粘血便
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血便
分類および外部参照情報
診療科・
学術分野
消化器学, 一般外科学
ICD-9-CM578.1
DiseasesDB19317
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血便(けつべん)(hematochezia)とは、自己の血液の付着や混入した便で、肉眼的に出血が確認されない検便にて指摘される「便潜血」や、便表面に付着する程度から便全体に血液が混ざっているもの、便に血が混じっている全ての状態を指す。血液の比率が高く液状の場合は下血(げけつ)または血性下痢(けっせいげり)と表現される。目次

1 解説

2 警戒すべき状態

3 血便をきたす主な疾患

3.1 消化器系

3.2 血液系

3.3 循環系

3.4 感染症

3.4.1 腸管感染症

3.4.2 全身感染症

3.4.3 寄生虫


3.5 中毒

3.6 栄養失調


4 出典・脚注

5 関連事項

6 外部リンク

解説

一般的には血便とは赤色から赤褐色の便であるが、その原因のほとんどは下部消化管出血による。裂肛などの肛門周囲病変での出血は、便の表面に血液が付着するもので、便と血液が混じり合っていないことで判断される[1]

血便をきたす疾患は重大なものが多く、後述、「警戒すべき状態」にある症候を示した際は早急な医療機関への受診が必要[2][3]、トイレットペーパーに血が付着するだけの状態であれば、1-2日の診察遅れは問題にならないとされる[2]

上部消化管、下部消化管の口側よりで出血し、消化(化学的修飾)された血液は黒色を呈し、黒色便(メレナ: melena)[1]、粘液を伴えば粘血便[1]、膿と粘液を伴えば膿粘血便と呼ばれる。症例の画像(閲覧に関しては右端の[表示]をクリック)。医療目的等以外で閲覧する場合、不快感を催す恐れがあるので注意すること。 血便の事例



警戒すべき状態

血便および下血症状と前後して、失神、低血圧、蒼白、発汗、心拍数の増加(毎分100回を超える)、250 mlを超える出血[2]を生じた場合、循環血液量減少または出血性ショックが示唆される[4]
血便をきたす主な疾患
消化器系

大腸癌

絞扼性イレウス

腸重積症 - 乳幼児の血便をきたす代表的な疾患の一つ。激しい腹痛で泣き叫ぶ乳幼児に浣腸をして「イチゴジャム状の粘血便」が出た場合、この病気を疑う必要性がある。緊急性の高い疾患である。

腸捻転症


潰瘍性大腸炎

クローン病

薬剤性腸炎

虚血性大腸炎

憩室出血

中毒性巨大結腸症 - 緊急性の高い疾患である。

血液系

血小板減少性紫斑病

白血病

再生不良性貧血

播種性血管内凝固症候群(DIC)

循環系

上腸間膜動脈血栓症 - 緊急性の高い疾患である。

結節性多発動脈炎

感染症
腸管感染症

細菌性
胃腸炎サルモネラカンピロバクター腸炎ビブリオなど)

細菌性赤痢赤痢菌による出血性大腸炎) - 疾患の名称は「赤い下痢」に由来する。血便が出るのは赤痢菌が産出するベロ毒素(志賀毒素)が大腸の血管壁を破壊するため。

腸チフスパラチフス

腸管出血性大腸菌O157感染症(出血性大腸炎) - 典型的な症例では「糞便成分がほとんどなく、血液のみ」というような状態になる。腸管出血性大腸菌は赤痢菌と同様にベロ毒素を産出する。


腸結核結核菌による腸の炎症)

偽膜性大腸炎クロストリジウム・ディフィシル腸炎

アメーバ赤痢 - 臨床医学の教科書ではしばしば「イチゴゼリー状の粘血便」と形容される。

全身感染症

レプトスピラ症(ワイル病)

ウイルス性出血熱

エボラ出血熱エボラウイルス病

マールブルグ病

ラッサ熱

南米出血熱

クリミア・コンゴ出血熱(CCHF)

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

腎症候性出血熱

黄熱

デング出血熱


寄生虫

日本住血吸虫症

中毒

黄色ブドウ球菌食中毒(重症例)

ウェルシュ菌食中毒(重症例)

毒キノコによる中毒

有毒植物による中毒

誤飲電池漂白剤農薬など)

毒蛇出血毒

栄養失調

ペラグラナイアシン欠乏症)

壊血病ビタミンC欠乏症)

ビタミンK欠乏性出血症

出典・脚注^ a b c 血便を起こす病気 町田市医師会
^ a b c 消化管出血 MSDマニュアル家庭版


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