空飛ぶタイヤ
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空飛ぶタイヤ
著者
池井戸潤
発行日2006年9月16日
発行元実業之日本社
ジャンル経済小説
日本
言語日本語
形態四六判上製
ページ数492
公式サイト ⇒www.j-n.co.jp
コードISBN 4408534986
ISBN 9784408535357B6判変型

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『空飛ぶタイヤ』(そらとぶタイヤ)は、池井戸潤の社会派小説。『月刊J-novel』に2005年4月号、2005年6月号から2006年9月号に連載され、2006年9月16日単行本が、2008年8月1日にはジョイ・ノベルスコレクション版実業之日本社より刊行された。第28回吉川英治文学新人賞、第136回直木三十五賞候補作。

2009年9月に、上下に分冊して講談社文庫版が刊行された。2010年には朝鮮語版が刊行された。2016年1月には実業之日本社文庫版が刊行された。

2009年WOWOWの『ドラマW』でテレビドラマ化された。

2018年長瀬智也主演で映画[1]。池井戸にとって初の映画化作品となる[2]
概要

タイヤ脱落事故と大手自動車メーカーのリコール隠しをテーマにした作品。事故を起こした運送会社の社長である主人公が、自社の無実を証明すべく巨大企業の闇に挑む経済小説であり、2002年に発生した三菱自動車製大型トラックの脱輪による死傷事故、三菱自動車によるリコール隠し事件などを物語の下敷きとしている[3]。本作の前にも経済をテーマにした作品を発表してきた池井戸潤だが、「まともに経済小説を書こうと思って書いたのは、これがはじめて」とのこと[4]

2009年には、WOWOW連続ドラマW枠でテレビドラマ化された。自動車会社が有力スポンサーの地上波では、作品の性質上、制作は難しいと思われたが、有料放送のWOWOWでは、地上波のようにスポンサーの影響を受けることなく番組制作を行えるため、ドラマ化が実現する運びとなった[5]

作中で主人公が敵対する巨大企業「ホープ自動車」と同名の自動車会社・ホープ自動車(後に「株式会社ホープ」に改称)がかつて存在したが、一切無関係である。
あらすじ

父親の後を継ぎ中小運送会社「赤松運送」を経営する赤松徳郎は、ある日、自社のトラック(作中の車名は「ビューティフルドリーマー」だが、赤松は「悪夢を運んできやがった」と述べている)がタイヤ脱落事故を起こし、死傷者を出してしまったことを知る。事故原因を一方的に整備不良とされ、「容疑者」と決め付けられた赤松は、警察からの執拗な追及を受ける。さらには会社も信用を失い、倒産寸前の状態に追い込まれてしまう。

しかし赤松は、事故原因は整備不良ではなく、事故を起こした車両自体に欠陥があったのではないかと考える。自社の無実を信じる赤松は家族や社員たちのために、トラックの製造販売元である大手自動車会社「ホープ自動車」に潜む闇に戦いを挑む。
登場人物
赤松運送
赤松 徳郎(あかまつ とくろう)
赤松運送の二代目社長。尾崎西小学校
PTA会長。大学時代は柔道部。短気だが人の良い性格。ずんぐりとした体格。自社のトラックがタイヤ脱落事故を起こして死傷者を出す事態となり、整備不良の汚名を着せられる。
宮代 直吉(みやしろ なおきち)
赤松運送 専務。運行管理者兼務。
門田 駿一(かどた しゅんいち)
赤松運送 自動車整備士。入社して3年。髪は金色メッシュ入りで耳にはピアスをしている。
安友 研介(やすとも けんすけ)
赤松運送に入社して半年の新参運転手。
高嶋 泰典(たかしま やすのり)
赤松運送 ドライバー兼総務課長。
谷山 次郎(たにやま じろう)
定年退職間近の赤松運送 整備課長。整備管理者兼務。
赤松家
赤松 史絵(あかまつ ふみえ)
赤松徳郎の妻。夫の会社のトラックが死傷事故を起こしたことを知り困惑する。
赤松 拓郎(あかまつ たくろう)
赤松徳郎の長男。尾崎西小学校5年生。死傷事故がきっかけで
いじめの標的にされる。
赤松 萌(あかまつ もえ)
赤松徳郎の長女。尾崎西小学校4年生。
赤松 哲郎(あかまつ てつろう)
赤松徳郎の次男。尾崎西小学校2年生。
被害者とその家族
柚木 雅史(ゆぎ まさふみ)
被害者の夫。
柚木 妙子(ゆぎ たえこ)
被害者。
柚木 貴史(ゆぎ たかし)
被害者の息子。
東京ホープ銀行

