笑う大天使
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『笑う大天使』(わらうミカエル)は、川原泉の中編コメディ少女漫画。実写映画が製作され、2006年平成18年)夏に公開されている[1]

お嬢様学校に転校してきた普通の女子高校生が、周囲の人々と巻き起こす騒動を喜劇的に描く青春漫画作品である[2]
概要

1987年昭和62年)に白泉社の漫画雑誌『花とゆめ』に連載された。連載時には「士農工商編集マンガ屋」という表記があったが、差別問題から翌号にお詫びのページが設けられ、別冊花とゆめでの再録時には表記が抹消、単行本初版では「ど?せワタシはしょみん」と改められている。

続編として、短編『笑う大天使 空色の革命』(1988年『花とゆめ』3号掲載)、『笑う大天使 オペラ座の怪人』(1988年『花とゆめ』6、12、16、19号掲載)、『笑う大天使 夢だっていいじゃない』(1988年『花とゆめ』23号掲載)があり、単行本に共に収録された。

また映画化を記念して『笑う大天使 特別編』が『MELODY』2006年8月号に掲載された。

『MELODY』2013年8月号では、清水玲子、川原泉、山口美由紀のデビュー30周年企画が行われたが、川原作品からは本作と『ブレーメンII』のイラストカードが付録となっている[3]

2019年令和元年)に企画された「花とゆめ創刊45周年特集」では「1980年代の主な作品」の1つに本作が選ばれている[4]
書籍情報

単行本は全3巻、文庫版は全2巻である。

花とゆめcomics(白泉社)

第1巻 1987年11月 .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}
ISBN 4592114035

第2巻 1988年5月 ISBN 4592114043

第3巻 1989年7月 ISBN 4592114051


白泉社文庫

第1巻 1996年9月 ISBN 4592883144

第2巻 1996年9月 ISBN 4592883152


花とゆめCOMICSスペシャル

川原泉傑作集 ワタシの川原泉II 2013年12月 ISBN 4592198913「オペラ座の怪人」「特別編」を収録。なお、「特別編」は単行本初収録となる。

川原泉傑作集 ワタシの川原泉V 笑う大天使 2017年12月 ISBN 978-4-59-221824-1文庫版ではカットされた1/4スペースの再録、自作解説風のインタビューを含む[5]


あらすじ
本編

史上最強の名門お嬢様学校、聖ミカエル学園に通う高校生、司城史緒、斉木和音、更科柚子はそれぞれ猫をかぶり、良家の子女として学園生活を送っていた。しかしある事件をきっかけに、互いの本性がばれてしまう。親近感を覚えた3人はそれ以後、仲のよい友達となる。あるとき、戯れに作った薬品が原因で、3人はメンデレーエフの力と呼ぶ超人的な怪力の持ち主になってしまう。その頃、巷では名門女子高校生連続誘拐事件が発生していた。偶然にも犯人一味の一人が学園内にいることを知った3人は、自分たちも進んで誘拐され、超人的パワーを使い事件を解決する。
空色の革命

聖ミカエル学園マラソン大会に出場していた和音を、和音の父が経営する会社の取引先グループ社長の御曹司・稲垣敏行が見初め、見合いの話を進めてきた。見合い話を養育係の俊介から聞かされた和音は、意外にもあっさりOK。お見合い、デートを経てトントン拍子に結納へと話は進んだ。この頃から俊介は、和音がやがては人妻になるとして距離を置き始める。しかし、和音は俊介に自分と一緒に嫁に行かないか? と突拍子も無い提案をする。これを俊介が非常識だと断ると和音は腹痛を訴えて突然倒れてしまった。

神経性胃炎で倒れた和音の枕元で、和音の両親は自分達を責め、過去を語り始める。

父・総一郎と母・迪子は互いの心情を吐露しあい、不和の元が互いの誤解であったと遅ればせながらも和解を果たした。和音の婚約も破棄となり、俊介に叱られる日々に戻った和音は安堵する。愛人たちと手を切った総一郎は空色のワンピースを着た迪子と手に手を取って、迪子の実家である鳴沢の城に出掛けて行った。
オペラ座の怪人

更科柚子は偶然一緒になった担任ロレンス先生と補助券を出し合って商店会の福引きをしたところ、特賞の日本?イギリス間往復航空券を当てる。ロレンス先生と共にイギリスへ行くことになった柚子はロレンス先生の実家で、旧友のオペラ歌手ラインハルト、そして動くクマのぬいぐるみルドルフと出会うのだった。

一方、日本にいる史緒と和音もイギリス行きを思いつき、ロレンス家に到着。2人は来てすぐに皆と仲良くなった。ラインハルトはオペラのタイトルロールを射止め、全てがうまく行っているように思われた。

