精神刺激薬精神病
概要
診療科精神医学
分類および外部参照情報
ICD-10F14.5
精神刺激薬精神病(せいしんしげきやくせいしんびょう、英語: Stimulant psychosis)とは、精神刺激薬を使用した一部の人に生じる精神病性障害である。薬物が原因であると認識できない幻覚(体から虫がわくなど)や妄想(追われているなど)により、著しい苦痛や機能的な障害を起こしているほど重症なものを指す。精神刺激薬精神病は、一般に精神刺激薬乱用の人々に生じるが、医学的監督下において治療用量の精神刺激薬を摂取していても生じることがある[1]。覚醒剤精神病[2]、その旧称である覚醒剤中毒が[3]含まれる。最も一般的な原因物質は、アンフェタミンやコカインであるが、a-PVP(英語版)のような新規デザイナードラッグでも類似の症状を発する[4]。 アンフェタミンやメタンフェタミンは覚醒アミン、覚醒剤と総称され、1938年にヤングはアンフェタミンの妄想状態を報告し、後にコンネルが精神病として42例報告し、覚醒アミン精神病として確立された[5][6][7]、最も有名なアンフェタミン類の流行は、日本における1950年の初頭のメタンフェタミンの乱用であり[8]、入院直後に薬の使用が中止され脱力状態が平均12日(6?17日)、その後、躁状態平均16日(10?25日)の躁状態があり多くはそのまま軽快するものの、覚醒剤によるものと、統合失調症や躁うつ病を比較して、鑑別できないものが5?6%あり、国外にはそのような報告はないとしている[3]。
歴史
兆候と症状(英語版
精神刺激薬精神病(原発性精神病ではない)では、長期的な精神刺激薬乱用、あるいは急性の過剰摂取では次のような身体症状も存在する傾向がある[9]。攻撃性、不整脈、散瞳、下痢、高血圧、高体温、吐き気、早い呼吸、落ち着きのなさ、発作、睡眠不足、振戦、嘔吐である[9]。 アンフェタミン類や、置換アンフェタミン類の薬物では、慢性的に乱用したり、高用量を使用した際に「アンフェタミン精神病」を誘発する事が知られている[10]。 オーストラリアでの研究では、309人の現にアンフェタミンを使用している者の18%に、1年以内に臨床水準の精神病の体験があった[11]。 メタンフェタミンによる精神病は、日本では覚醒剤精神病として知られ[2]、1956年にも立津政順・後藤彰夫・藤原豪らが覚醒剤中毒として記述し、その覚醒剤の流行の経緯と中毒症状の経過を報告しているが、薬の使用を中止して精神病が発展していくことはなく、中毒者に遺伝性の精神障害やパーソナリティが異常な者が多く元来の精神病者が入り込んでいる可能性があるとして報告されている[3]。
精神病の原因となることが知られている精神刺激薬
置換アンフェタミン類