空気
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

「空気」のその他の用法については「空気 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

場の空気」とは異なります。

空気(くうき)とは、地球大気圏の最下層を構成している気体で、人類が暮らしている中で身の回りにあるものをいう[1]

一般に空気は、無色透明で、複数の気体の混合物からなり、その組成は約8割が窒素、約2割が酸素でほぼ一定である。また水蒸気が含まれるがその濃度は場所により大きく異なる。工学など空気を利用・研究する分野では、水蒸気を除いた乾燥空気(かんそうくうき, dry air)と水蒸気を含めた湿潤空気(しつじゅんくうき, wet air)を使い分ける。
空気と大気

地球を覆う気体の層を「大気圏」といい[2]、その気体そのものを日常会話や工業分野などでは「空気」[1]気象学など地球科学の分野では「大気」[3]とも呼ぶ。普通日常会話で「空気」という場合には、人間が暮らしている中で身の回りに存在する地上の空気を指し、場合によっては飛行機が航行する高度のような上空の空気を指す。一方、地球科学においては同じものを「大気」という。なお、日本語における「空気」には、その場にいる人々の気分やその場の雰囲気という意味もある[4]
空気の物性

乾燥した空気1 L重さは、セ氏0度、1気圧(1 atm)のときに1.293 gである[1]。1 Lで1 gというと一見小さいようであるが、垂直に数十kmも積み重なることで、地表付近の空気には大きな重さ(圧力)がかかる。1気圧は1.033 kgf/cm2なので、地表では1 cm2あたりおよそ1 kgの物体が乗っているような力が圧力として加わっている。1平方メートルあたりでは10トン、つまり土砂を積んだダンプカーが乗っているような大きな力になる。これは月と違って地球には厚い大気の層があるためであり、地表付近ではこの圧力のために空気は密集した状態になっていて、真空状態とは違った様々な影響がある。

(例)

風速、つまり空気の移動速度が大きくなるにつれ、衝突する空気の総量が増え、大きな風圧が生じることになる。帆船ヨットウィンドサーフィンなどはこれを利用して大きな推力を得ているわけであるし、台風などでは巨大な破壊力となる。

また、空気は流体であり、空気の中を進む物体には揚力抗力(空気抵抗)が生じる。飛行機は大きな揚力を得ることで空気中を飛揚する。

密度(0 ℃ 1 atm)1.293 kg/m3
平均モル質量28.966 g/mol
熱膨張率(100 ℃ 1 atm)0.003671 /K [注 1]

常温常圧の空気はほぼ理想気体として振る舞い、t [℃]における空気の密度ρ [kg/m3]は、大気圧をP [atm]、水蒸気圧をe [atm]とすると、 ρ = 1.293 P 1 + t / 273.15 ( 1 − 0.378 e P ) {\displaystyle \rho ={\frac {1.293P}{1+t/273.15}}\left(1-{\frac {0.378e}{P}}\right)}

と表せる[5]

また、セ氏0度、1気圧の乾燥空気における音速は331.45 m/s[6]、セ氏15度では約340 m/sである。

1気圧における近似的な値だが、乾燥空気の熱伝導率はセ氏0度 - 25度の間で約0.024 W・m-1・K-1 とほとんど変わらない[7][8][9]

また、1気圧の乾燥空気の電気伝導率(導電率)はエアロゾルの量により大きく変わり、2.9×10−15(エアロゾル濃) - 7.88×10−15(エアロゾル薄) Ω-1・m-1(または S/m)程度であるという研究報告がある[10]
大気の組成乾燥大気の組成を示す円グラフ。下の円は微量成分の詳細。

地球の大気は窒素、酸素のほか多数の微量成分で構成される。1cm3当たり3×1019個の分子が含まれる。[11]以下に国際標準大気(1975)[12]における、海面付近(1気圧)の、エアロゾル等の微粒子を除いた清浄な乾燥空気の組成を解説する。

(*)を付けた成分は、呼吸光合成などの生物の活動、車や工場の排気ガスなどの産業活動、空気中で起こる光化学反応に伴う合成・分解により、場所により大きく変動する。

実際の空気中で最も変動するのは水蒸気であり、最大で4%程度、低いときは0%近くまで低下する。全球地表平均では約0.4%となる。(下表には含まない)

(+)をつけた成分は、人為的に排出される成分であり、濃度が近年著しく変化しているものである。主に産業革命以降完全に人為的に排出されて大気中に残存した成分と、元々自然界で排出されていたが産業革命以降人為的に大量に排出されて濃度が高まった成分とがある。

数値の右の(>)は、その値が通常の空気における最大値であることを示す。「1ppm>」であれば、最大1ppm、通常はそれ以下であることを意味している。

表1: 乾燥空気の主な組成(国際標準大気、1975年)成分化学式体積比 割合(vol%)ppmppb備考
窒素N278.084780,840-[12]
酸素O220.9476209,476-[12]
アルゴンAr00.934009,340-[12]
二酸化炭素CO200.041000,410-+*2018年の値[13][12][注 2][14]
ネオンNe00.001818000,018.18-[12]
ヘリウムHe00.000524000,005.24-[12]
メタンCH400.000181000,001.811813±2+2011年の値[13][12][注 3]
クリプトンKr00.000114000,001.14-[12]
二酸化硫黄SO200.0001>000,001>-*[12]
水素H200.00005000,000.5-[12]
一酸化二窒素N2O00.000032000,000.320324.2±0.1+*2011年の値[13][12][注 4]
キセノンXe00.0000087000,000.0870087[12]
オゾンO300.000007>000,000.07>0070>*[注 5][12]
二酸化窒素NO200.000002>000,000.02>0020>*[12]
ヨウ素I200.000001>000,000.01>0010>*[12]

表2: 乾燥空気の微量成分成分化学式体積比割合(vol%)ppmppbppt備考
クロロメタンCH3Cl約0.000000055-0.55約550+* 2008年の値[15]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:60 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef