ユークリッド幾何学において、等力点 (とうりきてん、英: Isodynamic point) とは三角形の中心の一つである。この点を中心とする反転は元の三角形を正三角形に変換する性質を持つ。また等力点と頂点の距離の比は対辺の逆数の比と等しい。ほかの中心とは異なりメビウス変換で不変である。正三角形の場合、等力点は重心や外心と一致するが、正三角形でない場合は2つ存在する。等力点はジョセフ・ノイベルグによって研究・命名された。[1] 等力点は、もともと2点間の距離の比(あるいは積)のある等式から定義されていた。 S {\displaystyle S} または S ′ {\displaystyle S'} を三角形 A B C {\displaystyle ABC} の等力点とし A S : B S : C S = 1 B C : 1 C A : 1 A B {\displaystyle AS:BS:CS={\frac {1}{BC}}:{\frac {1}{CA}}:{\frac {1}{AB}}} が成り立つ。 S ′ {\displaystyle S'} についても同様の等式が成り立つ[2]。 S {\displaystyle S} と S ′ {\displaystyle S'} は 三角形 A B C {\displaystyle ABC} の一つの頂点を通り、ほか2つの頂点との距離の比が等しいアポロニウスの円の交点である[3]。したがって直線 S S ′ {\displaystyle SS'} は3つのアポロニウスの円の根軸である。線分 S S ′ {\displaystyle SS'} の垂直二等分線はルモワーヌ線で3つのアポロニウスの円の中心を通る。 等力点 S {\displaystyle S} 、 S ′ {\displaystyle S'} は三角形 A B C {\displaystyle ABC} に対する点対称やメビウス変換によって定義することもできる。三角形 A B C {\displaystyle ABC} を等力点で反転すると正三角形となる[4]。外接円による反転は、等力点をもう一方の等力点に変換する[3]。より一般にそれぞれの等力点は、 A B C {\displaystyle ABC} の内側を三角形の外接円の内側に写すメビウス変換で不変であり、外接円の内側と外側を交換する変換によって入れ替わる[5]。 等力点はアポロニウスの円とは他の円の交点でもある。第一等力点は三角形 A B C {\displaystyle ABC} の外接円と 頂点で120°のレンズを作る3つの円の交点である。同様に,第二等力点は三角形 A B C {\displaystyle ABC} の外接円と 頂点で60°のレンズを作る3つの円の交点である。 第一等力点と三角形の頂点が成す角は次の等式を満たす。 ∠ A S B = ∠ A C B + π / 3 , {\displaystyle \angle ASB=\angle ACB+\pi /3,} ∠ A S C = ∠ A B C + π / 3 , {\displaystyle \angle ASC=\angle ABC+\pi /3,} ∠ B S C = ∠ B A C + π / 3. {\displaystyle \angle BSC=\angle BAC+\pi /3.} 同様に、第二等力点も次の等式を満たす。 ∠ A S ′ B = ∠ A C B − π / 3 , {\displaystyle \angle AS'B=\angle ACB-\pi /3,} ∠ A S ′ C = ∠ A B C − π / 3 , {\displaystyle \angle AS'C=\angle ABC-\pi /3,} ∠ B S ′ C = ∠ B A C − π / 3. {\displaystyle \angle BS'C=\angle BAC-\pi /3.} [5] 等力点の垂足三角形は正三角形で、等力点を各辺で鏡映した点も当然正三角形である[4][6]。 また三角形 A B C {\displaystyle ABC} に内接する正三角形の中で最も小さいのは第一等力点の垂足三角形である[7]。 二つの等力点はブロカール軸、ノイベルグ三次曲線上にある[9][10]。 等力点を作図する方法の一つに、二等分線を用いるものがある。 A B {\displaystyle AB} , A C {\displaystyle AC} の内角及び外角の二等分線 と B C {\displaystyle BC} の交点は A {\displaystyle A} を通る B C {\displaystyle BC} のアポロニウスの円の直径となる。したがって、アポロニウスの円を作図することができ他二つのアポロニウスの円も同様にして描くことで等力点を見つけることができる[3]。
距離の比
変換
角度三角形の頂点で外接円と60°で交わる円の交点は第一等力点である。
その他の性質
作図方法頂点をその対辺で鏡映した点と、三角形の辺を一辺とする内側の正三角形の頂点を結んだ直線の交点は第一等力点。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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