この項目では、竹でできた筒について説明しています。奈良県十津川村の地名については「竹筒 (十津川村)」をご覧ください。
竹筒の利用例(竹筒飯)
竹筒(たけづつ)は、竹を切って作った筒[1]。竹は中が空洞であるため、木と比べると簡単に液体を保存する容器として利用できたことから、竹が入手できる地域では先史時代より用いられてきた[2]。また、数ある竹製品の中でも最も歴史の古いものと考えられている[2]。 竹筒の最も原初的な利用方法であり、底部に節を残して竹を切るだけで完成する[2]。グアムで残留日本兵として長年ジャングル生活を送っていた横井庄一が、自作の竹筒を食糧貯蔵に利用していたというエピソードがある[2]。 最も基本的な用途としては水を入れて保管する、というもの(=水筒)であるが、それ以外の液体や屋外で採集したキイチゴなどの食料を入れるのにも用いられた[3]。大小さまざまな大きさに切ることで皿や茶碗としても使うことができ、また火にくべれば鍋の代用になり、水を入れれば給湯器に、水と米を入れれば炊飯器にもなる[4]。特に南方系の民族の間では米を炊くのに竹筒がよく用いられた[5]。中国大陸や台湾では竹筒飯と呼ばれるおこわや炊き込みご飯に似た料理があり、地域住民が調理するほか、屋台やレストランなどで提供されている[6][7]。さらに竹の枝をそのまま残し、節と節の間を切断した柄杓が作られることもあったが、柄杓としての利用は水筒としての利用よりも後の時代に生まれたものである[8]。 特に酒を入れて携帯する竹筒は、「竹筒」と書いて「ささえ」と読む[9]。戦前までの南九州では、山仕事に行く前日に竹筒に酒を詰めておき、翌日竹の香りや成分がしみ込んだ酒を楽しむ風習があり、その竹筒を「よぎり」または「しいづつ」と呼んでいた[10]。また宮崎県高千穂町の名物で、竹筒に日本酒や焼酎を注ぎ、焚き火や囲炉裏にかざして燗をつけたものは「カッポ酒 竹の節を中心に切り、さらに片一方を短めに切ると、1つの竹筒で大小2種類の簡易的な調理用計量器(計量カップ)を作ることができる[13]。近代までの日本では、油用・調理用・米の計量用と用途に応じた竹筒が農村部を中心に自作されていた[5]。 箸立てとしての用途もある[14]。3つの節が含まれるように長さ50 - 60cmほどに竹を切り、節の上部に穴を開け、箸や杓子などの食器をまとめて立てられるようにした「よろず」という器具は、戦前までの日本の家庭で広く一般に見られたものである[14]。 戦前から戦後間もない頃の駄菓子屋では、客の求めに応じて店主が節に穴を開け、指で押すと羊羹が出てくる、青竹に詰められた羊羹が広く売られていた[15]。現代では涼しさを演出する夏の洒落た甘味として販売されており[16]、岐阜県の「柿羊羹」のように日本全国の銘菓 七味唐辛子、山椒といった薬味の容器に竹筒が使われることがある。竹筒の側面に中に入れる香辛料に適したサイズの穴をあけ木片で蓋をし、上部は補充するために開口してあり木片で栓をしているものなどがある[17][18]。
利用
食器
酒器
計量カップ
箸立て
羊羹の容器
薬味(香辛料)の容器
楽器(英語版