第2族元素
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2
周期
24
Be
312
Mg
420
Ca
538
Sr
656
Ba
788
Ra

第2族元素(だいにぞくげんそ)とは、周期表の第2族に属する典型元素であり、sブロック元素でもある。周期表の第2周期以降に現れ、ベリリウムマグネシウムカルシウムストロンチウムバリウムラジウムが含まれる。ただし、カルシウム以降は金属元素としての性質を示し性質が似ているのに対して、ベリリウムとマグネシウム、特にベリリウムは性質が大きく異なる。
アルカリ土類金属

歴史的には第2族元素の第4周期以降の元素が、アルカリ土類金属(アルカリどるいきんぞく、英語: alkaline earth metal)と分類されてきたが、IUPACの勧告により現在ではベリリウム・マグネシウムを含む定義が一般的に採用されており、日本化学会も公式にこの定義の使用を推奨している[1][2]

しかしながら、第2族元素の中でもベリリウム・マグネシウムは原子半径が小さいため非金属性・半金属性を示し、共有結合性を有しており、第4周期以降の元素とは異なる性質を示すため、現在でも学術的にはベリリウム・マグネシウムは、アルカリ土類金属に含めない場合もある。参考までに、ラジウムに関しては放射性元素であるため、他の元素に比べて化学的性質が詳しく知られていなかったものの、ドミトリ・メンデレーエフが周期表を提唱する以前より、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの元素群は化学反応性の類似性により、ヨハン・デーベライナーの提唱による「三つ組元素英語: triads)」の1つとして知られていた。これに対して、ベリリウム・マグネシウムは、ここに含まれていない。つまり、性質が異なるのである。

まず、ベリリウムは非金属元素のように、他の元素とは共有結合を形成し易いという点において、大きく性質が異なり、その酸化物である酸化ベリリウムは酸性条件下でも塩基性条件下でも溶解する。マグネシウムは比較的、金属元素のように振舞うものの、グリニャール試薬に代表される共有結合を有した有機マグネシウム化合物も形成する。マグネシウムの酸化物である酸化マグネシウムは、塩基性を示しこそすれ、第2族元素の第4周期以降の元素の酸化物と比べると、その塩基性は弱い。さらに、ここまでの元素は炎色反応も示さない。

一方で、第2族の第4周期以降の元素は全て炎色反応を示す。さらに、その酸化物は強塩基性を示す。また単体の安定性も低く、マグネシウムリボンのように、容易に扱える代物ではない。これらの例のように、アルカリ土類金属を第2族元素と同義とする区分は、その元素・イオンの化学的性質に着目した場合の区分と合致しない。
土類の由来

アルカリ土類金属は自然界に酸化物として多く存在しており、熱に強く水に溶け難い性質を持ち、この性質を発見当時の化学者は土類(英語: earth)と名付けていた。これらの酸化物は長年元素だと考えられており、水に溶けてアルカリ性を示すためアルカリ土類と呼ばれていた。1789年にラボアジェが書いた化学概説において、これらは土類元素と表現されている。その後、金属の酸化物であると判明し、現在のようにアルカリ土類金属と呼ばれるようになった。
性質

周期表は元素ごとの電子構造に基いた分類であり、その縦方向には化学的性質の共通性も出る場合が多い。第2族元素は周期表において、左から2列目に位置する元素群で、価電子s軌道の電子で、s軌道は2つの電子により満たされている。しかしながら、第2族元素はベリリウムだけは性質が大きく異なる。

ベリリウム以外は、いずれの元素も2価の陽イオンになり易く、通常+2の酸化数を持つ。逆に1価の陽イオンはいずれも不安定であり、生成しても不均化するものの、それすら速やかに全部が2価の陽イオンに変化し、その元素の1つ前の周期の第18族元素と同じ電子配置に変化する。しかも、この傾向は周期が進むと強くなり、周期表の下側の第2族元素ほど、2価の陽イオンになり易い[3]。特に、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムは互いに性質が似ている[3]。化合物を形成した場合も、ハロゲン化有機マグネシウム化合物であるグリニャール試薬は、マグネシウムが炭素とハロゲンに挟まれる形で共有結合を形成しているといった[4]、例外は存在するものの、基本的にはイオン結合が優先する[3]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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