日本に帰ってきた3人とロレンスにも、ラインハルトがオペラ界で高評判を得ていることが聞こえてくる。そんな時、ルドルフが日本へやって来た。また、ラインハルトと遊んで欲しいと。しかし、その時、過労で倒れたラインハルトが息を引き取ったとの連絡が入った。

旧友の死に自責の念を感じ、放っておくと食事も採らないでいるロレンスを柚子は頻繁に見舞うのであった。史緒、和音、そしてロレンスは、玩具店に展示してあるクマのぬいぐるみを見て、生前の彼とラインハルトを思い出すのであった。
夢だっていいじゃない

兄妹としてすっかり打ち解けた史緒と一臣。しかし妹最優先で女性と交際する兄に、史緒は不安を隠せない。そんな折、司城家の遠縁から一臣に持ち込まれたお見合いで、理想の兄嫁候補が現れる。これでようやく落ち着いてくれると安心したが……

兄嫁候補の薦めで、史緒に第一志望の東京大学(その後、公務員試験を経てキャリア官僚となる人生設計)を蹴ってスイスに留学する話が持ち上がる。外面の良い史緒はこれを無下に断ることもできずにいた。事情を知った柚子と和音は密かに一臣を訪ね、留学話を打ち明ける。それを受けた一臣は結論を出さずに、これまで通りに嫁候補の観察を続けた結果、これまでと同じく一臣の意思で婚約は破談となった。一臣が嫁候補に求める条件はただ一つ。一臣よりも史緒を優先してくれる女性だったのだ。

月日は流れ、ついに史緒・和音・柚子の卒業式。聖ミカエル学園講堂に、卒業生の歌う卒業賛美歌が流れる。見送るロレンス、そして式に出席した一臣・俊介。

卒業証書を手に、希望を胸に駆け寄ってくる3人にカメラのシャッターが切られた。

〔完〕
特別編

史緒たちが学園を卒業して20年が経った。黒犬ダミアンは本人には自覚のないまま老犬となっており、聖ミカエル学園に通う女生徒たちからは恐怖ではなく同情を受けていた。

同窓会のために学園に集まって史緒たちとダミアンは再会する。ダミアンがまだ生きていたことに驚く3人と、3人を臭いで判別したものの鋭い犬の嗅覚で加齢臭を嗅ぎ取ったダミアン。ダミアンは地球の歴史上、初めて「時間の概念」を理解した犬となった。
登場人物
主人公たち
司城史緒(しじょう ふみお)
伯爵家の血筋に生まれる。父が事故死した後、庶民である母と華族出身である祖母との折り合いが悪くなり、母親は史緒をお腹に宿している状態で家を追い出された。その後母親が亡くなり、史緒は生き別れていた兄に引き取られ、それまで通っていた超進学校から祖母の母校である聖ミカエル学園に転校。その雄々しい名前とクールな雰囲気から同じ2年生にケンシロウ様と呼ばれる。母親との貧乏な生活が長かったため、極めて逞しい庶民の性格と味覚をもつ。新聞配達で家計を助けていたので短距離走は得意だが、長距離走が苦手。東大を狙える学力を有する。
斎木和音(さいき かずね)
企業グループ会長令嬢。両親は健在だが、ほぼ家庭内離婚状態にある。幼少の頃より養育係の若月俊介に育てられる。生まれも育ちもお嬢様だが、性格がぼーっとしているので、学校になじめていない。秋吉田藩藩主の子孫(『殿様は空のお城に住んでいる』は和音の先祖の話)。学校では「オスカル様」と呼ばれ、下級生の間ではヒーロー扱い。だが彼女自身はオスカルとあらいぐまラスカルを取り違えている。庶民だった父方の血を濃く引いたらしく、言動もやや男勝りな庶民の面を、家庭では俊介、学校では史緒と柚子には見せる。長身で、短距離、長距離走ともに得意で運動能力が高い。卒業間際の『空色の革命』にて、父の取引先の御曹司と結納まで交わすが破談。
更科柚子(さらしな ゆずこ)
両親健在。家庭円満。もともと親は「かぼちゃ亭」という小さな食堂を営んでいたが、安い・早い・美味いで評判となり、客のニーズに応えるうちに一大レストラン「パンプキンチェーン」に成長、いつの間にかお嬢様となっていた。家から最も近い学校を何も考えず受験したら、それが聖ミカエル学園だった。幼少時のトラウマから外国人が苦手で、イギリス人である担任のロレンス先生も敬遠している。学校では猫をかぶっているが、苦しい日々を過ごす。お嬢様らしく豪邸に住むものの、広い居間にちゃぶ台を置いた庶民のままの生活を送っているため、現在でも庶民と言える。史緒が来るまではミカエルの中でもトップクラスの秀才で、学級委員も務める才媛。


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