米国聖公会
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北米聖公会」とは異なります。
ワシントンD.C.教区主教座聖堂である「ワシントン大聖堂」には米国聖公会総裁主教もいる。また大統領就任時・もと大統領の葬儀などの様々な国家行事に超教派的な使用がされている。

米国聖公会(べいこくせいこうかい)またはアメリカ合衆国監督教会(Episcopal Church in the United States of America、略称:ECUSA)[1] は、キリスト教の一派・聖公会アングリカン・コミュニオン)のひとつ。アメリカ合衆国ヴァージン諸島ハイチ台湾コロンビアドミニカ国エクアドルホンジュラスに主教区を持つほか、プエルトリコおよびベネズエラの主教区と地域を越えた関係にある。
歴史

18世紀にアメリカ合衆国がイギリスから独立するとともに創設された。アメリカ独立戦争以前はイングランド国教会の一部であり、聖職者は就任にあたりイギリス国王の承認を得る必要があった。コネチカット州の聖職者がサミュエル・シーベリーを主教に選出する時に、シーベリーはイングランドで主教叙任を求めたが、それはイギリス国王との関係から困難であることが判明した。そこでスコットランド聖公会へ行き、当時スコットランドでは少数派であった聖公会の主教たちによりアバディーンで主教に任ぜられた。これは1784年11月14日のことで、このとき初めてブリテン諸島とイギリス植民地以外に任命された聖公会主教が誕生した。

このため米国聖公会は、スコットランド聖公会を通じた使徒継承を主張している。「アングリカン・チャーチ」ではなく「監督教会」(Episcopal Church)を名乗る所以は、このスコットランド聖公会(Scottish Episcopal Church)からの系譜を示している。スコットランドとの関係を示すため、米国聖公会の紋章にはスコットランドのセント・アンドリュー・クロスをかたどった意匠が使われている。

2009年に女性司祭LGBTなどに反対する保守派が北米聖公会(ACNA)を結成して、アメリカ合衆国とカナダ聖公会を離れて、北米聖公会は現在アングリカン・コミュニオンに参加していない。

アメリカ福音ルター派教会と完全相互陪餐の関係にある。
信者数

米国における教会員はおよそ300万人である。富裕層や社会上層部に信者が多く、歴代のアメリカ合衆国大統領の1/4、アメリカ合衆国最高裁判所長官の1/4は米国聖公会の信者である[2]。初代アメリカ合衆国大統領のジョージ・ワシントンアメリカ合衆国憲法起草者のアレクサンダー・ハミルトンをはじめ、モルガン財閥創業者のジョン・モルガンフォード・モーター創業者のヘンリー・フォードも信徒である。またアメリカ合衆国議会と合衆国最高裁判所判事の約半分が信者である。ただし、近年では社会的影響力を付けてきたヒスパニック移民の信者も増加傾向にある。
特徴
強いリベラル寄りの姿勢聖公会ニューハンプシャー州主教ジーン・ロビンソン

また、カトリック系をも含めた全てのキリスト教諸教派の中で最もリベラル寄りだとする評価もあり、実際、アメリカにおけるキリスト教系団体としては珍しく、中絶同性愛を公認している。また、第26代総裁主教が女性(キャサリン・ジェファーツ・ショーリ)(在任:2006-2015年)である点も極めて異色であり、他の保守的なキリスト教団からは批判を受けることもある。

教団勢力の基盤がリベラル寄りの住民が多いアメリカ北東部に置かれていることの影響も大きい。

米国聖公会は1976年に同性愛者が、教会に受け入れられる「神の子供」であると宣言した。また同性愛者が世俗の法律によっても守られるように訴えた。これは1982年にも確認された。1994年には教会籍が、結婚の状態、セックス、性的指向に左右されないと決定した。また「同性愛者を異性愛者に治すための治療」にも反対する。なお米国聖公会でも同性愛結婚聖別式を行う教会と行わない教会がある。1989年に公然男性同性愛者の司祭ロバート・ウィリアムズはジョン・シェルビー・スポング主教により聖職者按手を受けた。教会は1996年にゲイあるいはレズビアンに聖職者按手を禁止する理由はないと述べた。2003年6月7日、公然同性愛者のジーン・ロビンソンが主教に選ばれた。ロビンソンは2003年12月2日に主教として叙任された。アングリカン・コミュニオンのウィンザー報告書は、2度の離婚歴を持つ公然同性愛者ロビンソンの叙任は画期的な出来事だと述べた。

2012年からは、米国聖公会は同性愛者にも祝福する式を行っている。ただし、これに反発する者もおり、一部の教会は同性愛に関する決断をきっかけに離脱している[3]

また、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}一部が霊魂消滅説を唱えることでも知られる。[要出典]マイケル・カリー総裁主教

2015年6月27日、米国聖公会は総会において、総裁主教に初のアフリカ系アメリカ人マイケル・カリーが選ばれ[3]、同年11月に按手叙任されている。

米国聖公会は3年ごとに総会(General Convention)を開いている。最近のものは2015年6月にソルト・レイク・シティーで開催された。
典礼
祈祷書

米国聖公会では独自に『米国聖公会祈祷書』(The Book of Common Prayer, according to the use of the Episcopal Church ), BCP) を発行しており、最近の改定は1979年になされた。この改訂版は公式会議の承認を得るまで著作権保護下におかれていたが、現在は自由にダウンロードもできる[4]
ニケヤ信経

ニケヤ信経(The Nicene Creed)は1975年ICET版を用いている。
主の祈り

主の祈り(The Lord's Prayer)は聖餐式文(Holy Eucharist):Rite 1(伝統風)では

Our Father who art in heaven,
   hallowed be thy Name,
   thy kingdom come,
   thy will be done,
     on earth as it is in heaven.
Give us this day our daily bread.
And forgive us our trespasses,
   as we forgive those who trespass against us.
And lead us not into temptation,
   but deliver us from evil.
For thine is the kingdom, and the power, and the glory,
   for ever and ever. Amen.

Rite 2(現代風)では上記と現代風の1988年ELLC版("Our Father in heaven, hallowed be your Name, your kingdom come, ...")が併記されているが、教会ではほぼすべての信者が伝統的な方を唱えている。Amenは「アーメン」と発音。
聖書

米国聖公会は以下の英語訳聖書を公式の礼拝で使われる聖書として公認しているが、『新改訂標準訳聖書』 (New Revised Standard Version)が広く使われている[5]


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