節足動物
生息年代: 537?0 Ma[1] Pre??OSDCPTJKPgN
現生および絶滅した様々な節足動物[注釈 1]
地質時代
カンブリア紀 - 現世
分類
絶滅群は本文参照
節足動物(せっそくどうぶつ、英語: Arthropod、学名: Arthropoda[3])とは、昆虫・甲殻類・クモ・ムカデなど、外骨格と関節を持つ動物を含んだ分類群。分類学上は節足動物門とされる。動物界最大かつ多様性の最も高い動物門であり[4][1][5][6]、現生種は全動物種の85%以上を占め、約110万種が記載されている[7]。陸・海・空・土中・寄生などあらゆる場所に進出し、様々な生態系と深く関わっている。なお、いわゆる「虫」の範疇に入る動物は当動物門のものが多い[注釈 2]。
学名 Arthropoda はギリシア語の ?ρθρον(arthron, 関節)と πο??(pous, 脚)の合成語であり、本動物門の関節に分かれた付属肢(関節肢)にちなんで名づけられた[8]。
形態学、解剖学と生理学「形態学 (生物学)」、「解剖学」、および「生理学」を参照
ダニの走査型電子顕微鏡写真
ロブスター
2m以上の巨体をもつとされる化石ヤスデ類アースロプレウラ
節足動物のクチクラ層の構造[注釈 3]
節足動物の形態は多様で、種類により様々な外見を持つ。現生種の大きさは1mm未満のダニから数10 cmのロブスターまで幅広く、古生物にまで範囲を広げると2m以上と考えられる巨大な種類も含まれる[9][10][11]。体の表皮はキチン質とタンパク質等からなるクチクラ(cuticle)で、外骨格(exoskeleton, sclerite)と関節(articulation)を構成する。これは成長につれて更新されていき、古い表皮は脱皮により脱ぎ捨てられる[12]。
体節制「体節制」も参照
節足動物は体節制(segmentation)をもつ。すなわち、体は体節(somite)という単位の繰り返し構造からなり、各体節は原則として1対の付属肢をもつ(後述)[13]。体は原則として上下が背板(tergite, tergum)と腹板(sternite, sternum)に覆われており、更に左右に側板(pleuron)を持つものもある。これらの外骨格も体節単位になっており、体節の間は関節に分かれて可動であることが多い。体の先頭の体節は先節(ocular somite)といい、節足動物の眼と口はここに由来する[14]。体の末端に尾節(telson)という非体節性の尾に相当する構造をもつ場合もある[13]。
六脚類の昆虫の合体節:頭部・胸部・腹部
甲殻類のエビの合体節:頭胸部・腹部(T: 尾節)
三葉形類の三葉虫の合体節:頭部・胸部・尾部
鋏角類のクモの合体節:前体・後体
体節構造が見当たらない寄生性カイアシ類
ただし、節足動物は異規体節制(heteronomous metamerism[15])がある程度発達し、複数の体節が組み合わされ、合体節(tagma)という外観上あるいは機能上の単位を構成する(節融合、tagmosis, tagmatization)例が多く見られる[16][13]。例えば、体を「頭部 (head, cephalon)・胴部 (trunk)」、「頭胸部 (cephalothorax)・腹部 (abdomen)」、「前体 (prosoma)・後体 (opisthosoma)」などの2部、または「頭部・胸部 (thorax)・腹部」、「頭部・胸部・尾部 (pygidium)」、「前体・中体 (mesosoma)・終体 (metasoma)」などの3部に分けて呼ぶ場合があり、これは節足動物の各分類群ごとの特徴として用いられる[13]。特に前方の合体節(頭部融合節 head tagma, 頭部・前体など)は往々にして体節の癒合が進み、外見上では元の体節構造が見当たらず、すべて単一の外骨格に覆われている[13]。