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タケノコ
タケノコ(竹の子[1]、筍[2]、英名: bamboo shoot[3])は、春になるとイネ科タケ亜科タケ類(一部はダイミョウチクやチシマザサなどのササ類を含む[4])の地下茎から出る若芽の部分である[2]。日本や中国などの温帯から亜熱帯に産するものは食材として利用されている。広義には、竹の皮(稈鞘)が稈に付着していて離脱するまでのものであれば地上に現れてから時間が経過して大きく伸びていてもタケノコといえるが[5]、一般には食用とする地上に稈が出現する前後のものだけを指す[5]。夏の季語[6][7]。
タケノコの成長地面から顔を出したタケノコ竹と共に群生している様子
タケには温帯性タケ類(単軸型)、亜熱帯性タケ類(準連軸型)、熱帯性タケ類(連軸型)がある[8]。タケノコがそのまま生長すると、稈梢(竹の皮)が脱落してタケになる[9]。ただし、生長しても稈梢が落ちずに長く稈を包んでいる種類はササになる[9]。
温帯性タケ類(単軸型)
温帯性タケ類には地下茎があり、地表面から40センチメートル前後の深さに横方向に這いながら成長する特性を持つ[10]。毎年、初夏から秋にかけて地下茎の主軸もしくは側軸を数メートルずつ伸ばして、各節には芽子が分化、着生する[11]。通常2年生以降の地下茎の芽子が夏ごろから伸長肥大し始め、そのおよそ20%程度がタケノコとなる[10]。モウソウチクの場合、伸長肥大し始めた芽子は年内中に生育し続けるが、冬に地温5度以下で生育を停止し、早春に再び地温5度を超えるようになると伸長肥大し始め、地温10度に近づくと地表に顔を出すようになる[11]。タケノコの成長の速さは次第に増し、地表に顔を出す頃は1日当たり数センチメートル程度だったものが、10日目頃には数十センチメートルから、時には1メートルを超える。ツル性を除く被子植物のうち、最も成長が速いとされる。タケノコにうっかり帽子を掛けたまま1日経つと(手が届かない高さまで持ち上げられて)取ることができなくなる場合があるとも言われる[12]。この様に昼夜を問わず伸びるのがとても速いことから、一種の民間語源として、漢字の「筍」は10日間を意味する「旬」から来ている、などと言われることもある。ただ、2 - 3カ月程度でその成長は止まる[12]。長さ数十センチまで成長を続けたタケノコには養分不足のため成長を終える「止まりタケノコ」と呼ばれる現象があり、全体の30%から70%にこのような現象がみられる[10]。また、固いタケノコの皮(稈鞘)は柔らかい本体(稈)を保護するだけでなく、節の成長を助ける役割を持っている。このため若竹の皮を取ると、その節の成長は止まってしまう。成長を続けたタケノコはやがて皮を落とすが、以後、高さや太さはそれ以上変化せず硬化が進み、成竹となって10年ほど生きる。
熱帯性タケ類(連軸型)・亜熱帯性タケ類(準連軸型)
熱帯性タケ類や亜熱帯性タケ類は温帯性タケ類とは異なる成長の特性を有する。温帯性タケ類とは異なり稈は直立して90日から100日かけて成長すると一度に数個を発芽させ、そのうち2個が成長を続ける[13]。温帯性タケ類のように地中を地下茎が横走することはなく直ちにタケノコとして地上に伸びていく[13]。熱帯雨林のように一年中継続して降雨がある地域では1個のタケノコは90日前後で成長を完了し、さらに次の芽が発芽してゆくサイクルとなっており、多くて年に3回から4回の発筍期がある場合もある[13]。
食材としてのタケノコ鈴木春信, 1765
春先、地面から芽が出かけているものをタケノコとして食用にし、旬は4 - 5月とされる[14]。一般に食用にするのは地上に稈が出現する前後のものである[5]。タケノコは地上に現れると次第に固くなり、えぐみも強くなるため、穂先が出るか出ないうちに収穫する[2]。ただし、先述のように広義には竹の皮(稈鞘)が稈に付着していて離脱するまでのものはタケノコであり、特にタケが大きく伸びた後でも先端部のみが竹の皮に覆われている場合にはその先端部のみを「穂先タケノコ」と称して食用とする種もある[5]。収穫されたタケノコは、先端、中央部、根元部分でそれぞれ食感に違いがある[3]。
形はずんぐりして穂先が黄色っぽく、外皮はツヤがあり薄茶色のもので、根元の周囲に出た赤紫色の突起が小さめのが良く、この突起が大きくて濃い紫色になっていると食材としては育ちすぎの場合がある[14][2]。タケノコは掘り上げてからの鮮度落ちが極端に早く、時間が経つとかたくなると同時に灰汁が増えてえぐみが増すため[2][15]、掘って収穫したその日のうちに調理するか灰汁抜きして下ごしらえするのが理想といわれている[14][16]。