管 啓次郎(すが けいじろう、1958年9月3日[1] - )は、日本の比較文学者、詩人。目次 明治大学理工学部および大学院理工学研究科建築・都市学専攻総合芸術系教授(コンテンツ批評、映像文化論)。他に東京大学、成城大学、立教大学、学習院大学、早稲田大学、名古屋市立大学、神戸大学、清泉女子大学でカリブ海文学、チカーノ文学、フランス語圏アフリカ文学、アメリカインディアン文学、異文化コミュニケーション論、翻訳文化論、トラヴェル・ライティング、翻訳演習といった分野の非常勤講師を務めてきた。
1 概要
2 略歴
3 著書
3.1 散文
3.2 詩集
4 共著
4.1 散文
4.2 詩集
5 編著
6 文庫・書籍解説
7 翻訳
8 基調講演
9 脚注
10 外部リンク
概要
エッセー、批評的散文の書き手としては、以下のような評価がある。若島正は『本は読めないものだから心配するな』をヒュー・ケナー『機械という名の詩神』と並べ「いずれも小さな名著と呼ぶにふさわしい。そして他の誰にも真似できない点で共通している」と論じている[2]。また松浦寿輝は「管啓次郎は、ここ半世紀ほどの日本文学が所有しえた最高の文章家の一人であるというのがわたしの考えだ」と述べている[3]。さらに堀江敏幸は「管啓次郎は、批評を紀行にしてしまう思想の一匹狼、もしくは詩的なコヨーテだ」と評している[4]。
2011年の東日本大震災を機に、31名の作家たちのアンソロジー『ろうそくの炎がささやく言葉』を野崎歓とともに編集。さらに小説家の古川日出男、音楽家の小島ケイタニーラブとともに朗読劇『銀河鉄道の夜』を制作し、各地で上演した。この朗読劇には2012年から翻訳家の柴田元幸が加わり、4人体制で春と秋の東北ツアーを行った。この活動の全容はドキュメンタリー映画『ほんとうのうた 朗読劇「銀河鉄道の夜」を追って』に記録されている。2016年には、上記の4名にミュージシャンの後藤正文が加わった朗読劇『銀河ロックンロール鉄道の夜』をKESEN ROCK FES '16で上演した[5]。2021年、東日本大震災10周年を機に新ヴァージョン『コロナ時代の銀河』を制作し、奥多摩町の旧・小河内小学校で無観客上演。監督・河合宏樹、音楽監督・川島寛人の映像作品として3月11日14時46分より無料配信された[6]。
2013年、演出家・高山明が主宰するPort Bの演劇プロジェクト「東京ヘテロトピア」にテクスト監修の立場で参加。小野正嗣、温又柔、木村友祐とともに東京のアジア系住民たちの物語を執筆した。また小説家・リービ英雄をめぐるドキュメンタリー『異境の中の故郷』(大川景子監督)をプロデュースした[7]。2016年には台湾・台北郊外での「北投へテロトピア」、2017年にはギリシャ・アテネ郊外での「ピレウス・ヘテロトピア」、2019年にはアラブ首長国連邦の「アブダビ・ヘテロトピア」、ラトヴィアの「リガ・ヘテロトピア」、2020年にはドイツ・フランクフルト近郊での「ヘルダーリン・ヘテロトピア」に、いずれもテクスト執筆で参加している。
詩人としての評価も国際的に高まっており、2010年1月にはアメリカ(スタンフォード大学)、2012年8月にはスロヴェニア(プトゥイ)、2013年9月にはセルビア各地(ベオグラード、ノヴィサドほか)、2014年9月にはアルバニア(ティラナ)、11月にはリトアニア(ドゥルスキニンカイ)、2016年9月にはコソヴォ(ラホヴェック)、11月にはエクアドル(グアヤキル)、2017年5月にはスペイン(グラナダ)、9月にはオーストラリア(キャンベラ)、2018年3月にはフランス(UNESCO)およびアメリカ(UCLA)、5月にはドイツ(トリーア大学)、9月にはオーストラリア(キャンベラ)、10月にはエクアドル(グアヤキル)、2019年2月にはキューバ(ハバナ)、4月にはトルコ(イスタンブル)、5月にはモロッコ(ラバト)およびアメリカ(シカゴ)、6月にはフィンランド(ラハティ)、2020年7月と9月にはコロンビア(いずれもメデジン=オンライン参加)、11月にはエクアドル(グアヤキル=オンライン参加)、12月にはホンデュラス(ロス・コンフィネス=オンライン参加)、2021年3月にはアルゼンチン(パルケ・チャス=オンライン参加)、4月にはコロンビア(メデジン=オンライン参加)、9月にはベネズエラ(カラカス=オンライン参加)、12月にはペルー(カトリック大学=オンライン参加)で招待朗読を行っている。
2021年、多和田葉子、Rei Magosaki ら14名による管啓次郎論を集めた Doug Slaymaker 編の論集 Wild Lines and Poetic Travels (Lexington Books) が出版された。
略歴
1977年 東海高校卒業、東京大学教養学部文科1類入学
1979年 東京大学教養学部教養学科フランス科進学
1981年 ジョージ・ウォレス奨学生としてアラバマ州立トロイ大学留学
1983年 東京大学卒業、卒業論文はロートレアモン論(フランス語、指導教官は阿部良雄)
1984年 ガセイ南米研修基金によりブラジルをはじめ南米各地・カリブ海域に滞在
1987年 皇太子奨学金によりハワイ大学人類学科大学院留学
1990年 ニューメキシコ大学にて修士号取得(比較文学+文化人類学)
1997年 ワシントン大学(シアトル)にて博士論文提出資格取得(比較文学)
2000年 明治大学理工学部助教授(英語・フランス語・総合文化)
2005年 明治大学理工学部教授
2005年 オークランド大学(ニュージーランド)客員教授(比較文学)
2008年 明治大学大学院理工学研究科新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系教授
2011年 『斜線の旅』で第62回読売文学賞(随筆・紀行部門)受賞
2011年?2014年 日本学術振興会学術システム研究センター専門研究員