空気質指数
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空気質指数(くうきしつしすう、: Air Quality Index (AQI))または大気質指数とは、いくつかの国や地域で採用されている大気汚染の程度を示す指標。環境を担当する行政機関が市民に対して発表するもので、観測値だけではなく予測値も発表される地域がある。

アメリカ合衆国環境保護庁 (EPA)のAir Quality Index (AQI)の他、カナダのAir Quality Health Index (AQHI)、メキシコのIndice Metropolitano de la Calidad del Aire (IMECA)、イギリスのDaily Air Quality Index、欧州連合 (EU)のCommon Air Quality Index (CAQI)、韓国のComprehensive Air-quality Index (CAI)、シンガポールのPollutant Standards Index (PSI)、マレーシアのAir Pollutant Index (API)、中国の空气?量指数、香港のAir Pollution Index (API)など、それぞれの国や地域で名称・算出法・区分が異なる指標が用いられている。

日本には空気質指数はなく、「光化学スモッグ注意報」などの大気汚染注意報が市民への情報発表となっている。目次

1 アメリカ

2 ヨーロッパ (EU)

3 イギリス

4 カナダ

5 韓国

6 中国

7 脚注

8 参考文献

9 関連項目

10 外部リンク

アメリカ

アメリカでは、アメリカ合衆国環境保護庁 (EPA)がAir Quality Index(AQI、空気質指数)を定め、主要都市で大気汚染物質濃度の観測を行うとともに指数を発表している。アメリカ合衆国大都市統計地域 (MSA)のうち人口35万人以上の都市(2000年国勢調査では138都市)については、毎日発表しなければならないと定められている。観測値に基づく当日の指数だけではなく、予報に基づく当日から翌日の指数も発表している[1]

AQIは6段階で、指数が100を超過するとSensitive Groups(敏感なグループ)に影響が生じるとされる。汚染物質ごとのSensitive Groupsは以下の通り。

オゾン:肺疾患(呼吸器疾患)を持つ人、子供高齢者、屋外で運動をする人

粒子状物質 (PM10, PM2.5):肺疾患や心疾患を持つ人、子供、高齢者

一酸化炭素:心疾患を持つ人

二酸化硫黄喘息を持つ人

100を超過するかしないかが健康影響の重要な判断基準とされている。した(する)場合には、主要報道機関に通知され、市民に広く伝えられることとなっている[2]

解説[2]色指数カテゴリ(健康影響)
緑0 - 50Good(良い)
黄51 - 100Moderate(並)
橙101 - 150Unhealthy for Sensitive Groups(敏感なグループにとっては健康に良くない)
赤151 - 200Unhealthy(健康に良くない)
紫201 - 300Very Unhealthy(極めて健康に良くない)
栗色301 - 500Hazardous(危険)

各汚染物質の濃度と指数の関係は下の表による。両者の関係は、比例のように濃度が上がるにつれて指数も単調に上がるものではなく、0-50、51-100などの区間ごとに定められている区分線形関数である事に留意する必要がある。

各汚染物質の濃度と指数の関係[3]指数濃度
オゾン 8時間値
[ppm]オゾン 1時間値*1
[ppm]PM10
[μg/m3]PM2.5
[μg/m3]一酸化炭素
[ppm]二酸化硫黄
[ppm]二酸化窒素
[ppm]
000 - 0500.000 - 0.059?000 - 054000.0 - 015.400.0 - 04.40.000 - 0.034*2
051 - 1000.060 - 0.075?055 - 154015.5 - 040.404.5 - 09.40.035 - 0.144*2
101 - 1500.076 - 0.0950.125 - 0.164155 - 254040.5 - 065.409.5 - 12.40.145 - 0.224*2
151 - 2000.096 - 0.1150.165 - 0.204255 - 354065.5 - 150.412.5 - 15.40.225 - 0.304*2
201 - 3000.116 - 0.3740.205 - 0.404355 - 424150.5 - 250.415.5 - 30.40.305 - 0.6040.65 - 1.24
301 - 400*30.405 - 0.504425 - 504250.5 - 350.430.5 - 40.40.605 - 0.8041.25 - 1.64
401 - 500*30.505 - 0.604505 - 604350.5 - 500.440.5 - 50.40.805 - 1.0041.65 - 2.04


1:オゾンは普通8時間値を用いるが、地点により1時間値を用いる場所があり、この場合8時間値・1時間値ともに算出してより高い値をオゾンのAQIとする。

2:アメリカでは二酸化窒素の短時間の環境基準はない。そのため、AQIは201以上の高濃度の場合のみ算出する。

3:オゾン8時間値はAQI301以上を定義していない。この濃度では原則として1時間値を用いる。

上の表を参照しながら、以下のように算出する[4]。 I h i g h − I l o w C h i g h − C l o w ( C − C l o w ) + I l o w = A Q I {\displaystyle {\frac {I_{high}-I_{low}}{C_{high}-C_{low}}}(C-C_{low})+I_{low}=AQI} C {\displaystyle C} は観測濃度または予測濃度、 C l o w {\displaystyle C_{low}} は表中で C {\displaystyle C} の値が当てはまる濃度区間の下限値、 C h i g h {\displaystyle C_{high}} は表中で C {\displaystyle C} の値が当てはまる濃度区間の上限値、 I l o w {\displaystyle I_{low}} は表中で C {\displaystyle C} の値が当てはまる指数区間の下限値、 I h i g h {\displaystyle I_{high}} は表中で C {\displaystyle C} の値が当てはまる指数区間の上限値。


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