巨大企業グループ「ホープグループ」の中核企業の一つである大手銀行。経営不振に陥っているホープ自動車の再建を支援している。
井崎 一亮(いざき かずあき)
東京ホープ銀行 本店営業本部。週刊潮流記者の榎本崇とは大学時代の友人。
巻田 三郎(まきた さぶろう)
東京ホープ銀行 専務。
濱中 譲二(はまなか じょうじ)
東京ホープ銀行 本店営業本部長。井崎一亮の直属の上司。
ホープ自動車

ホープグループに属する大手自動車メーカー。元々はホープグループの中核企業である「ホープ重工」の一部門であり、劇中での時系列で30年前にホープ重工から独立したが、3年前にリコール隠し問題を起こしてブランドが失墜したことなど様々な要因が重なった結果、近年経営不振に陥っている。4輪駆動車の「バロック」や戦略小型車の「ジェット」、大型トラック「ビューティフルドリーマー」を製造販売している。
沢田 悠太(さわだ ゆうた)
ホープ自動車 販売部カスタマー戦略課長。リコール隠蔽の主導的役割を担う「T会議」の存在を知る。
小牧 重道(こまき しげみち)
ホープ自動車 車両製造部課長。
室井 秀夫(むろい ひでお)
ホープ自動車 品質保証部課長。
杉本 元(すぎもと はじめ)
ホープ自動車 品質保証部。品質保証部ネットワーク管理者兼務。
三浦 成夫(みうら しげお)
ホープ自動車 財務部係長。
狩野 威(かのう たけし)
ホープ自動車 常務取締役。裏でリコール隠しを主導していた。
その他
榎本 崇(えのもと たかし)
週刊潮流記者。東京ホープ銀行の井崎一亮とは大学時代の友人。
小諸 直文(こもろ なおふみ)
赤松運送 担当弁護士。
児玉 征治(こだま まさはる)
児玉通運社長。
相沢寛久(あいざわ ひろひさ)
大手運送会社 北陸ロジスティックス 総務課長。
中村 桂子(なかむら けいこ)
はるな銀行蒲田支店長。
進藤 治男(しんどう はるお)
はるな銀行蒲田支店 融資課長。
沢田 英里子(さわだ えりこ)
沢田悠太の妻。地域FM放送局 看板パーソナリティ。
高幡 真治(たかはた しんじ)
港北警察署刑事。
書籍情報

単行本:
実業之日本社、2006年9月15日、ISBN 4408534986

Jノベル・コレクション:実業之日本社、2008年8月1日、ISBN 9784408535357

文庫本:講談社文庫、2009年9月15日、上巻 ISBN 9784062764520 / 下巻 ISBN 9784062764537

文庫本:実業之日本社文庫、2016年1月15日、ISBN 9784408552729

朝鮮語版:???? ? ?? / ??? ??『??? ?? ???』(MEDIA2.0 (メディアイチョムヨン,2010年09月01日)、ISBN 9788990739858

オーディオブック化されていて、高川裕也の朗読により、2018年にAudibleからデータ配信された[6]
漫画

BE・LOVE』(講談社)2017年24号?2018年3号・5?9号・12号にかけて、大谷紀子の作画で漫画化された。

大谷紀子(漫画)・池井戸潤(原作)『空飛ぶタイヤ』講談社 〈BE LOVE KC〉全2巻

上 2018年5月11日発売、ISBN 978-4-06-511650-0

下 2018年6月13日発売、ISBN 978-4-06-512255-6


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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