第二次高調波発生
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2光子吸収過程」とは異なります。

第二高調波発生、もしくは 第二次高調波発生(だいに(じ)こうちょうははっせい、:Second harmonic generation, SHG)は、非線形光学現象であり、二つの同じ周波数を持つ光子が非線形光学結晶と相互作用することにより、もとになった光子の2倍のエネルギーの光子(すなわち,元となったの2倍の周波数ないしは,半分の波長の光)を発生させる現象のことである。この時に,もともとの光のコヒーレンスを維持していることが特徴である。これは,和周波発生(2光子)の1形態であり,高調波発生(第三次高調波発生,第四次高調波発生など)の1形態でもある。第二次高調波発生の大きさは二次の非線形光学定数に依存する。第二次高調波発生は,他の偶数次の非線形光学効果と同様に,反転対称性を持つ媒質の中では発生しない。[1] しかし,ブロッホ-シーゲルト効果(en:Bloch?Siegert_shift)により,反転対称性を持つ系においても第二次高調波発生が起こりうる事が知られている。[2][3]

条件を適切に整えることによって,ほぼすべての光を第二次高調波に変換することが可能である。典型的には,強力なパルスレーザーを巨大な非線形結晶に,位相整合を満たす条件(入射角度,入射偏光)で入射した場合に達成することが出来る。一方で,そういう注意深い工夫をしない場合,入射したエネルギーの僅かな割合しか第二次高調波に変換されない。例えば,第二次高調波顕微鏡(en:Second-harmonic_imaging_microscopy)は典型的な例として挙げられる。その場合,非常に弱い強度の第二次高調波を元の強い強度の光と区別して検出するために,適切な光学フィルターと組み合わせることが必要となる。

第二次高調波を非線形な物理現象により発生させる行為は電波通信でも高調波発生として知られている。それは,20世紀初頭には開発されており,メガヘルツ帯(電磁波)で使われていた。
歴史

SHGはミシガン大学のフランケン(P.A. Franken)、ヒル(A.E. Hill)、ピータース(C.W. Peters)およびバインライヒ(G. Weinreich)により、1961年にはじめて報告された[4]。この実験はレーザー(高強度で単色性の光源)の発明によって可能になった。彼らは、ルビーレーザー(波長694nm)を水晶のサンプルに集光した。その透過光を分光器で分光し、スペクトル写真フィルムにとると、347nmの光が発生していることが示された。有名な逸話だが、彼らが論文をフィジカル・レビュー出版するときに、編集者がミスをして347nmの写真フィルム上のスポットをスペクトルの汚れだと勘違いし、取り除いてしまったということが知られている。
物理的背景

光は物質に生じる双極子振動により発生する。物質に電場Eを与えると、電場の大きさによって、次の展開式で現わされるような電気分極Pを持った双極子が発生する。

P = χ ( 1 ) E + χ ( 2 ) E 2 + χ ( 3 ) E 3 + ⋯ ( 1 ) {\displaystyle P=\chi ^{(1)}E+\chi ^{(2)}E^{2}+\chi ^{(3)}E^{3}+\cdots \qquad (1)}

ここでχ(n)はn次の電気感受率である。物質に光を照射すると物質には以下のような電場Eがかかることになる(ここでは、位相はおいておく)。

E = E 0 cos ⁡ ω t {\displaystyle E=E_{0}\cos \omega t\,}

ここで、ωは周波数(∝光のエネルギー)。式(1)の二次の項を考えれば、

P ( 2 ) = χ ( 2 ) E 2 = χ ( 2 ) E 0 2 cos 2 ⁡ ω t = 1 2 χ ( 2 ) E 0 2 ( 1 + cos ⁡ 2 ω t ) {\displaystyle P^{\left(2\right)}=\chi ^{(2)}E^{2}=\chi ^{(2)}E_{0}^{2}\cos ^{2}\omega t={\frac {1}{2}}\chi ^{(2)}E_{0}^{2}\left(1+\cos 2\omega t\right)}


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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