精神療法家
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ポジティブ心理療法

心理療法(しんりりょうほう、: psychotherapy:サイコセラピー)、精神療法(せいしんりょうほう, Psychological Therapy)、心理セラピーとは、物理的また化学的手段に拠らず[1]、教示、対話、訓練を通して認知情緒行動などに変容をもたらすことで、精神障害心身症の治療、心理的な問題、不適応な行動などの解決に寄与し、人々の精神的健康の回復、保持、増進を図ろうとする理論と技法の体系のことである[2]

臨床心理学においては心理療法、精神医学においては精神療法の呼称が通常用いられ、事実上同じものを指す。この違いは、明治期以降に西洋学問を輸入した際、psycheの語に「心理」と「精神」という2通りの訳語が当てられ、それが心理学界と医学界に別々に定着したことに由来する。

心理療法を行う者を心理療法士、心理療法家、精神療法家、心理セラピスト、サイコセラピスト(psychotherapist)などと呼び、専門家が立脚する学派により精神分析家行動療法家などと呼び分けることもある。また、心理療法を受ける者をクライエント(client)、来談者、患者などと呼ぶ。
定義

心理療法は、主に対話を用い、精神障害心身症を呈している人、心理的問題や不適応に陥っている人、種々の困難を抱えている人などの認知情緒行動などに働きかけ、そこに適応的な変化を図ることを目的とする。特に、人間関係に起因するストレスなどの影響が認められる心因性の精神疾患の治療においては、心理療法はストレスそのものの分析・考察を行うため、表面的な症状を抑える薬物療法などの対症療法とは区別される。

性格傾向・病理水準・発達水準などにより向き不向きがあるため、主訴や各水準の臨床心理査定と照らし合わせ、相談者との共通理解のもとで、適した心理療法が選択され用いられる[3][4]
明治の精神療法

明治末から昭和の初めにかけて、民間療法が盛んに行われていた。明治30年代後半に流行した催眠術治療に始まり、明治40年代に入ると静坐法や呼吸法などの修養法、霊術などの治療法が流行し、これらは精神療法と呼ばれた。その主な技法は、腹式呼吸、霊動と呼ばれた身体の自動運動、お手当て(手当て療法)といった身体技法であった。[5]

当時の精神療法家の用いた「精神」という言葉は、身体と対立する精神という意味ではない。吉永進一は、身体を含み、さらには身体を越えた領域も含んでいたと指摘している。[5]
日本の健康保険における精神療法

診療報酬上のレセプト「精神科専門療法料」における、入院精神療法とは「精神面から効果のある心理的影響を与えることにより、対象精神疾患に起因する不安や葛藤を除去し、情緒の改善を図り洞察へと導く治療方法」であり、通院・在宅精神療法とは、「一定の治療計画のもとに危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行う治療方法」である[6]。入院集団精神療法および、通院集団精神療法とは、「集団内の対人関係の相互作用を用いて、自己洞察の深化、社会適応技術の習得、対人関係の学習等をもたらすことにより病状の改善を図る治療法」である[6]。なお、病状、服薬状況び副作用の有無等の確認を主とした支援は、「精神科継続外来支援・指導料」であり、精神療法に該当しない[6]
適用

WHOのmhGAPマニュアルにおいて示される、精神療法とその推奨疾患を以下に挙げる [7]

行動活性化(Behavioral Activation) - うつ病 [7]

リラクゼーション技法 (Relaxation Training) - うつ病 [7]

問題解決療法(Problem Solving) -- うつ病 [7]

認知行動療法 (CBT) - うつ病、, 児童青年精神障害, 物質関連障害, 精神病 [7]

随伴性マネージメント (Contingency Management Therapy) - 物質関連障害 [7]

家族カウンセリング, 家族療法 - サイコシス、物質関連障害 [7]

対人関係療法 (IPT) - うつ病 [7]

動機づけ強化療法 - 物質関連障害 [7]

親訓練プログラム - 児童青年精神障害 [7]

各国の資格要項

OECD各国の心理療法の位置付け[8]
(五十音順)認知行動療法


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