6団体は、米国糖尿病学会、欧州糖尿病学会の糖尿病栄養研究班、カナダ糖尿病協会、ジョスリン糖尿病センター、米国臨床内分泌学会、英国糖尿病協会(Diabetes UK)。
歴史

糖尿病の食事療法には長い歴史がある。紀元前3500年ごろのエジプトでも糖尿病の食事療法が行われていた。また、今から2000年以上前に、インドのSushrutaやCharakaでも行われていた。また18世紀に、John Rollo は、糖尿病の人がカロリー制限を行うと、尿糖が減少すると述べた。

しかし、近代的な糖尿病の食事療法が行われるようになったのは、Frederick Allen 以後である。彼は、インスリンが発見される前の時代に、糖尿病の人が致死的なケトアシドーシスとなるのを防ぐために、低カロリーダイエットを行うように勧めた。しかし、これは糖尿病を治癒させるものではなく、生命を限られた期間、延長させるだけのものであった。

1922年に、Frederick Bantingがインスリンを最初に使用して事態を変えた。インスリンの使用により、患者はより柔軟に食事を行うことが可能になった。
食品交換表

1950年代に、アメリカ糖尿病協会はアメリカ合衆国公衆衛生局と共に、食品交換表を発表した。この食品交換表に従って、糖尿病の患者は栄養的に同じような価値を持つ食品(例えば炭水化物)を他のものと交換することができる。例えば、もしデザートで通常より多い量の炭水化物を食べたいのであれば、食事の最初の部分でじゃがいもの消費を減らすのである。

この食品交換表は、1976年、1986年、1995年に改訂されている。[7]

しかし、糖尿病の食事療法の全ての研究者がこの食品交換表を推奨しているわけではない。むしろ研究者の多くは典型的な健康ダイエットを推奨している。
近代的な研究

より以前から試みられていた食品交換表の後には、栄養の研究が進展し、健康に寄与する食事成分の比率が疫学調査され食生活指針が策定されてきた。糖尿病の食事療法もこれに沿った研究が増えている。すなわち、精白されていない穀物、果物や野菜が多く、砂糖と脂肪(特に飽和脂肪)が少ない食事である。

1979年に、James Andersonは、植物繊維が多い食事を推奨した(Anderson & Ward, 1979年[要文献特定詳細情報])、(Murray & Pizzornoが引用, 1990年[要文献特定詳細情報])。それは、バーキットとトロウェルが行った食物繊維についての研究の続編であると理解されるかもしれない[8]。(1975年にバーキットとトロウェルと『精製炭水化物と病気-食物繊維の影響』[9] を出版し、精白していない全粒穀物の重要性を訴え支持されていく[10])さらにそれは、大元のPriceの研究の続編であると理解されるかもしれない(Murray & Pizzorno, 1990年[要文献特定詳細情報])。

1976年にNathan Pritikinは、医療センターを開設し、患者たちが食事療法運動療法のプログラム(Pritikin プログラム)を受けられるようにした。食事は新鮮な果物や野菜や全粒穀物を含み、炭水化物と繊維の多い食事であった。2005年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) で行われた研究によれば、このプログラムを糖尿病や糖尿病の前段階の人々に対して、わずか3週間だけ行ったところ劇的な改善がもたらされ、約半数の人は糖尿病の範疇から脱することができた。


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