空母航空団(くうぼこうくうだん、英語: Carrier air wing, CVW)は、アメリカ海軍における航空母艦搭載航空機(艦上機)の部隊編制である。
2020年時点では、複数の飛行隊(航空隊)で構成され、戦闘攻撃機から電子戦機、早期警戒機、輸送機までが含まれた混成航空部隊である。所属機はヘリコプターも含め70機前後程度である。 現在のアメリカ海軍では、装備の整備や要員の練成を担当する「フォース・プロバイダー」(練度管理責任者)と、そこから差し出された戦力を運用する実施部隊である「フォース・ユーザー」(事態対処責任者)の区別がはっきりしている[1]。そして艦上機におけるフォース・ユーザーにあたるのが空母航空団であり、本土にいる機種別のタイプ航空団をフォース・プロバイダーとして、そこから差し出された飛行隊・航空機によって編成されるようになっている[1]。 1隻の空母には1個CVWが搭載されて運用が行なわれるが、原子力空母が炉心交換 (RCOH 太平洋戦争開戦時のヨークタウン級における典型的な空母航空群は下記のような編制であった[2]。 エセックス級が竣工し戦力化された1943年以降の空母航空群は下記のような編制となった。 また終戦直後に就役したミッドウェイ級の搭載機は下記の構成が予定されていた[3]。 実際に就役した際にはアベンジャー雷撃機も搭載されており、また1940年代末には、艦上戦闘機はF8F-1/2、艦上攻撃機はAD-1スカイレイダーに更新された[4]。 なお、ロケット弾や誘導爆弾などの発達につれて、航空魚雷は対艦兵器としては用いられなくなり、かわって対潜兵器としての性格を強めていったことから、1946年には、アメリカ海軍は雷撃機という機能分類を廃止し、艦上爆撃機とあわせて攻撃機に統一した[5]。 大戦が終わるとジェット機の普及が進み、これは艦上機も例外ではなかった。初のジェット艦上戦闘機となったのがFH-1ファントムで、1947年より実戦部隊への配備が開始された。その他にも各社が様々な機種を開発したが、F2HバンシーやF9Fパンサーは比較的長期にわたって運用された[6]。なお1952年には、従来のCV・CVBは、(CVSになったものを除き)一括して攻撃空母(CVA)へと船体分類記号を変更した[7]。 その後、後退翼化による性能向上が図られることになり、パンサーをもとにしたクーガーのほか、F3Hなども配備された。
概要
編制の変遷
第二次世界大戦期 (1940年代)
艦上戦闘機 - F4F×18機(1個飛行隊)
艦上爆撃機 - SBD×18機(1個飛行隊)
雷撃機 - TBD×18機(1個飛行隊)
偵察機 - SBD×18機(1個飛行隊)
艦上戦闘機 - F6F-3×36機(2個飛行隊)
艦上爆撃機 - SBDまたはSB2C-1C×36機(2個飛行隊)
雷撃機 - TBF/TBM-1×18機(1個飛行隊)
艦上戦闘機 - F4U-4×64機
夜間戦闘機 - F6F-5N×4機
艦上爆撃機 - SB2C×64機
偵察機 - F6F-5P×4機
冷戦前期 (1950・60年代)
CV・CVB→CVA