第1族元素
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1
周期
11
H
23
Li
311
Na
419
K
537
Rb
655
Cs
787
Fr

第1族元素(だいいちぞくげんそ)とは、周期表において第1族に属する元素水素リチウムナトリウムカリウムルビジウムセシウムフランシウムが属する。周期表の一番左側に位置する元素群で、価電子最外殻のs軌道にある電子である。s軌道は1電子のみが占有する。

水素を除いた第1族元素はアルカリ金属と総称されており、常温で水と激しく反応する金属で、その水酸化物が強アルカリ性を示す、という共通特性がある[1]。本項ではこのアルカリ金属を中心に記述し、水素に関しては個別記事にて詳しく述べる。
アルカリ金属

第1族元素に属する元素の多くは、歴史的に物質的性質に基づく古い分類名称である「アルカリ金属」と呼ばれている。

物質元素の単体を探索する過程で金属としての性質が共通に見出されたもののうち、その後の分類の着目点に化学的性質が加わり、他元素と結合しやすい化学的性質をもつものから「アルカリ金属」が分類された。さらに電子構造の違いによる族の分類で、第1族元素に分類する過程で水素にもアルカリ金属との共通性が見出された。一方で、典型元素の単体においては周期が小さいほど共有結合性が強く、周期が大きいほど金属結合性が強くなる傾向があるが、第1族元素では水素のみが共有結合を示すという顕著な違いがある。ただし、周期表の理解においてここまでの厳密な分類は必要ではなく、共通性の存在と歴史的背景から第1族元素とアルカリ金属が同列に扱われることがある。

400-500 GPa という非常な高圧下では水素も金属の性質を持つという理論があり、天文物理学の観測では土星木星には重力による縮退相転移を起こした金属水素が大量に存在する可能性が示唆されている。地球においても高圧実験によりその存在を確かめようとする努力が続けられているが、いまだ確認に至っていない。これまで研究では金属水素は電子のバンドギャップが非常に小さいものの完全にはゼロにならない可能性が報告され、伝導電子にはわずかな制約が生じ完全なアルカリ金属にはならないとされている。
歴史ペタライト、リチウムが最初に 単離されたリチウム鉱物

ナトリウムの化合物は古代から知られていた。一般に塩と呼ばれる塩化ナトリウムは人間の活動において重要な物であり、給料すなわちサラリーの語源はラテン語の「サラリウム(salarium)」で「塩のお金」を意味し、ローマ帝国では兵士に給金として塩が支給されていたという[2]

カリウムも古代から使用されていたが、ナトリウム塩と根本的に別の物質だとは近世まで理解されていなかった。1702年にゲオルク・シュタールがナトリウム塩とカリウム塩の根本的な違いを示唆する実験的証拠を得て[3]、1736年にアンリ=ルイ・デュアメル・デュ・モンソーがこの違いの証明に成功した[4]。当時は、カリウム化合物とナトリウム化合物の正確な化学組成も、元素としてのカリウムとナトリウムの正確な場所も分からなかったため、アントワーヌ・ラヴォアジエはどちらも1789年の元素表に組み入れなかった[5][6]

単体のカリウムは、1807年にイギリスでハンフリー・デービーによって最初に単離されており、彼はボルタ電池による溶融塩の電気分解を活用して水酸化カリウム(KOH)から単離した。それ以前の塩類水溶液の電気分解はカリウムの極端な反応性のため失敗しており 、カリウムは電気分解で単離された最初の金属となった[7]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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