粒子崩壊
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粒子崩壊 (りゅうしほうかい、: Particle decay) は、一つの素粒子が他の素粒子に変換する自発的過程 である。この過程の間、素粒子はより質量の小さい粒子とミュー粒子崩壊におけるWボソンのような媒介粒子へ変化する。次に、媒介粒子は他の粒子へと変換する。もし生成された粒子が安定でないなら、その崩壊過程は継続する。

粒子崩壊はハドロンの崩壊も言及するが、この用語は典型的には放射性崩壊を記述するのに用いられない。その二つは概念的には似ているが。放射性崩壊では、不安定原子核が粒子または放射線を放出することでより軽い原子核へと変換する。

この記事では、自然単位系、 c = ℏ = 1 {\displaystyle c=\hbar =1\,} を用いる。
目次

1 粒子の生存期間と寿命の確率

1.1 素粒子の寿命の表


2 崩壊率

3 2体崩壊

3.1 崩壊率

3.2 二つの異なる枠組みから


4 3体崩壊

5 複素質量および崩壊率

6 関連項目

7 脚注

8 参考文献

粒子の生存期間と寿命の確率

粒子崩壊はポアソン過程であり、それゆえ粒子が崩壊前に生存する時間tは時定数が粒子の速度に依存する指数分布によって与えられる: P ( t ) = e − t / ( γ τ ) {\displaystyle P(t)=e^{-t/(\gamma \tau )}\,} ここで τ {\displaystyle \tau } は(静止)粒子の平均寿命で、 γ = 1 1 − v 2 / c 2 {\displaystyle \gamma ={\frac {1}{\sqrt {1-v^{2}/c^{2}}}}} は粒子のローレンツ因子である。
素粒子の寿命の表

全てのデータはParticle Data Groupによる。

型名前記号エネルギー (MeV)平均寿命
レプトン電子 / 陽電子 e − / e + {\displaystyle e^{-}\,/\,e^{+}} 0.511 > 4.6 × 10 26   {\displaystyle >4.6\times 10^{26}\ } 年
ミュー粒子 / 反ミュー粒子 μ − / μ + {\displaystyle \mu ^{-}\,/\,\mu ^{+}} 105.6 2.2 × 10 − 6   {\displaystyle 2.2\times 10^{-6}\ } 秒
タウ粒子 / 反タウ粒子 τ − / τ + {\displaystyle \tau ^{-}\,/\,\tau ^{+}} 1777 2.9 × 10 − 13   {\displaystyle 2.9\times 10^{-13}\ } 秒
中間子中性パイ中間子 π 0 {\displaystyle \pi ^{0}\,} 135 8.4 × 10 − 17   {\displaystyle 8.4\times 10^{-17}\ } 秒
荷電パイ中間子 π + / π − {\displaystyle \pi ^{+}\,/\,\pi ^{-}} 139.6 2.6 × 10 − 8   {\displaystyle 2.6\times 10^{-8}\ } 秒
バリオン陽子 / 反陽子 p + / p − {\displaystyle p^{+}\,/\,p^{-}} 938.2 > 10 29   {\displaystyle >10^{29}\ } 年
中性子 / 反中性子 n / n ¯ {\displaystyle n\,/\,{\bar {n}}} 939.6 > 10 29   {\displaystyle >10^{29}\ } 年
ボース粒子Wボソン W + / W − {\displaystyle W^{+}\,/\,W^{-}} 80,400 10 − 25   {\displaystyle 10^{-25}\ } 秒
Zボソン Z 0 {\displaystyle Z^{0}\,} 91,000 10 − 25   {\displaystyle 10^{-25}\ } 秒

崩壊率

粒子の寿命は崩壊率の Γ {\displaystyle \Gamma } 逆数で与えられる。これは単位時間あたりに粒子が崩壊する確率である。質量 M および四元運動量 P の粒子について、微分崩壊率は一般式によって与えられる: d Γ n = S 。 M 。 2 2 M d Φ n ( P ; p 1 , p 2 , … , p n ) {\displaystyle d\Gamma _{n}={\frac {S\left|{\mathcal {M}}\right|^{2}}{2M}}d\Phi _{n}(P;p_{1},p_{2},\dots ,p_{n})\,} ここでn は元の崩壊によって生成された粒子数、S は区別できない有限状態を説明するための組み合わせ因子(以下を参照)、 M {\displaystyle {\mathcal {M}}\,} は初期状態と最終状態をつなぐ不変行列要素または確率振幅(通常はファインマンダイアグラムを用いて計算される)、 d Φ n {\displaystyle d\Phi _{n}\,} は位相空間の要素、 p i {\displaystyle p_{i}\,} は粒子 iの四元運動量である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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